異世界で監禁された僕は助けてくれた公爵さまからこの上ない寵愛を受けています

<sideエリアス>

私が扉を開けただけで悲鳴をあげるトキは、まだ恐怖が消え去っていないようだ。
それほど心に深い傷を受けたのだろう。
本当にあいつがやったことに怒りしかない。
だが、もう奴はいない。その怒りをぶつけるところがないのが余計に腹立たしい。

小さな身体を震わせるトキにこれからは一人にさせないと約束をした。
トキのためを思って特別室に寝かせていたのだが、一人をこれほど怖がるのならもういっそのこと私の部屋で過ごさせたほうがいいだろう。

私自身、トキと離れがたく思っていたからちょうどいい。
トキにこれからは私の部屋で過ごすようにと話をすると邪魔ではないかと尋ねてきたが、そんなことあるはずがない。これからはずっと一緒だ。

トキに断られる前に話題を変え、急いで風呂に連れて行く。
一緒に入ろうかと思ったが、さすがにトキの前で裸になる勇気はない。
袖と裾を捲り上げて、トキの服を脱がせた。

私が脱がせることに気づいて恥じらいを見せるトキが、なんとも奥ゆかしくて可愛い。すでに一度風呂に入れていると告げると、トキも納得したようで私にさせてくれた。

透き通るほど美しい白い肌が見えて、なんとも欲情を唆る。
全てが愛おしいがそれを必死に隠し、抱きかかえて風呂場に入った。

大浴場に目を輝かせるトキを見て、やはりここに連れてきてよかったと思えた。

抱きかかえたまま洗い場の椅子に腰掛けて、クラウスに用意させておいた赤子用の液体石鹸を手に取った。トキの髪を濡らし、その液体石鹸を髪に撫で付ける。すぐに湯と反応しトキの頭は真っ白な泡に覆われた。
泡が髪の毛の一本一本まで浸透していく。そのあとは何もせずしばらく置いてから洗い流せば美しい本来の髪に戻る。

「あの、擦ったりしないでいいんですか?」

「擦る? それは皮膚も髪も傷めるから必要ない」

「へぇ……そうなんですね」

私が石鹸をつけたまま何もしないのが不思議なようだ。
どうやらトキのいた世界の石鹸とは大きく違うようだな。

少ししてシャワーで洗い流す。驚くほど美しい漆黒の艶髪が現れた。

「おおっ、これがトキの本来の髪だったのだな」

「えっ、これ、が……ぼ、く?」

「違うのか?」

「いえ、あのずっと洗えればいいと思って安いものを使っていたので……」

フィリグランが安物を? そんなことをしたら肌にも良くなかっただろうに……
トキはあちらの世界では困窮していたと見える。

「そうか。これからはこれを使えばいい。次は身体を洗おう」

こちらも赤子用の身体石鹸。
専用の布で泡を作って、身体に纏わせる。
手のひらで撫でるように泡をつければ、泡が汚れを吸い取って綺麗にしてくれる。

大きな泡を作り、トキの肌に纏わせていく。

「わっ、くすぐったいです」

「ははっ。少しの我慢だ」

こんな戯れもなんとも楽しいものだ。
だが、私の手がトキの敏感な場所に触れると、「ひゃあっ」と甘い声が風呂場に響いた。その声が私を一気に興奮させる。
それでもそれを表情には出さず、必死に抑えつけた。

「痛かったか?」

「い、いいえ。大丈夫です」

トキの顔が赤い。
私の手に感じてくれたのなら嬉しいが、まだそのようなことを期待してはいけない。なんとか洗い終え、シャワーを当てるともちもちとした肌が現れた。

「わっ、本当にすごいですね。この石鹸……」

「トキに合っていてよかったよ」

奴の家の石鹸を使っていたらどうなっていたことか……
あの時の自分の判断は、正しかったと断言できる。

「疲れない程度に少しだけ湯に入ろうか」

「わぁ、嬉しいです」

本当は抱えたまま入りたいが、服を脱ぐわけにいかないからそうもいかない。

浴槽の段になっているところにトキを座らせる。
私はトキがそこから落ちないように浴槽の外から支えて見守り続けた。

「トキ、どうだ?」

「すごく気持ちがいいです。このまま眠ってしまいそう……」

無理もない。風呂に入るのは体力を消耗する。

「それではあとは私に任せてくれたらいい」

トキを湯から出して腕に抱きかかえると、彼は一気に夢の世界に落ちていった。

すぐに風呂を出て大きなバスタオルで包み込む。
その小さな身体を脱衣所のベッドに寝かせて、先に濡れた服を着替えた。

トキの髪を乾かして、夜着を着せる。
その世話も全てが楽しい。

風呂を済ませてトキをブランケットで覆い隠し、私の部屋に連れていった。