翼から、がくりと体の力が抜ける。
「つ、翼……」
「はあ……はあ……はは、みっともないとこ、見せちゃった、なあ……」
それでも翼は笑っている。
「何なんだよ……これ……」
がちりと、バンドが外れる。ぐったりした翼の体を抱き起した。
「僕の、記憶を固着させてる、んだ……蜘蛛が、僕に記憶をくれる」
「記憶……?」
「幸せだったころの記憶を……何もない、空っぽの僕を……埋めてくれるんだ」
翼が切れ切れに話してくれる。
「あんた……噂の蜘蛛から、記憶をもらってるってこと……」
「うん……僕の記憶をね、たくさん幸せで埋め尽くしてくれるんだ」
「そんなの……」
竹岡翼の記憶で、いっぱいになるってことは、三峰魁の記憶がつぶされるってことだ。
僕の知る最低な魔法使いが消えて、代わりに誰もが愛する竹岡翼になっていく。
でも、まだわからないことがある。
これは、翼本人の意思なのか? 蜘蛛に生徒も先生も襲わせて、彼らの記憶を奪って自分の記憶にするなんて。
僕の見知った限り、翼は心優しい性格だ。誰かを犠牲にしてまで、自分の幸福を願うような人とは思えない。
「あんたの望んだことなのか?」
「ううん……おとうさんが、それをのぞんだから……」
おとうさん?
僕ははっとした。きっと、そのお父さんとやらがすべての元凶だ。
「その人、だれ!? 名前は!? この学校にいる?」
翼の唇が、ふわふわと震える。その人物の名を答えようとして――
僕の視界が、暗転した。
「つ、翼……」
「はあ……はあ……はは、みっともないとこ、見せちゃった、なあ……」
それでも翼は笑っている。
「何なんだよ……これ……」
がちりと、バンドが外れる。ぐったりした翼の体を抱き起した。
「僕の、記憶を固着させてる、んだ……蜘蛛が、僕に記憶をくれる」
「記憶……?」
「幸せだったころの記憶を……何もない、空っぽの僕を……埋めてくれるんだ」
翼が切れ切れに話してくれる。
「あんた……噂の蜘蛛から、記憶をもらってるってこと……」
「うん……僕の記憶をね、たくさん幸せで埋め尽くしてくれるんだ」
「そんなの……」
竹岡翼の記憶で、いっぱいになるってことは、三峰魁の記憶がつぶされるってことだ。
僕の知る最低な魔法使いが消えて、代わりに誰もが愛する竹岡翼になっていく。
でも、まだわからないことがある。
これは、翼本人の意思なのか? 蜘蛛に生徒も先生も襲わせて、彼らの記憶を奪って自分の記憶にするなんて。
僕の見知った限り、翼は心優しい性格だ。誰かを犠牲にしてまで、自分の幸福を願うような人とは思えない。
「あんたの望んだことなのか?」
「ううん……おとうさんが、それをのぞんだから……」
おとうさん?
僕ははっとした。きっと、そのお父さんとやらがすべての元凶だ。
「その人、だれ!? 名前は!? この学校にいる?」
翼の唇が、ふわふわと震える。その人物の名を答えようとして――
僕の視界が、暗転した。
