誠志郎の一日は、精霊に手を合わせることから始まる。
「この身に依り坐す精霊様、尊きお姿をお見せください」
瑞々しい榊に芳しい酒。そして米や野菜に魚。豪華な神饌の前に、蚕の姿をした精霊が現れる。蝶に似ているが、もふもふな毛が可愛らしく、ずんぐりしている。大昔から鳴川家と契約している精霊で、雪のような白さからか「真白」と名付けられていた。
真白に神饌を捧げると、誠志郎は工場へと顔を出す。何千人もの工員が働く鳴川製糸場。ここまでこの製糸場が栄えたのは、真白の加護のせいだろう。ここで作られる絹糸は虹色に輝くと評判だ。
「おお、精霊様だ。ありがたや……」
「今日の仕事もつつがなく進みますように……」
真白を目にした工員たちが手を合わせる。真白はそれに応えるかのように、ふよふよと翅を揺らしてみせる。この精霊は製糸場で働く者たちの心の支えにもなっていた。
うららかな陽気。蚕の幼虫たちもすくすく育っている。
(今日は予定が詰まっているが……午後になら少し抜け出せるかな)
誠志郎は飯山とスケジュールを確認しながら、そんなことを考えた。
◻︎▪︎ ◻︎▪︎ ◻︎▪︎ ◻︎
ここのところ、妙子は苛ついている。いつも陰気臭い顔をしていた祥子が、最近は妙に朗らかな表情をしているからだ。
その阿呆面を打ってやりたい。だけどそんなことをすれば、精霊に祟られるかもしれない。
飯山のバックには鞠子──伯爵家がいる。祥子にさっさと出ていってもらわねば、自分も伯爵家に睨まれるかもしれない。
そんなことを恐れていたから、鞠子が別宅にやってきたときは腰を抜かした。しかし、彼女の標的は祥子だけだと知って胸を撫で下ろす。
「貴女、客にこんな安物のお茶を飲ませて恥ずかしくないの」
別邸の応接室で、祥子と鞠子は向かい合っていた。鳴川家と懇意の伯爵家から客が来た──そう言われたら、嫁である祥子はもてなさざるを得ない。
しかし祥子はここで女主人として振る舞ったことがない。家のことに口出しなんてさせてもらえないから、茶に文句を言われても困ってしまう。
でも自分がここで虐げられているだなんて、それこそ客人には関係のない話だ。祥子はすべてを飲み込んで「申し訳ありません」と頭を下げる。
「まっ、いいわ。貴女が誠志郎さんに相応しくないってことは明確だから」
「それは……」
「こんな粗末な家に押し込められてる時点で、愛がないってお分かりでしょう?」
掃除されてはいるが、調度品の一つもない応接室。花の一輪も生けられていない。ここの住人を楽しませようという工夫が感じられない部屋。夫の愛情も使用人の敬愛も、何もないことを表していた。
「……愛はまだないかもしれません。しかしわたくしは夫と話し合って……ちゃんと夫婦になるつもりでございます」
「誠志郎さんはこちらに来てくださるの?」
「それは……。でも毎日、手紙を書いて……」
「あっはは!」
嘲けるような笑い声に、祥子は目を見開いた。
「なぜ……お笑いに……?」
「だって貴女、おかしくって」
鞠子はお付きの侍女に荷物を出させた。それは紙の束で、祥子にも見覚えがあるものだった。鞠子はそれを机の上に放り投げる。
「どうして鞠子様が、これを」
「楽しく読ませていただいてよ。でも『会いたい』ばかりで芸がなくって、もう飽きてしまったわ」
手紙。
毎日、誠志郎に宛てて書いた手紙だ。
ここに来たばかりのものから、ご丁寧に昨日書いたものまである。
「わたくし、誠志郎さんととっても親しいの。ああ、親しい……というのは意味が分かるかしら」
「貴女が……誠志郎さま……と……?」
「背中のホクロをね、数えあったりしますのよ。……うっふふ、いやぁだ!言わせないで頂戴?」
「なっ……なっ……!」
「ええ、そう。このお手紙はね、彼が枕元で読んでくださるの」
「そ……そんな…………」
「するとね、とっても燃え上がるのよ。背徳感が素敵なスパイスになるの」
今日は何を書こうかしら。
そういえば最近、風が温かくなったわ。誠志郎さまも、おんなじ風を感じているかしら。
そうね、じゃあ手紙の書き出しは──。
毎日、毎日、毎日。真心を込めた。丁寧に丁寧に、文字を綴った。
それなのに、この人たちはこの手紙を玩具にした。手紙は届いていたのに、思いはちっとも届いてはいなかったのだ。
なんて滑稽な。
夫には、自分と夫婦になろうという気持ちなんて、これっぽっちもなかった。自分だけが惨めにあがいて──。
気付けば祥子は走り出していた。使用人たちは冷ややかな目をして、誰も止めようとはしない。背後から鞠子の高笑いが聞こえる。
足がもつれる。だけどこんな場所にいたくなくて、祥子は別邸から逃げ出した。
◻︎▪︎ ◻︎▪︎ ◻︎▪︎ ◻︎
「……」
土手でうずくまる祥子を見て、誠志郎は声をかけるべきか迷った。人間、一人になりたいときもあるだろう。しかし黙って通り過ぎるなんて、到底できそうもなかった。
祥子の隣に腰掛けて、普段通りの口調で語り出す。
「……ええと。貴女にも呼び名が必要だと思って、考えてきましたよ」
「……」
「いつもこの土手にいるから、『土手姫』。いかがでしょう」
「……ひどい名付けです」
「『桜餅の君』とどっこいどっこいだと思うのですが」
「……『桜餅の君』は、とっても素敵じゃないですか」
「うーん。センスのひどさに自覚がありませんでしたか。とりあえず、今日も桜餅をどうぞ」
「はい……」
祥子が頭を上げる。あまりにひどい顔をしていて、誠志郎はぎくりとした。悲しみや怒り、失望──そんなものに打ちのめされた顔だった。
「おいしい……」
それでも桜餅を一口食べると、祥子の表情は和らいだ。お茶をこくりと飲むと、祥子はぽつりと呟いた。
「桜餅の君は……奥様を訪ねた帰りかしら……。奥様は幸せ者ね……」
「い、いや……」
実は、貴女に会えるかと思って。
そんなことは言えなかった。不誠実なことを彼女を嫌うだろう。だから、妻を想う夫のフリをする。
「わたくしは……愛されてないって分かってしまったの……」
「な、なぜそんな」
「夫の恋人が訪ねてきたのよ」
「……!」
「わたくし、どうすれば良いのかしらね」
浮気は男の甲斐性。そんな言葉を聞いたことがある。正妻は浮気相手に動揺せずに、どっしり構えていればいいとも。
でも。
正妻だなんて肩書は、ただのお飾りだ。愛、信頼、絆──夫婦が持つべきものを、自分は何一つ持っていない。
それなのに、耐えることだけは要求されるの?まだまだ我慢しなければならないの?
もう、これ以上は──。
「訴訟だ!訴えましょう!」
誠志郎がいきなり大声をだすので、祥子はびくりと肩を振るわせた。
「わたしが力をお貸しします!ご主人を法廷に引っ張りだしましょう!」
「え……でも……、たかが浮気で裁判だなんて……世間様に笑われて……」
「世間がなんですか!貴女がこれだけ傷ついたことが問題なのです!」
そうか。自分は傷ついているのか。
祥子は今更気づく。
「離婚に強い弁護士がいます。ご主人から全財産を巻き上げて、貴女は幸せになるんです!」
「全財産を……巻き上げて……」
「そうです!そして満足のいくまで箱根で豪遊すればいい!」
「うふっ、うふふ……。箱根で豪遊……」
「なんです、わたしは本気ですよ!」
自分が傷ついていることに、彼が本気で怒ってくれている。
(なんだか救われたような気持ちだわ。まだ事態は何も変わっていないのに)
祥子はニコリと笑ってみせた。そして「ありがとう」と頭を下げる。
「やはり夫と一度、話し合おうと思います」
「しかし彼は会ってくれないと……」
「ええ。手紙ではダメなのだと分かりました。ですから本宅を強襲です!」
「なるほど……。ではわたしは車を出しましょう」
「んまあ!ここは泡沫、虚の世界。貴方さまは夢の世界の桜餅の君ですわ!現の世での手助けは不要でございます」
「冗談を言っている場合では……」
戸惑う誠志郎に、祥子は静かに微笑んだ。
「実はね、桜餅の君がわたくしの旦那様だったら素敵だなって、思ってしまったの」
誠志郎はハッと息を呑んだ。桜の花びらがハラハラと舞う。祥子は構わずに続ける。
「だけれど、貴方さまは奥様と仲直りしないといけないし、わたくしも不誠実なことはできません。こう見えて、誇り高き人妻ですの!」
祥子は立ち上がると、ぱたぱたと着物についた土を払う。
「わたくしは夫ときちんと向き合わなければなりません。たとえそれが、離婚につながることとなっても。……そしたらもうここに来ることもありません。貴方さまを好いた土手姫も、消えていなくなります」
「待っ──」
誠志郎の手が空を切る。
祥子は笑顔で駆け出した。
「夢を下さってありがとう、桜餅の君!貴方さまは、きっと奥様と幸せになってくださいましね」
「土手姫──!」
「さようなら」
ざああと強い風が吹き、桜の花びらが舞う。誠志郎は呆然と祥子の後ろ姿を見つめることしかできなかった。
「わたしは……わたしは……!」
誠志郎は強く拳を握りしめた。
「この身に依り坐す精霊様、尊きお姿をお見せください」
瑞々しい榊に芳しい酒。そして米や野菜に魚。豪華な神饌の前に、蚕の姿をした精霊が現れる。蝶に似ているが、もふもふな毛が可愛らしく、ずんぐりしている。大昔から鳴川家と契約している精霊で、雪のような白さからか「真白」と名付けられていた。
真白に神饌を捧げると、誠志郎は工場へと顔を出す。何千人もの工員が働く鳴川製糸場。ここまでこの製糸場が栄えたのは、真白の加護のせいだろう。ここで作られる絹糸は虹色に輝くと評判だ。
「おお、精霊様だ。ありがたや……」
「今日の仕事もつつがなく進みますように……」
真白を目にした工員たちが手を合わせる。真白はそれに応えるかのように、ふよふよと翅を揺らしてみせる。この精霊は製糸場で働く者たちの心の支えにもなっていた。
うららかな陽気。蚕の幼虫たちもすくすく育っている。
(今日は予定が詰まっているが……午後になら少し抜け出せるかな)
誠志郎は飯山とスケジュールを確認しながら、そんなことを考えた。
◻︎▪︎ ◻︎▪︎ ◻︎▪︎ ◻︎
ここのところ、妙子は苛ついている。いつも陰気臭い顔をしていた祥子が、最近は妙に朗らかな表情をしているからだ。
その阿呆面を打ってやりたい。だけどそんなことをすれば、精霊に祟られるかもしれない。
飯山のバックには鞠子──伯爵家がいる。祥子にさっさと出ていってもらわねば、自分も伯爵家に睨まれるかもしれない。
そんなことを恐れていたから、鞠子が別宅にやってきたときは腰を抜かした。しかし、彼女の標的は祥子だけだと知って胸を撫で下ろす。
「貴女、客にこんな安物のお茶を飲ませて恥ずかしくないの」
別邸の応接室で、祥子と鞠子は向かい合っていた。鳴川家と懇意の伯爵家から客が来た──そう言われたら、嫁である祥子はもてなさざるを得ない。
しかし祥子はここで女主人として振る舞ったことがない。家のことに口出しなんてさせてもらえないから、茶に文句を言われても困ってしまう。
でも自分がここで虐げられているだなんて、それこそ客人には関係のない話だ。祥子はすべてを飲み込んで「申し訳ありません」と頭を下げる。
「まっ、いいわ。貴女が誠志郎さんに相応しくないってことは明確だから」
「それは……」
「こんな粗末な家に押し込められてる時点で、愛がないってお分かりでしょう?」
掃除されてはいるが、調度品の一つもない応接室。花の一輪も生けられていない。ここの住人を楽しませようという工夫が感じられない部屋。夫の愛情も使用人の敬愛も、何もないことを表していた。
「……愛はまだないかもしれません。しかしわたくしは夫と話し合って……ちゃんと夫婦になるつもりでございます」
「誠志郎さんはこちらに来てくださるの?」
「それは……。でも毎日、手紙を書いて……」
「あっはは!」
嘲けるような笑い声に、祥子は目を見開いた。
「なぜ……お笑いに……?」
「だって貴女、おかしくって」
鞠子はお付きの侍女に荷物を出させた。それは紙の束で、祥子にも見覚えがあるものだった。鞠子はそれを机の上に放り投げる。
「どうして鞠子様が、これを」
「楽しく読ませていただいてよ。でも『会いたい』ばかりで芸がなくって、もう飽きてしまったわ」
手紙。
毎日、誠志郎に宛てて書いた手紙だ。
ここに来たばかりのものから、ご丁寧に昨日書いたものまである。
「わたくし、誠志郎さんととっても親しいの。ああ、親しい……というのは意味が分かるかしら」
「貴女が……誠志郎さま……と……?」
「背中のホクロをね、数えあったりしますのよ。……うっふふ、いやぁだ!言わせないで頂戴?」
「なっ……なっ……!」
「ええ、そう。このお手紙はね、彼が枕元で読んでくださるの」
「そ……そんな…………」
「するとね、とっても燃え上がるのよ。背徳感が素敵なスパイスになるの」
今日は何を書こうかしら。
そういえば最近、風が温かくなったわ。誠志郎さまも、おんなじ風を感じているかしら。
そうね、じゃあ手紙の書き出しは──。
毎日、毎日、毎日。真心を込めた。丁寧に丁寧に、文字を綴った。
それなのに、この人たちはこの手紙を玩具にした。手紙は届いていたのに、思いはちっとも届いてはいなかったのだ。
なんて滑稽な。
夫には、自分と夫婦になろうという気持ちなんて、これっぽっちもなかった。自分だけが惨めにあがいて──。
気付けば祥子は走り出していた。使用人たちは冷ややかな目をして、誰も止めようとはしない。背後から鞠子の高笑いが聞こえる。
足がもつれる。だけどこんな場所にいたくなくて、祥子は別邸から逃げ出した。
◻︎▪︎ ◻︎▪︎ ◻︎▪︎ ◻︎
「……」
土手でうずくまる祥子を見て、誠志郎は声をかけるべきか迷った。人間、一人になりたいときもあるだろう。しかし黙って通り過ぎるなんて、到底できそうもなかった。
祥子の隣に腰掛けて、普段通りの口調で語り出す。
「……ええと。貴女にも呼び名が必要だと思って、考えてきましたよ」
「……」
「いつもこの土手にいるから、『土手姫』。いかがでしょう」
「……ひどい名付けです」
「『桜餅の君』とどっこいどっこいだと思うのですが」
「……『桜餅の君』は、とっても素敵じゃないですか」
「うーん。センスのひどさに自覚がありませんでしたか。とりあえず、今日も桜餅をどうぞ」
「はい……」
祥子が頭を上げる。あまりにひどい顔をしていて、誠志郎はぎくりとした。悲しみや怒り、失望──そんなものに打ちのめされた顔だった。
「おいしい……」
それでも桜餅を一口食べると、祥子の表情は和らいだ。お茶をこくりと飲むと、祥子はぽつりと呟いた。
「桜餅の君は……奥様を訪ねた帰りかしら……。奥様は幸せ者ね……」
「い、いや……」
実は、貴女に会えるかと思って。
そんなことは言えなかった。不誠実なことを彼女を嫌うだろう。だから、妻を想う夫のフリをする。
「わたくしは……愛されてないって分かってしまったの……」
「な、なぜそんな」
「夫の恋人が訪ねてきたのよ」
「……!」
「わたくし、どうすれば良いのかしらね」
浮気は男の甲斐性。そんな言葉を聞いたことがある。正妻は浮気相手に動揺せずに、どっしり構えていればいいとも。
でも。
正妻だなんて肩書は、ただのお飾りだ。愛、信頼、絆──夫婦が持つべきものを、自分は何一つ持っていない。
それなのに、耐えることだけは要求されるの?まだまだ我慢しなければならないの?
もう、これ以上は──。
「訴訟だ!訴えましょう!」
誠志郎がいきなり大声をだすので、祥子はびくりと肩を振るわせた。
「わたしが力をお貸しします!ご主人を法廷に引っ張りだしましょう!」
「え……でも……、たかが浮気で裁判だなんて……世間様に笑われて……」
「世間がなんですか!貴女がこれだけ傷ついたことが問題なのです!」
そうか。自分は傷ついているのか。
祥子は今更気づく。
「離婚に強い弁護士がいます。ご主人から全財産を巻き上げて、貴女は幸せになるんです!」
「全財産を……巻き上げて……」
「そうです!そして満足のいくまで箱根で豪遊すればいい!」
「うふっ、うふふ……。箱根で豪遊……」
「なんです、わたしは本気ですよ!」
自分が傷ついていることに、彼が本気で怒ってくれている。
(なんだか救われたような気持ちだわ。まだ事態は何も変わっていないのに)
祥子はニコリと笑ってみせた。そして「ありがとう」と頭を下げる。
「やはり夫と一度、話し合おうと思います」
「しかし彼は会ってくれないと……」
「ええ。手紙ではダメなのだと分かりました。ですから本宅を強襲です!」
「なるほど……。ではわたしは車を出しましょう」
「んまあ!ここは泡沫、虚の世界。貴方さまは夢の世界の桜餅の君ですわ!現の世での手助けは不要でございます」
「冗談を言っている場合では……」
戸惑う誠志郎に、祥子は静かに微笑んだ。
「実はね、桜餅の君がわたくしの旦那様だったら素敵だなって、思ってしまったの」
誠志郎はハッと息を呑んだ。桜の花びらがハラハラと舞う。祥子は構わずに続ける。
「だけれど、貴方さまは奥様と仲直りしないといけないし、わたくしも不誠実なことはできません。こう見えて、誇り高き人妻ですの!」
祥子は立ち上がると、ぱたぱたと着物についた土を払う。
「わたくしは夫ときちんと向き合わなければなりません。たとえそれが、離婚につながることとなっても。……そしたらもうここに来ることもありません。貴方さまを好いた土手姫も、消えていなくなります」
「待っ──」
誠志郎の手が空を切る。
祥子は笑顔で駆け出した。
「夢を下さってありがとう、桜餅の君!貴方さまは、きっと奥様と幸せになってくださいましね」
「土手姫──!」
「さようなら」
ざああと強い風が吹き、桜の花びらが舞う。誠志郎は呆然と祥子の後ろ姿を見つめることしかできなかった。
「わたしは……わたしは……!」
誠志郎は強く拳を握りしめた。

