夕暮れの太陽を背に、愛馬に跨り森を駆け抜け風を切る彼女は、何よりも輝いて見えた。自由を愛する彼女と一緒にいると、自分の心が解き放たれているかのようだった。公爵家当主という重圧から解放され、一人の男としていられる。
__彼女は俺の空だ。
(ああ……そうか、俺は……)
あのとき感じた感情の正体が、ようやく何か分かった。
笑顔の彼女がこちらに戻ってくる。
「旦那様もどうですか? 風、気持ち良いですよ」
あの時のように、弾けるほどに明るい笑顔で彼女は言う。
(フッ……まったく、どこまで俺を魅了するんだ)
「ああ、そうだな」
俺は彼女の後ろに跨る。
「準備はいいです?」
笑顔で手綱を持ち、俺にそう問いかける彼女に、俺は不満を抱く。
(これでは文乃の顔が見えない)
「きゃあ!」
俺は彼女を抱き上げると、横向きに座らせた。
「な、なぜこの体勢なんですか?」
「これでいいんだ。手綱をよこせ。俺が持つ」
困惑した様子を見せながらも、彼女は俺に手綱を渡した。手綱を握り、彼女を後ろから抱きしめるような体勢になると、愛馬はゆっくりと歩き出す。
「……旦那様」
「なんだ?」
「私から、一つだけお願いがあります」
「なんでも言ってみろ」
「私が旦那様の子を産みます。だから……他の方のところへなんて、いかないでください」
そう言い、俺を見た彼女の目には、涙が浮かんでいた。驚いた俺は、思わず手綱を引き、愛馬を止める。
「文乃……」
不安を抱くように揺れる瞳、願うように噛み締められる唇。俺は手綱を置くと、彼女の目に浮かぶ涙を指先でそっと払う。
「俺は君の夫だ。他の誰かなんて考えられない」
俺の言葉に、彼女は安堵したような顔をするも、それは一瞬だった。
「……はい」
笑みを浮かべる彼女、しかし、その笑みはなんとも弱々しかった。
一体、何がそこまで彼女を不安にしているのだろうか。
__彼女は俺の空だ。
(ああ……そうか、俺は……)
あのとき感じた感情の正体が、ようやく何か分かった。
笑顔の彼女がこちらに戻ってくる。
「旦那様もどうですか? 風、気持ち良いですよ」
あの時のように、弾けるほどに明るい笑顔で彼女は言う。
(フッ……まったく、どこまで俺を魅了するんだ)
「ああ、そうだな」
俺は彼女の後ろに跨る。
「準備はいいです?」
笑顔で手綱を持ち、俺にそう問いかける彼女に、俺は不満を抱く。
(これでは文乃の顔が見えない)
「きゃあ!」
俺は彼女を抱き上げると、横向きに座らせた。
「な、なぜこの体勢なんですか?」
「これでいいんだ。手綱をよこせ。俺が持つ」
困惑した様子を見せながらも、彼女は俺に手綱を渡した。手綱を握り、彼女を後ろから抱きしめるような体勢になると、愛馬はゆっくりと歩き出す。
「……旦那様」
「なんだ?」
「私から、一つだけお願いがあります」
「なんでも言ってみろ」
「私が旦那様の子を産みます。だから……他の方のところへなんて、いかないでください」
そう言い、俺を見た彼女の目には、涙が浮かんでいた。驚いた俺は、思わず手綱を引き、愛馬を止める。
「文乃……」
不安を抱くように揺れる瞳、願うように噛み締められる唇。俺は手綱を置くと、彼女の目に浮かぶ涙を指先でそっと払う。
「俺は君の夫だ。他の誰かなんて考えられない」
俺の言葉に、彼女は安堵したような顔をするも、それは一瞬だった。
「……はい」
笑みを浮かべる彼女、しかし、その笑みはなんとも弱々しかった。
一体、何がそこまで彼女を不安にしているのだろうか。


