男2人いつもの職場
いつもの日常ナオとリュウは変わらない日々に満足も、不満足を感じる事もなく毎日を過ごす。
2人は中学生からの友人で時に別々の道に進んだ事もあるが、何かの縁で幾度と無く同じ事をする。
現在2人は産業廃棄物処理をする工場で勤務しており、良くペアを組みながら仕事をしている。
今日もナオが重機で職場内のゲートを開く、それを近くで見ているリュウ、ゲートが開くといつも通りに蒸気がムンムンと立ち込め、その中へ重機で進む
そのいつもの光景を眺めるリュウだったが……
今日は違った……
入って行った重機ごとナオがいない。
ぼーっとしている間に出て行ってしまったのかと周りを見渡すが、重機の動きはそこまで早くない。
一旦戻ろうとリュウが確認してゲートを下げる時に中へ吸い込まれる!
光の膜がうねうねとしている方へと抵抗する事も出来なく、あっけなく引き込まれた。
気が付くとそこは暖かく明るい世界。
周りを見渡すと、そこにナオがいる。
何やらナオの前には大きなひし形のクリスタルが浮いている。
「おい、ナオ」
少し焦った様子でリュウが声を掛ける。
それに対してナオは
「ついにこの時が来た!」
歓喜の表情でクリスタルを眺めている。
不思議そうにリュウは
「なに言ってるかわからねーよ」
ナオは満足そうに言った
「リュウ……俺前から行きたいって言ってたけどついに異世界に来たんだよ!」
「このクリスタルに文字が浮かんでて触ったら好きな職業を選んでと書いてある」
ナオは興奮しながらさらに
「結構色々職業あってさ、でもやっぱり支援系とか好きだから白魔導士にした」
あっさりと状況を受け入れているナオに対してリュウは
「いきなりこの状況で焦りもしないのはお前らしいよな」
「俺はまだまだやり残した事がたくさんあるのに、ちょっと微妙な気持ちだよ」
リュウは受け入れるまで時間が必要だった。
それに対してナオは
「ここ見てみな!」
そこには元の世界に帰る事が出来ますが、その方法はご自身で見つけ出す事が条件となります……と記載があった。
さらに都合の良い事に、お帰りの際は現在の時刻となりますと書いてあった!
これを見たリュウは
「それなら新しい世界を完全に楽しんでから帰れるじゃん!」
ニヤニヤと嬉しそうな表情を見せる。
「どんな世界に行くかはわからないけど、好き勝手に生きてみようぜ」
「それと俺は色々選び終わったから先行くよー」
そう言ったナオの体がシュワ―っと消えていく……
それを見て
「ん?……ちょっと早いって!」
焦るリュウが声を掛けるもすでに消えてしまっている――
「向こうで待ってるって言ってたけど、いつもこういうのは早いんだよな」
リュウはブツブツと言いながらもクリスタルを眺める。
そしてついにすべてを決めたリュウの体も消え始めた。
瞬きをした瞬間に見知らぬ森の中に立っている。
そこはやはり日本では感じられる事がない雰囲気で感じる物すべてが新しい感覚だった。
周りを見渡すと、ナオが乗っていた重機が朽ち果てた状態で森と同化する様に置いてある。
すぐ横にナオが立って重機を眺めてた。
ナオはリュウに気が付くと
「やっときたな」
期待が溢れてついつい笑顔になっている
「重機は見ての通りでもうダメそう、会社には別のがあるのかな?……まぁいっか」
大して気にしてないナオは、こんな性格だったなってリュウは改めて思う。
改めて2人のステータスを紹介しておく。
「ナオ」
年齢41
182センチ90キロ
性格 温厚 のんびり
個性 完璧主義 のんびりした事が好き 投資が好き
お酒とタバコはやらない
見た目はイカツイが基本優しい
「リュウ」
年齢41
171センチ60キロ
性格 せっかち 完璧主義
個性 ナオの言う事にはやたらと納得する
ギャンブル愛好家 お酒とタバコは大好き
見た目はイケメンでフットワークが軽い
こんな2人だがさすがに日本人なので戦闘経験なんてある訳もない。
そんな2人が選んだ職業は
ナオは白魔導士
主に後方支援で回復やバフを得意とするが
多少攻撃魔法も持ち合わせている。
リュウは戦士を選択したようだ。
重戦士と言うよりは身軽な素早さを重視したタイプの戦士
二人が良くやっているゲームでも
リュウが先陣を切って突撃し、ナオが後方から狙撃するスタイルで、なんとなくいつもと同じ役割になってしまっている。
ここでリュウが
「ナオ、なんかこの世界について情報ないの?」
わからな事は大体ナオに聞いて解決するリュウが早速質問する。
「まだなーんにもわからないよ」
「モンスターと魔王とかも、そもそも人がいるかもわからない」
普段から異世界の妄想をしている割には現実的な所がナオにはある「取り合えず、まずは移動して何か見つけてみようぜ!」
そういってかぶっていたヘルメットを重機の横に置いた。
到着早々にナオとリュウは行動を始める。
まずは人がいるのか、魔導士を選んだナオは魔法が使えるのか疑問に思いながらも
二人は森を歩く……が思ったより森は広い。
1時間程歩いたあたりでナオが
「やばい、お腹すいた……」
「大体こういう時って何かイベントがあって町まで案内してもらうってパターンなのに」
空腹から、ありきたりのパターンを期待するナオにリュウは
「俺らの場合そういうのが無いのもありえるよな」
笑いながらナオに答える。
「まあね」
「そんな上手くいくのは漫画だけ!もっと先に進もう」
ナオはペースを落とす事無く歩く。
そこからさらに一時間程歩くと――
ナオは何かを見つけた。
「おい、あれみろよ!」
「ついに町発見なんじゃないのー」
ハイテンションなナオが町を指さす。
リュウも町を見て
「うお!ほんとだ、やっと休める」
二人とも町を見て心から安心した表情を浮かべた。
「まず何するって考えたけどさ、お金も何もないんだよね」
笑いながらナオは話す。
リュウはそれを聞いて目を細めてガッカリしながら横を歩く……
「とりあえずは町に入って考えてみようよ、お金とか物価の概念もまだわからないんだからさ」
しぶしぶとナオの後を追うリュウ
2人並んで町に入るとそこは高い建物も無く、異世界の町らしい風景だったが町人は2人を珍しく眺める。
それもそのはず、2人は作業服のままなので人によってはどこかの隊服にも見えるだろう
そんな2人が中程まで進んだ辺りでナオが
「あのマーク宿屋かもよ」
「色々確認したいからいってみようか」
リュウは軽く頷き後を追う。
こういう時のやり取りは基本ナオが行う。
中へ入ると大きくは無いがキレイにされた木造の宿屋であろう店内が心地よい。
すぐに肩位までの茶色い髪が印象的な女性店員と目が合う。
「こんにちは!」
「って言葉わかりますかね?」
すかさずナオが話し掛ける。
女性店員は
「もちろん」
「見掛けない方達ですね?旅の方?それともどこかの部隊の人とか!」
不思議そうな目で質問をしてくるがフレンドリーで嫌な感じもしないし好感がもてる。
ナオは
「んーっと……旅の方です」
「凄く遠い国から来たので教えてもらいたいんだけど良いですかね?」
それに対して軽い感じで
「ん?私が教えてあげられる事ならいいよ」
と答えてくれた。
ナオはここぞとばかりに、上京してきたフリをして気になる事を聞けるだけ聞いている。
まず、この世界に対して言葉は都合よく翻訳されているようで方言的な言葉もなく世界共通である事。
お金に関しても単位が「エル」と言って、1エルが日本円で1円換算と非常に分かり易く、理解は早かった。
ギルドや冒険者のシステムも存在しており、魔法もある!
そして時間の概念が無く、朝や昼に夜と言ったアバウトな感じの様だ。
しっかりと異世界なんだと改めて認識した。
魔法は使える者と使えない者がいて、魔法が使える場合は県が上手く扱えない等のジョブ固有に偏りがあるみたいだ。
例えば、ナオは魔法が使えるがリュウの武器を扱うのは難しい……
リュウは剣での戦闘が得意だが魔法は使えないという感じ。
宿屋の女性はとても物知りで、ほとんど知りたい事が解決出来た。
「元冒険者で今は引退して宿屋の経営してるんだ」
「それで……今日は泊まるの?」
その質問に、ナオとリュウは現実の問題へまた向き合った。
「ちなみになんだけど」
ナオは気まずそうによそ見をしながら
「1泊するのって何エルするの?」
すっかり同じ様な口調で質問する。
「1泊1人6000エルだよ!」
「うちは宿泊だけで食事は無いんだけどどうする?」
ここまで世話になっておいてさすがに泊まるよねって雰囲気で話す。
ナオは返事に悩むが、リュウは
「お金は全くないんだよね」
悪びれた様子もなく正直に伝える。
それに合わせてナオが
「ちょうどこの町に来る前に使い果たしたんだ」
「だから何か稼げる事は無いかな?どんな事でもやるから!」
それを聞いて笑う女性が
「そんな雰囲気してた」
「ありきたりだけど、ギルドに行って依頼をこなすか、どこかの組織に属してお給料をもらうかになるね」
「とりあえずはギルド行ってみたら?ちゃんと稼いでうちに泊まってよね!」
女性はまるで年上のお姉さんかと思う口調で2人に言う。
「もちろん、そのつもりで行ってくるよ!」
リュウはそう言うと早々に宿屋を出た。
その姿をナオが追いかける。
「ギルドの場所も聞かないでなんで出ちゃったの?」
ナオはリュウにヤレヤレな顔で言う。
「町の中歩いてれば見つかるだろうし、もう少し探索もしたいから」
その言葉にナオは納得して、2人で歩き出した。
町を見る限り近代的な建造物や物は一切見当たらなかった。
スマホなんてある訳も無く、この町には外灯も見当たらない。
さっきの宿屋には壁にランプが掛かっていたので、各家庭そんなものなのだろうと推測した。
2人で回りを見ながら町を歩いていると、剣が交差している様な看板を見つけた。
「多分だけどあれがギルドじゃない?」
「剣をクロスさせるなんて、武器屋かギルド位だよな」
リュウはそう言って先にナオを入らせた。
中に入ると、何人もの人がアニメや漫画で見かける壁の掲示板に貼られた依頼用紙を眺めては悩んでいる。
その奥には受付がカウンターがいくつか並んでおり、ちょうど1か所空いている場所がある。
そこには子供の様な雰囲気や容姿だが、なぜか子供の年齢には感じない女性が暇そうに立っていた。
ナオは迷う事なくそのカウンターに向かった。
「あの……初めてくるんですけど、依頼って受けられますか?」
ナオは違和感の無い様それとなく聞いてみた。
「はーい、こちらで大丈夫ですよ」
「どこか他の町でギルド登録はしてますか?」
暇そうな雰囲気から仕事モードに切り替わった。
「他の町でも登録はした事なくて、何にもわからないんです」
「とりあえず簡単な依頼があればお願いします」
ナオは下手にお願いした。
威勢良く女性は返事をした。
「ではまずは登録から行いますが、職業適性は分かってますか?」
「直接依頼とは関係ないですが、名前と職業とランクを登録しますので、分からなければ適性診断からになります」
まさに異世界ギルドらしい話しをしてくれる。
そんな会話に2人は心踊る。
すかさずリュウが名乗りを上げる。
「俺は戦士で」
「どんな事も出来ちゃう最強の戦士!」
意味のわからないカッコつけをする。
それに対してナオは
「俺は白魔道士」
受付の女性は
「ではそれで登録をします」
「リュウさんは戦士でFランクですね」
「ナオさんは白魔道士で同じくFランク」
「ランクは適性ランクの依頼を10回でランクアップとなりますが、Bランク以上へは適性試験がありますのでご了承下さい」
誰もがスタートはFランクからで経験と共にランクアップするシステムらしい。
知らない世界で何かを始めるには分かりやすく2人にはちょうど良い。
「では、こちらに手を置いて下さい」
言われた通りに2人は交互に手を置いた。
「こちらをどうぞ!」
2人に1枚ずつ手渡してくれた金属の様な素材でツヤツヤっとしたカードを2人は受け取る。
「世界共通の身分証となりますので紛失には気を付けて下さいね」
「仮に無くされて誰かが拾ったとしても本人以外がカード表面を表示する事は出来ないので譲渡も売却も出来ませんので」
それを聞いて2人はさすがに驚いた。
「俺らの世界よりこういう部分は先を行ってると言うか、道の技術が使われてるよね」
ナオは深く考えながら頷いた。
「俺らの世界でも出来たら凄いよな」
リュウも深く興味を持っていた
続けてリュウは
「さっそくなんだけと、受けられる依頼ってあるかな?」
そこで提案してくれたのが
「多少の戦闘が可能でしたらスライム核の採取か戦闘は避けたいのであればポーションの素材集めがありますがいかがでしょうか?」
それを聞いたリュウは迷う事無く
「もちろんスライム核採取で」
「それ位なら余裕なんで」
自信満々に依頼をした。
それからスライム核がなんなのかと、依頼にあるおおよその場所を聞いて2人は初めて異世界での仕事に向かった。
いつもの日常ナオとリュウは変わらない日々に満足も、不満足を感じる事もなく毎日を過ごす。
2人は中学生からの友人で時に別々の道に進んだ事もあるが、何かの縁で幾度と無く同じ事をする。
現在2人は産業廃棄物処理をする工場で勤務しており、良くペアを組みながら仕事をしている。
今日もナオが重機で職場内のゲートを開く、それを近くで見ているリュウ、ゲートが開くといつも通りに蒸気がムンムンと立ち込め、その中へ重機で進む
そのいつもの光景を眺めるリュウだったが……
今日は違った……
入って行った重機ごとナオがいない。
ぼーっとしている間に出て行ってしまったのかと周りを見渡すが、重機の動きはそこまで早くない。
一旦戻ろうとリュウが確認してゲートを下げる時に中へ吸い込まれる!
光の膜がうねうねとしている方へと抵抗する事も出来なく、あっけなく引き込まれた。
気が付くとそこは暖かく明るい世界。
周りを見渡すと、そこにナオがいる。
何やらナオの前には大きなひし形のクリスタルが浮いている。
「おい、ナオ」
少し焦った様子でリュウが声を掛ける。
それに対してナオは
「ついにこの時が来た!」
歓喜の表情でクリスタルを眺めている。
不思議そうにリュウは
「なに言ってるかわからねーよ」
ナオは満足そうに言った
「リュウ……俺前から行きたいって言ってたけどついに異世界に来たんだよ!」
「このクリスタルに文字が浮かんでて触ったら好きな職業を選んでと書いてある」
ナオは興奮しながらさらに
「結構色々職業あってさ、でもやっぱり支援系とか好きだから白魔導士にした」
あっさりと状況を受け入れているナオに対してリュウは
「いきなりこの状況で焦りもしないのはお前らしいよな」
「俺はまだまだやり残した事がたくさんあるのに、ちょっと微妙な気持ちだよ」
リュウは受け入れるまで時間が必要だった。
それに対してナオは
「ここ見てみな!」
そこには元の世界に帰る事が出来ますが、その方法はご自身で見つけ出す事が条件となります……と記載があった。
さらに都合の良い事に、お帰りの際は現在の時刻となりますと書いてあった!
これを見たリュウは
「それなら新しい世界を完全に楽しんでから帰れるじゃん!」
ニヤニヤと嬉しそうな表情を見せる。
「どんな世界に行くかはわからないけど、好き勝手に生きてみようぜ」
「それと俺は色々選び終わったから先行くよー」
そう言ったナオの体がシュワ―っと消えていく……
それを見て
「ん?……ちょっと早いって!」
焦るリュウが声を掛けるもすでに消えてしまっている――
「向こうで待ってるって言ってたけど、いつもこういうのは早いんだよな」
リュウはブツブツと言いながらもクリスタルを眺める。
そしてついにすべてを決めたリュウの体も消え始めた。
瞬きをした瞬間に見知らぬ森の中に立っている。
そこはやはり日本では感じられる事がない雰囲気で感じる物すべてが新しい感覚だった。
周りを見渡すと、ナオが乗っていた重機が朽ち果てた状態で森と同化する様に置いてある。
すぐ横にナオが立って重機を眺めてた。
ナオはリュウに気が付くと
「やっときたな」
期待が溢れてついつい笑顔になっている
「重機は見ての通りでもうダメそう、会社には別のがあるのかな?……まぁいっか」
大して気にしてないナオは、こんな性格だったなってリュウは改めて思う。
改めて2人のステータスを紹介しておく。
「ナオ」
年齢41
182センチ90キロ
性格 温厚 のんびり
個性 完璧主義 のんびりした事が好き 投資が好き
お酒とタバコはやらない
見た目はイカツイが基本優しい
「リュウ」
年齢41
171センチ60キロ
性格 せっかち 完璧主義
個性 ナオの言う事にはやたらと納得する
ギャンブル愛好家 お酒とタバコは大好き
見た目はイケメンでフットワークが軽い
こんな2人だがさすがに日本人なので戦闘経験なんてある訳もない。
そんな2人が選んだ職業は
ナオは白魔導士
主に後方支援で回復やバフを得意とするが
多少攻撃魔法も持ち合わせている。
リュウは戦士を選択したようだ。
重戦士と言うよりは身軽な素早さを重視したタイプの戦士
二人が良くやっているゲームでも
リュウが先陣を切って突撃し、ナオが後方から狙撃するスタイルで、なんとなくいつもと同じ役割になってしまっている。
ここでリュウが
「ナオ、なんかこの世界について情報ないの?」
わからな事は大体ナオに聞いて解決するリュウが早速質問する。
「まだなーんにもわからないよ」
「モンスターと魔王とかも、そもそも人がいるかもわからない」
普段から異世界の妄想をしている割には現実的な所がナオにはある「取り合えず、まずは移動して何か見つけてみようぜ!」
そういってかぶっていたヘルメットを重機の横に置いた。
到着早々にナオとリュウは行動を始める。
まずは人がいるのか、魔導士を選んだナオは魔法が使えるのか疑問に思いながらも
二人は森を歩く……が思ったより森は広い。
1時間程歩いたあたりでナオが
「やばい、お腹すいた……」
「大体こういう時って何かイベントがあって町まで案内してもらうってパターンなのに」
空腹から、ありきたりのパターンを期待するナオにリュウは
「俺らの場合そういうのが無いのもありえるよな」
笑いながらナオに答える。
「まあね」
「そんな上手くいくのは漫画だけ!もっと先に進もう」
ナオはペースを落とす事無く歩く。
そこからさらに一時間程歩くと――
ナオは何かを見つけた。
「おい、あれみろよ!」
「ついに町発見なんじゃないのー」
ハイテンションなナオが町を指さす。
リュウも町を見て
「うお!ほんとだ、やっと休める」
二人とも町を見て心から安心した表情を浮かべた。
「まず何するって考えたけどさ、お金も何もないんだよね」
笑いながらナオは話す。
リュウはそれを聞いて目を細めてガッカリしながら横を歩く……
「とりあえずは町に入って考えてみようよ、お金とか物価の概念もまだわからないんだからさ」
しぶしぶとナオの後を追うリュウ
2人並んで町に入るとそこは高い建物も無く、異世界の町らしい風景だったが町人は2人を珍しく眺める。
それもそのはず、2人は作業服のままなので人によってはどこかの隊服にも見えるだろう
そんな2人が中程まで進んだ辺りでナオが
「あのマーク宿屋かもよ」
「色々確認したいからいってみようか」
リュウは軽く頷き後を追う。
こういう時のやり取りは基本ナオが行う。
中へ入ると大きくは無いがキレイにされた木造の宿屋であろう店内が心地よい。
すぐに肩位までの茶色い髪が印象的な女性店員と目が合う。
「こんにちは!」
「って言葉わかりますかね?」
すかさずナオが話し掛ける。
女性店員は
「もちろん」
「見掛けない方達ですね?旅の方?それともどこかの部隊の人とか!」
不思議そうな目で質問をしてくるがフレンドリーで嫌な感じもしないし好感がもてる。
ナオは
「んーっと……旅の方です」
「凄く遠い国から来たので教えてもらいたいんだけど良いですかね?」
それに対して軽い感じで
「ん?私が教えてあげられる事ならいいよ」
と答えてくれた。
ナオはここぞとばかりに、上京してきたフリをして気になる事を聞けるだけ聞いている。
まず、この世界に対して言葉は都合よく翻訳されているようで方言的な言葉もなく世界共通である事。
お金に関しても単位が「エル」と言って、1エルが日本円で1円換算と非常に分かり易く、理解は早かった。
ギルドや冒険者のシステムも存在しており、魔法もある!
そして時間の概念が無く、朝や昼に夜と言ったアバウトな感じの様だ。
しっかりと異世界なんだと改めて認識した。
魔法は使える者と使えない者がいて、魔法が使える場合は県が上手く扱えない等のジョブ固有に偏りがあるみたいだ。
例えば、ナオは魔法が使えるがリュウの武器を扱うのは難しい……
リュウは剣での戦闘が得意だが魔法は使えないという感じ。
宿屋の女性はとても物知りで、ほとんど知りたい事が解決出来た。
「元冒険者で今は引退して宿屋の経営してるんだ」
「それで……今日は泊まるの?」
その質問に、ナオとリュウは現実の問題へまた向き合った。
「ちなみになんだけど」
ナオは気まずそうによそ見をしながら
「1泊するのって何エルするの?」
すっかり同じ様な口調で質問する。
「1泊1人6000エルだよ!」
「うちは宿泊だけで食事は無いんだけどどうする?」
ここまで世話になっておいてさすがに泊まるよねって雰囲気で話す。
ナオは返事に悩むが、リュウは
「お金は全くないんだよね」
悪びれた様子もなく正直に伝える。
それに合わせてナオが
「ちょうどこの町に来る前に使い果たしたんだ」
「だから何か稼げる事は無いかな?どんな事でもやるから!」
それを聞いて笑う女性が
「そんな雰囲気してた」
「ありきたりだけど、ギルドに行って依頼をこなすか、どこかの組織に属してお給料をもらうかになるね」
「とりあえずはギルド行ってみたら?ちゃんと稼いでうちに泊まってよね!」
女性はまるで年上のお姉さんかと思う口調で2人に言う。
「もちろん、そのつもりで行ってくるよ!」
リュウはそう言うと早々に宿屋を出た。
その姿をナオが追いかける。
「ギルドの場所も聞かないでなんで出ちゃったの?」
ナオはリュウにヤレヤレな顔で言う。
「町の中歩いてれば見つかるだろうし、もう少し探索もしたいから」
その言葉にナオは納得して、2人で歩き出した。
町を見る限り近代的な建造物や物は一切見当たらなかった。
スマホなんてある訳も無く、この町には外灯も見当たらない。
さっきの宿屋には壁にランプが掛かっていたので、各家庭そんなものなのだろうと推測した。
2人で回りを見ながら町を歩いていると、剣が交差している様な看板を見つけた。
「多分だけどあれがギルドじゃない?」
「剣をクロスさせるなんて、武器屋かギルド位だよな」
リュウはそう言って先にナオを入らせた。
中に入ると、何人もの人がアニメや漫画で見かける壁の掲示板に貼られた依頼用紙を眺めては悩んでいる。
その奥には受付がカウンターがいくつか並んでおり、ちょうど1か所空いている場所がある。
そこには子供の様な雰囲気や容姿だが、なぜか子供の年齢には感じない女性が暇そうに立っていた。
ナオは迷う事なくそのカウンターに向かった。
「あの……初めてくるんですけど、依頼って受けられますか?」
ナオは違和感の無い様それとなく聞いてみた。
「はーい、こちらで大丈夫ですよ」
「どこか他の町でギルド登録はしてますか?」
暇そうな雰囲気から仕事モードに切り替わった。
「他の町でも登録はした事なくて、何にもわからないんです」
「とりあえず簡単な依頼があればお願いします」
ナオは下手にお願いした。
威勢良く女性は返事をした。
「ではまずは登録から行いますが、職業適性は分かってますか?」
「直接依頼とは関係ないですが、名前と職業とランクを登録しますので、分からなければ適性診断からになります」
まさに異世界ギルドらしい話しをしてくれる。
そんな会話に2人は心踊る。
すかさずリュウが名乗りを上げる。
「俺は戦士で」
「どんな事も出来ちゃう最強の戦士!」
意味のわからないカッコつけをする。
それに対してナオは
「俺は白魔道士」
受付の女性は
「ではそれで登録をします」
「リュウさんは戦士でFランクですね」
「ナオさんは白魔道士で同じくFランク」
「ランクは適性ランクの依頼を10回でランクアップとなりますが、Bランク以上へは適性試験がありますのでご了承下さい」
誰もがスタートはFランクからで経験と共にランクアップするシステムらしい。
知らない世界で何かを始めるには分かりやすく2人にはちょうど良い。
「では、こちらに手を置いて下さい」
言われた通りに2人は交互に手を置いた。
「こちらをどうぞ!」
2人に1枚ずつ手渡してくれた金属の様な素材でツヤツヤっとしたカードを2人は受け取る。
「世界共通の身分証となりますので紛失には気を付けて下さいね」
「仮に無くされて誰かが拾ったとしても本人以外がカード表面を表示する事は出来ないので譲渡も売却も出来ませんので」
それを聞いて2人はさすがに驚いた。
「俺らの世界よりこういう部分は先を行ってると言うか、道の技術が使われてるよね」
ナオは深く考えながら頷いた。
「俺らの世界でも出来たら凄いよな」
リュウも深く興味を持っていた
続けてリュウは
「さっそくなんだけと、受けられる依頼ってあるかな?」
そこで提案してくれたのが
「多少の戦闘が可能でしたらスライム核の採取か戦闘は避けたいのであればポーションの素材集めがありますがいかがでしょうか?」
それを聞いたリュウは迷う事無く
「もちろんスライム核採取で」
「それ位なら余裕なんで」
自信満々に依頼をした。
それからスライム核がなんなのかと、依頼にあるおおよその場所を聞いて2人は初めて異世界での仕事に向かった。
