見送ったあと、私は部屋に戻る気にはなれず、庭の縁側に腰を下ろして空を眺めていた。
夜がこんなに長いと思うのは、初めてかもしれない。
今まで寝れない日なんて一度もなかった。
ここに来てからも何かと寝れていたし、不安な日は沖田さんが側にいてくれた。
ずっと、ずっと、沖田さんがそばに居てくれたから安心して過ごせてきた。
"必ず帰ってきます"
その言葉が、お守りのように脳裏を駆け巡る。
沖田さんの背中を見て抱きついた時、私はもうごまかせないと思ってしまった。
路地で出会ってここで一緒に過ごしていくうちに、いつしか自然と沖田さんを目で追うようになっていった。
話すだけで緊張するけれど嬉しくて、避けられるとこんなにも苦しい。
学校の帰り道、朱莉が
"好きって言うのは、その人のことばかり考えちゃうことなの。その人のことで嬉しくなったり苦しくなったり。それが好きってことだと私は思う"
と言っていたことを思い出す。
本当はもっと前から気づいていたけど、ずっと気付かないふりをしていた。
いつ戻るかも分からないのに、これを口に出してしまえば、離れたくなくなってしまうから。
でも、もう誤魔化せないし誤魔化したくもない。
私は、沖田総司が好き。
でなければ、こんなにも胸が痛くなりながら無事を祈ることなんてしない。
胸の前で手を握りながら空を見上げる。
考えないようにしていても、不安が次々と押し寄せて来る。
どうか、誰も命を落としていませんように。
そう願いながら私は近くの柱に背を預けた。
