初めての恋は、時代を越えたあなたと。


「副長たちが戻ったぞ!」



調理場で夕餉の支度をしていると、隊士の大きな声が飛んでくる。

慌ただしく駆けていく足音が聞こえて自分も行こうとするが、何故か行っては行けないような気がして、夕餉の支度に戻る。



「行かないのかい?」



私の行動を見た井上さんが、優しく聞いてくる。

私は目も合わせず頷いた。



「夕餉の支度がありますので。……それに、行ったところで迷惑でしょうから」



後ろから小さく「そうか」という声が聞こえた。

井上さんに背を向けた状態で調理をしていると、井上さんを呼ぶ聞き慣れた優しい声がした。

振り向きたいけれど、おそらく目も合わせてくれないだろう。

どこにぶつけていいかも分からないこの感情を、箸を握る手に込める。

せめて理由をちゃんと話してくれたら、なんて思うけれど、忙しそうにしている人の口からどうやって聞き出せばいいのかも分からない。

藤堂さんたちは何か知っていそうだけど、沖田さんが口止めでもしているのだろう。

でなければ、あんな一瞬気まずそうな顔はしないはずだ。

全てが落ち着く日がいつになるかは分からないけれど、落ち着いたらこの現状の理由も話してくれると信じて待っているしかない。