初めての恋は、時代を越えたあなたと。


沖田総司……。

この人だけ肖像画がない。近藤勇や土方歳三はあるのに、なぜだろう。

スマホには肺結核により江戸で死亡と書かれているけど、病死だからないのかな?

とにかく、もっと調べてみよう。



「えっ、澪、こんな人がタイプなの?沖田総司……」



ウィキペディアで沖田総司のページを開いていると、本を取り換えに行っていて戻ってきたであろう朱莉が、私のスマホを見るなりそう言った。



「沖田総司ってあれだろ?新撰組の一番隊隊長の」

「颯知ってるの?」

「名前だけ。母親がドラマ好きで、この前サブスクでやってた新選組のドラマをテレビに繋げて見てたから」


そう言うと颯は、またスマホに目線を戻した。

新撰組一番隊隊長。確かに、ウィキペディアのページの最初の方に書いてある。

でもこの肖像画の下には、モデルに描かれた肖像画と書かれているから、本人ではないだろう。

他にも、近藤勇や土方歳三とは同門で、竹刀を持っては近藤勇の一段も二段も上を行ったと書かれている。

中でも有名な剣技は三段突き。

『刀で斬るな!体で斬れ!』というのが、沖田総司の教えらしい。

刀で斬るな、体で斬れ……か。

手合わせというより、もしこの人が生きていたら稽古につけてもらった方が、今より断然強くなれたかもしれない。

なんて、ないものねだりに過ぎないか。

来月には部活の大会も控えているから、それまでに今以上に強くなること。ただそれだけ。

私は開いていた本たちを順番に閉じ始め、本棚に戻しに行く。

ノートも閉じてペンケースと一緒に鞄に入れて、席を立つ。



「少し早いけど帰ろ。ランニングしたいし、素振りも」



私がそう言うと、「しょうがねぇなー」と文句を言いながら席を立つ颯に続いて、朱莉も席を立つ。