初めての恋は、時代を越えたあなたと。


お茶出しをと思い、慌てて立ち上がるとお茶は不要だと土方さんに止められた。

一度土方さんに反発したことがあるけれど、本来女中は隊士の方々には逆らえない。

だから、断られるとそれ以上のことはもうできないのだ。



「近藤さん、必要ないというのは?」



オウム返しをするように、近藤さんの言葉を聞き返す。



「俺が既に奥さんから許可を取ったから!」



どこからか声が聞こえてきて、辺りを見回していると、近藤さんの後ろから藤堂さんがピースサインを出しながら顔を出した。



「よっ!澪」

「藤堂さん!」



あの騒動の後から、宗太君や弥吉君と遊ぶときに沖田さんと藤堂さんと私の三人で居ることが増えた。

最初は私の体を気遣ってなのだろうと思っていたけれど、どうやら藤堂さんは稽古では動き足りないらしく、遊ぶのも好きだから遊んでいるらしい。

そこに原田さんや斎藤さんも加わる時があるけれど、基本はこの三人だ。

藤堂さんには下の名前で呼ぶように言われているが、女中という立場で隊士の方を下の名前で呼ぶのはおこがましいと感じ、苗字呼びを続けている。

断った時に理由を話すと、気にしなくてもいいのにと言いながら引き下がらない私を見て、今の状態を渋々了承してくれた。



「元々は、俺が澪を連れ出したくて奥さんに休暇許可を取りに行ったんだけど、まさか総司に横取りされるとはなぁ」

「ありがとうございます、平助」



頭の後ろで両手を組みながら不服そうに沖田さんを見る藤堂さんと、それを穏やかな笑顔で見返す沖田さん。

沖田さんは笑っているだけなのに、藤堂さんはなぜか舌打ちをして「はいはい」と言いながら両手を下した。

その様子を分かっていないのは私だけらしく、永倉さんは「怖ぇ怖ぇ」と楽しそうに言いながら肩を竦めていて、それに賛同するように斎藤さんといつの間にかいた井上さんが頷く。

近藤さん土方さん山南さんは、二人のやり取りに微笑んでいる。