意識を失ったあの出来事から約半年が経ち、そして私がこの時代にタイムスリップされてから早くも一年が経とうとしていた。
季節は春になり、秋の生暖かい風や冬の冷たい空気はすっかり消え、柔らかな風が吹き始めている。
私は、八木邸の庭に咲き始めた桜を眺めながら、布団や洗濯した布たちを干していく。
あの日からさらに、京は不安の渦に巻き込まれていて、新選組の見廻りも増えたと聞いている。
その中でも、この屯所内だけはすごく平和な気がした。
仕事をしていると、藤堂さん原田さんの子どものようなはしゃぎ声や稽古の時の土方さんの厳しい声が聞こえてくる。
それが私にとっても、日常化していた。
斬られた左腕と右脚は本当に傷が深かったらしく、私は一週間も意識を失っていたらしい。
傷跡は残っているけれど、日常生活に支障が出ることはなくなった。
けれど、あの日以来、隊士の人たちが以前にも増して過保護になった気がする。
特に沖田さんだ。
あの日は相当無茶をしたと自分でも分かっているし、意識が戻ったあと、土方さんにそれなりにお叱りを受けた。
買い出しに行く時でさえ、最低一人は護衛がつくようになった。
重いものを持つと取り上げられ、仕事をしていると休むように言われるなど、こうもあっては本来の仕事すらできないのでお雅さんに相談した。
お雅さんに注意を受けてからは、隊士の人たちは歩き始めたばかりの子どもを見守るような目で見るようにはなったものの、以前みたいに口出しはしてこなくなった。
とはいえ、私が意識を失っている間、沖田さんは付きっきりで看病してくれていたみたいで殆ど眠っていないと聞き、それを聞いてしまえば強く文句も言えなかった。
「よいしょ…」
沢山の洗濯物を干し終わり、ひと休憩のために縁側に腰を下ろす。
春の風に揺られる洗濯物を見ながら、この平和な時間に心の底から安心する。
