この親子を庇いながらだと思うように動けない。
腕も斬られて脚も斬られたとなると、余計に動けなくなる。
この時代の人たちはこんな痛みをずっと経験してたとなると、胸が締め付けられる思いだ。
それでも試行錯誤しながら、なるべく刀を振らず逃げ回っていたから、相手も疲れたてきたのか少し息切れをしている。
浪士が刀を振り下ろす瞬間、あまりの怖さに目を閉じる。
けれどいつまで経っても痛みが走らず、恐る恐る目を開けると、見慣れただんだらの裾が視界に入った。
ゆっくり顔を上げると、ずっと見てきていた背中が目の前にあった。
「沖田、さん……」
込み上げてくるものをぐっと堪え、声にならない声で目の前の人の名前を呼ぶ。
するとどこか、沖田さんの肩の力が抜けたような気がした。
周りを見ると沖田さんだけでなく、山南さん、井上さん、原田さん、斎藤さん、永倉さん、藤堂さんが駆けつけてくれていた。
声を発さずに合図をしたのか、原田さんと斎藤さんがこちらに向かってくる。
「嬢、立てるか?」
私の元に来た斎藤さんの言葉に迷いながらも頷く。
すると斎藤さんは私の腕を自身の方に回し、支えて立たせてくれた。
出血は止まらず、左腕と右脚は徐々に痺れつつあり、感覚も無くなってきている。
「嬢ちゃん、よく一人で頑張ったな。あとは任せろ」
原田さんのその言葉に、張り詰めていた全身の力が抜けていくのを感じた。
地面を見ると、私が座り込んでいたところには血が溜まっていて、少し移動をしても一本の線を描くように血が点となって付いている。
自分で思っている以上に傷は深かったのだと、今更ながら実感させられる。
斎藤さんたちに伝えなければならないことがあるのに、二、三歩の距離がすごく遠く感じる。
「……お姉ちゃん…?」
意識を保っていたいのに、血を流しすぎたせいで視界が段々と狭まってくる。
それに、呼吸も少しずつ荒く、浅くなってくるのが分かる。
「嬢!」
「やべぇな。総司!早く捕らえろ!嬢ちゃんが危ねぇ!!」
男の子の声に反応して、原田さんと斎藤さんが同時に振り返るが、その時点で私は身体を起こしているのままならくなっていて、視界が大きく揺れた。
斎藤さんがそばでしゃがんでいるから、受け止めてくれたのは原田さんだろう。
うっすらと開いている目で沖田さんを見る。
抜けたような気がしていた力が、ぼんやりとだが再び入るのが見えた。
「平助、新八さん、絶対逃がさないで」
「当たり前だ」
意識が徐々に遠のいていく中、藤堂さんと永倉さんが相手浪士を捕まえるのを見る。
