初めての恋は、時代を越えたあなたと。


もう秋だというのに、外は気持ちのいいほど晴れていて、生暖かい風が頬を撫でる。



「総司、落ち着けって!」

「落ち着いていますよ。というか、ついてきたのですか?私一人で足りるというのに」

「阿保かっ!相手は二人。お前が相手している間、誰が嬢ちゃんのそばにいるって言うんだ?」



澪さんのところに走って向かっていると、後ろから永倉さん、左之さん、斎藤さん、平助、源さん、山南さんがついてきていた。

平助には子どもたちをお願いしたはずだが、澪さんが心配で他の隊士に任せてきたと言う。

急がなければいけないというのに、私は走るスピードを徐々に落としていった。

確かに、一人では足りない。

澪さんは怪我をしていて、恐らく澪さんのそばには宗太君が言う絡まれていた親子もいるかもしれない。

澪さんが斬られたという言葉だけが頭に残り、周りが見えていなかったのかもしれない。



「すみません。落ち着きました」

「おう」

「皆さん、人だかりが。あそこで間違いなさそうですね」



足を止めて深呼吸をしていると、山南さんが前方を指さした。

そこには確かに人だかりができており、顔を見合わせて頷くと、人だかりの方へ再び駆け出した。

人混みを押し退けながら、一歩ずつ騒ぎの元へ駆けつけていく。

人混みの先頭へ出られたと思えば、飛び込んできた光景に息を呑んだ。

視界に入っていないから分からないけど、微かに誰かの飲み込む音が聞こえた。

それもそうだ。今目の前では、浪士二人を前に澪さんが左腕を抑え、脚からも血を流して座り込んでいるのだ。

後ろにいるのがおそらく絡まれていたという親子で、澪さんは怪我をしてもなお、この親子を守るように浪士の前から動こうとしない。



「しつこい女だな。無傷でと言われているが、仕方がない」



一人の浪士が刀を振り上げた瞬間、私は刀を抜いて澪さんと浪士の前に入り込んだ。

我々にとっては聞き慣れた刀同士がぶつかる、高くて鈍い音。

それが合図かのように、山南さんたちは浪士二人を囲むかのように立ち、刀に手をかける。

正直、彼女の怪我を見た時に我を失いそうになったし、宗太君たちから知らせを聞いたときには余裕なんてものはなかった。



「沖田、さん……」



けれど、割って入った時に聞こえてきた弱々しい声が、私を現実へ引き留めてくれた。

本当にこの人は、私の扱いが上手すぎる。

意図的にやっていないことだとしても、一人の女性にここまで翻弄されるなど思いもしていなかった。

私は斎藤さんに視線を送り、そのあと後ろに視線を流した。

それを汲み取った斎藤さんは小さく頷き、原田さんと顔を見合わせて再び頷いた後、親子と澪さんの保護にまわった。

浪士を押し返してすぐ澪さんを見ると、着物が染まるほどに出血しているのが分かり、腸が煮えくり返る感覚がした。



「手加減、いりませんよね?」



誰に問いてるのか自分でも分からないが、確認のように出た言葉と同時に、私はゆっくりと浪士たちの方に向き直った。