「新撰組?」
ノートを次のページに捲ろうと指をかけた瞬間、視界の隅から手が伸びてきた。
顔を上げると、手持ちの扇風機を持って涼んでいる朱莉と辺りを見渡す颯が立っていた。
「そう。先生の話で、新撰組を知りたいと思って」
「塚先の話、真面目に聞いてるもんね。澪は」
「ていうか、一之瀬だけだろ」
颯は「あっちぃー」と言いながら、鞄から下敷きを取り出してパタパタと仰ぎ始める。
冷房が効いているとはいえ、館内に入ったばかりはまだ私の体も熱を持っていた。
数分経った今は汗が完全に引いて、少し肌寒さも感じている。
夕方からは剣道の稽古があるし、外は暑いけど稽古前のランニングもある。
それに閉館時間もあるから、あまり長居をするつもりはない。
でも、二時間弱は時間があるわけだから、その間に調べられる範囲は全て調べていく。
新撰組は当時壬生浪士組と呼ばれ、筆頭局長の芹沢鴨派と局長の近藤勇派に分かれていたらしい。
塚井先生の話だと、鬼の副長と呼ばれた土方歳三は道場破りで、後に天然理心流に正式入門したんだとか。
その近藤勇には妻と子供がいて、天然理心流の四代目当主。塾頭には沖田総司。
本よりウィキペディアの方が事細かに書かれている。
気になることは随時スマホで調べていったけど、これなら図書館に来る意味なんてなかったかもと肩を落とす。
それにしてもこの沖田総司、調べたら若くして塾頭になったんだ。すごいな。
それほど剣の才が突出していたってことなんだろう。
若くして塾頭を務めるぐらい強い人がこの時代に存在していたら、一度手合わせをお願いしていたに違いない。
幼い頃から剣道ばかりしてきて、数えられるほどだけど優勝経験もある。
最も、今の私の実力じゃ足元にも及ばないかもしれないけど。
