宗太君に聞けば、たまにこうしてお雅さんと弥吉と三人で町を散歩しているらしい。
特に買い物とかはなく、お店を見て回ったり、団子を食べたりして帰るのがいつものコースなんだとか。
隊士の方たちが八木邸に来る前から続けていることらしく、隊士の方たちが来てからも護衛無しで歩いているらしい。
ここは何かと物騒だから、いくら続けてるとはいえ、護衛をつけた方がいいのではないかと思いながらも、両手に宗太君と弥吉君と手を繋ぎながら通りを練り歩く。
さっきの想像が消えたわけではないけれど、目を輝かせながら歩く二人を見ていると心が癒される。
「やめてください!!」
店を見て回っていると、遠くから女性の声が響いた。
様子が気になり、二人と手を繋いで様子が確認できる所まで近づく。
すると子連れの女性が、ガラの悪そうな二人組の浪士に絡まれていた。
「子どもなんざ旦那に任せてさぁ、俺たちの相手をしてくれよ」
「お断りです……!!」
「母ちゃん!!」
母親が以前見ていたドラマと同じ光景に驚いたが、それよりもこの時代にもナンパというものがあったことに驚いた。
どの時代になっても男はクズな奴はクズなままなのかと、内心ものすごく長い溜息をつく。
私は恋愛をしたことがない。それには三つの理由がある。
一つ目は、私が男の人を好きになれないということ。こういう男を見るとすぐに打ちのめしたくなるし、そもそも男の人と一緒にいてなんのメリットがあるのかと考えてしまうから。
二つ目は、私は感情が表に出ずらいということ。それで、周りからよく勘違いされ続けてきた。
三つ目は、私が剣道バカということだ。部活の日は道場には顔を出せないけれど、部活がない日は道場の練習に出るほど剣道が好きだ。幼い頃からやってきていたから、剣道以外での過ごし方が分からないというのもある。
だからこそ私は、ここに来てすごく変われたと感じている。
感情は表に出るようになったし、今は殆ど練習という練習もしていない。
たまにチャンバラで弥吉君達と木の棒を交える時はあるけれど、それ以外はずっと仕事をしている。
それに、新選組の人達の優しさと凄さを間近で見ている。
だからだろうか。
ああいう人を見ると、腸が煮えくり返るというか、打ちのめしたいという感情が強くなるのは。
でも、宗太君たちを怖がらす訳にも行かない。
以前、沖田さんと原田さんが刀に手をかけたときでさえ怯えていた。
周りを見ても剣を振ったことがないような人達ばかりで、真面に剣を扱えるのは私ぐらいかもしれない。
「宗太君、弥吉君」
私は二人の手を放して振り返り、同じ目線になるようにしゃがんで、二人の肩に手を置いた。
「私に何があっても、隊長さんたちには内緒にしてくれる?……特に沖田さんには」
こんな時だというのに、頭には沖田さんの顔が映し出される。
もしこのことが隊士の人たちに知られたら、土方さんだけでなく沖田さんにも怒られるかもしれない。
私の中では、沖田さんが一番怒らせたくない人間だ。
それでも、あの親子を見放したりするなんて私にはできない。
