昨日の天気は分からないけれど、二日前の雨が嘘のように、今日は気持ちがいいぐらい晴れている。
それにしても、近藤さんは何を言いかけたのだろう。
沖田さんに聞きたくても、近藤さんの部屋を出た瞬間に笑顔で無言の圧をかけられたから、聞くに聞けない状態だ。
いつもなら、「澪さんが気にすることじゃありませんよ」と誤魔化してくるのに、今回はそれがない。
私が何かしたのか。それとも、私には教えられないことなのか。
沖田さんと一緒にいる時間が増えていくせいで、余計な不安ばかりが募っていく。
「おっ、総司じゃん」
私の部屋に向かっている途中、不意に前方から声が飛んでくる。
顔を上げると、原田さんたちが木刀を片手に中庭に腰を下ろしていた。
どうやら、稽古の休憩中らしい。
「左之さんたちじゃないですか」
その声に続いて会釈をすると、藤堂さんが笑顔で手を挙げてくれた。
藤堂さんの笑顔は、いつも周りの人たちを和ませてくれる。
一方で原田さんは、私と沖田さんを交互に見たあと、面白そうに口元を緩めた。
「ほんと、一緒にいること増えたよなぁ。総司と嬢ちゃん」
「仲良しだねぇ」
原田さんの言葉に、藤堂さんと斎藤さんが揃って頷く。
何故か二人ともニヤニヤしていて、思わず首を傾げる。
斎藤さんは下を向いて静かに口角を上げていて、その顔を見てさっきの土方さんを思い出した。
鬼の目にも涙ということわざはあるが、あれは鬼の顔にも笑みだ。
そんなことを考えていると、斎藤さんがこちらに向かって歩き始めた。
「嬢、体調はもういいのか?」
そうか。私があの日体調を崩していたことは、もしかしなくても全員に知れ渡っているんだ。
「はい。ご心配おかけしました」
笑顔で伝えると、斎藤さんは短く「そうか」と言って、原田さんたちの元へ戻っていった。
