すると、近藤さんが「そうそう」と何かを思い出すように口にした。
「俺からも澪さんに話があってな」
「私に、ですか?」
局長直々に話があると言われると、体が変に気を張ってしまう。
「奥さんに聞いた。ここで働き始めてから、休めていないのだろう?体調を崩すほどに」
「いえ……まぁ、はい…」
そんなことは無いと否定しようとしたけど、体調を崩したのは事実で昨日丸一日寝ていたから、否定しようがない。
今思えば、ずっと働き続けていた。
でもそれは、家主の奥方であるお雅にも言えることだ。
お雅さんが休んでいないのに、女中の私が休みをもらうわけにはいかない。
「そこでだ。今日と明日、奥さんから澪さんへの休暇を頂いた」
「えっ」
聞こえてきた言葉に耳を疑い、思わず聞き返す。
土方さんや沖田さんを見ると、土方さんは目を伏せて、沖田さんは優しく微笑みながら頷いた。
女中って、休み貰っていいものなのだろうか。
「澪さんの体調次第だが、今日と明日は総司も非番でな。良かったら二人で出かけてくればいい」
「ふ、二人で…ですか?」
「うん?そうだが…。だって総司は……」
近藤さんが言い終わる前に、沖田さんは咳払いをして遮った。
「近藤さん?」
「す、すまん…」
何が起きているのか分からず土方さんを見ると、驚くことに少しだけ口角を上げていた。
土方さんの笑った顔、初めて見たかもしれない。
「では澪さん、行きましょうか」
「えっ?あ、はい」
沖田さんに声をかけられ、近藤さんと土方さんに頭を下げて、部屋を後にした。
