まだ外が薄暗い時間帯に目が覚め、井戸で水を汲み、顔を洗う。
向こうにいた時は、もう少し明るくなってから起きていたけど、ここに来てさらに早起きが身についた。
寝間着の浴衣から着物に着替えて、土間に向かう。
私が一番だと思うけれど、土間に行くと必ずお雅さんがもう仕事をしている。
「おはようございます」
「おはよう。澪ちゃん、野菜切るのをお願いしてもいい?」
「分かりました」
料理は基本、お雅さんの手伝いだけれど、こうして野菜を切ったりすることもある。
野菜を炒めたり煮たりするのは、主にお雅さんの担当で、私はその間に宗太君と弥吉君を起こしに行っている。
普通なら頼まないらしいけど、二人が私に懐いているという理由で任された。
後は盛り付けをして、広間に運んでいくだけ。
お雅さんは家族で、私は調理場で一人で食事をしている。
一回、近藤さんが皆と食べないかと声をかけてくれたけど、まだ土方さんが怖かった私はその誘いを断った。
それに、たしか女中の立場で隊士の人たちと共に食事は許されなかったはずだ。
許されたとしても、近藤さんからの誘いは断っていたかもしれない。
「澪ちゃんは、京でのお使いはまだよね?」
「そう…ですね。ずっとお仕事させていただいているので」
「明け六つ時にはお店が開き始めるの。朝餉の後でいいから、お使い頼めるかしら?買うものは書いておくから」
「分かりました」
明け六つ時。ここでの時刻の表し方なのだろうけど、何時なのかが分からない。
でも、朝餉の後と言っていたから、午前中なのだろう。
