部屋を出ると、緊張が解けて全身の力が抜けていき、手の震えも中々止まらない。
「……近藤さん、澪さんを休ませてあげたいのですが」
「不快な思いをさせてしまったからな。頼めるか、総司」
「はい。……行きましょうか」
頷いて、近藤さんと土方さんに会釈をしてその場を離れた。
去り際に土方さんから「芹沢とは関わるな」と言われたが、女中として働いている以上、それは難しい。
普段穏やかな沖田さんでさえ、さっきは少し苛立ちを含めた声色だった。
それほど、派閥の仲は最悪なのだろう。
それでも彼が壬生浪士組の筆頭局長なのは、その地位に足る実力が備わっているということ。
だから、裏では反発するも誰も彼には逆らえない。
「あ、みおだ!おしごと終わった?」
部屋に向かう途中、藤堂さんと遊んでいた弥吉君が私を見つけて駆け寄ってきた。
「弥吉君、今は――」
「大丈夫ですよ」
沖田さんの言葉を遮り、心配かけないように笑顔を向ける。
本当は、家中の掃除がまだ残っている。
でも、静かな部屋で過ごすよりも、体を動かしていた方が気は紛れるかもしれない。
「今は休憩中だから、次のお仕事が始まるまでだけど、それでもいい?」
「うん!」
弥吉君のこの嬉しそうな顔は、本当に癒される。
藤堂さんが物言いたげにこっちを見ていたけど、沖田さんとアイコンタクトでも取ったのか、笑顔で弥吉君の頭を撫でた。
私はさっき縁側に上がったところまで行き、草履を履いて庭に出た。
「俺は休憩ー」
藤堂さんは草履を脱ぎ、縁側に寝転がった。
その近くに沖田さんも腰を下ろす。
