沖田さんと藤堂さんは壬生浪士組内でも最年少らしく、私と一番年が近い二人。
だからだろうか、未だ気を遣うけれど、どこか話しやすいと感じている。
布を干し終わった私は、空になった桶を持って縁側に上がる。
「澪さん」
ふと名前を呼ばれて、立ち上がりざまに振り向くと、近藤さんと土方さんが歩いてきていた。
私が屯所で働くと決まったあの日、近藤さんが土方さんに報告したらしい。
近藤さんの言うことなら、反抗しつつも言うことを聞くからという山南さんの提案だったと、沖田さんが話してくれた。
あの日以来見かけることはあっても、こうして面と向かって会うのは久々だ。
相変わらず睨まれているけど。
「芹沢先生がようやくお帰りになられた。挨拶に行こう」
「分かりました」
邪魔にならないように桶を立てかけ、近藤さんの後に続いた。
土方さんは「総司を呼んでくる」と言って、沖田さんを探しに行った。
挨拶に行くだけなのに、そこまでするものだろうか。
――芹沢鴨。
壬生浪士組の筆頭局長で、近藤さんよりも立場が上の人物。
正直、それ以外何も知らない。
歴史が大好きな塚井先生でさえ、芹沢鴨に関する資料がないと嘆いていたくらいだ。
「ここが芹沢先生のお部屋だ」
同じ建物内なはずなのに、この部屋だけ異様に感じる。
近藤さんの時も緊張したけど、今の緊張さはその倍はあるだろう。
「……入らないんですか?」
「ああ、ちょっとな」
問いかけると、近藤さんはフッと優しく笑った。
沖田さんを呼びに行った土方さんを待っているのだろうか。
緊張のあまり下を向き、体の前で手を握る。
こっちに来てから、この動作が癖になりつつある。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。私がそばにいますから」
「待たせたな」
振り向くと、微笑んで歩いてくる沖田さんと真顔で歩いてくる土方さんがいた。
珍しく眉間にシワが寄ってないなんて口にしたら、土方さんの眉間にシワが寄るだろう。
でも、会ってこの方、眉間にシワが寄ってない土方さんを見るのは初めてだ。
