椅子を引く音や話し声が重なって、静かだった教室がまるで別の場所みたいだ。
「澪ー、帰ろー」
「うん」
「おっ、俺も混ざっていいー?」
「いつも勝手に混ざってんじゃん」
帰り支度をしていると、朱莉と颯に声をかけられ、鞄を肩にかけて、教室を後にする。
廊下に出ると、さらに人が増えていて、教室よりも賑やかに感じた。
昇降口に来ると、帰る生徒たちでごった返していた。
自分の下駄箱周りが空くまで、掲示板のところでしばらく待つ。
「この後どうする?」
「アイス!」
この後の予定を話していると、少しずつ自分の下駄箱周りが空いてきたから、ローファーに履き替えて校舎を出る。
教室から眺めていた時より外はずっと暑くて、日傘を鞄から取り出して広げる。
日傘を差していても、この暑さは変わらない。
空と地面からの暑さに挟み撃ちにされている。
年々増してるこの暑さはどうにかならないものかと思いながら、朱莉達と並んで校門まで歩く。
手持ち扇風機も取り出してつけるも、熱風しか流れてこない。これじゃあ、扇風機の意味がない。
「私、図書館行きたい」
前を歩く二人の背中に声をかけた。
「図書館いいじゃん!図書館なら冷房効いてるし!」
「颯、静かにできないじゃん」
「できるわ!そういうお前こそ無理だろ」
「はぁー?できますけど?」
この暑い中、よく言い合いができるなと内心少し呆れる。
人との密集を避けるだけでも少しは暑さがマシになると思い、二人から少しだけ距離を取った。
