初めての恋は、時代を越えたあなたと。


でも、目が覚めても光景は変わらず、昨日と同じ場所だった。

外で眠ってしまったせいか、体が少し痛く感じる。

壁に手をつきながらゆっくり立ち上がる。

通りに出ると空はまだ薄明るく、どうやら彼者誰(かわたれ)時らしい。

人通りが少なく、歩いてる人の顔ははっきりとは見えない。

それでも、廃墟でもいいから過ごせる場所を探さないと。

と言っても、傷だらけの足で歩くには限度がある。

手当をしたくとも、絆創膏やガーゼを持っていないし、この時代にあるとも思えない。

あるとしても包帯ぐらいだろう。

知り合いはいないから、誰かに頼ることもできない。

土方さんと沖田さんは、あれからどうしたんだろう……。

ご飯代のお礼も言わないまま飛び出してきたし、土方さんにおいてはまだ怒っているかもしれない。

沖田さんは……正直、何を考えているか分からない。

彼が壬生浪士組だから、得体の知れない私でも相手にしてくれるのだろう。

もしかしたら、危ない奴かどうかを見定めているだけかもしれない。

人気の少ない通りを、ふらつきながら歩いていく。

知らない土地だから、当然土地勘はない。



「お風呂に入りたい……顔洗いたい……」



日が昇り始め、辺りが少しずつ明るくなってくる。

足の裏の痛みが強くなり、通行の邪魔にならないように端に寄って座り込む。

この時代の物価ってどれくらいなんだろう。

まぁ、高い低い以前にお金を持っていないから、何も買えないけど。



「……探しましたよ、澪さん」



聞いたことのある声がして顔を上げると、提灯と包みと小箱を持った沖田さんが歩いていた。

沖田さんは息を吹きかけ、提灯の灯りを消した。

探しに来たということは、また長州がどうのこうのと問われるかもしれない。

はかなければ拷問とかもあるかもしれない。

もしこの時代で死んだら、現代の私はどうなるのだろう。



「とりあえず、路地に入りましょうか」



返事や頷きもせず、ただ差し伸べられた手を、躊躇しながらも取って立ち上がる。

路地に入り、腰を下ろす。



「足を出してください」

「えっ?」



恐る恐る足を出すと、沖田さんは小箱を開けて包帯らしきものを手に取り、手当を始めた。

大人しく手当されている中、沖田さんの顔を盗み見る。

なぜ、そんなにも申し訳なさそうな顔をしているのだろう。

この傷は、誰のせいでもないのに。

これから私はどうなるのだろう……。

タイムスリップも夢ではなさそうだし、現代に戻る方法も今のところない。

家も食料もお金もないから、せめて働き口だけでも見つけたい。



「はい、終わりました」

「ありがとう、ございます……」



お礼を言うと、沖田さんは「どういたしまして」と優しく微笑んだ。