もしあの続きが、『泳がせておいてもいいかもしれない』や『拘束して話すまで見張っておくのも手かもしれない』だったとしたら。
そう考えるだけで吐き気がしてくる。
彼らは間者の暗殺や、情報を話すまで拷問し続けたとドキュメンタリーで見たことがある。
それが本当なら、私も拷問の対象になるかもしれない。
ーー嫌だ。怖い。
こんなに感情がはっきりと前に出てきたのは初めてかもしれない。
「ここ………」
通りすがりの人にぶつかったり転びそうになりながらも、無我夢中で走り続けた。
辿り着いたのは、さとやに行く前に土方さんと沖田さんに声をかけられた路地だった。
「帰して………。お願い!!帰して!!」
必死で地面を叩いた。必死で地面を叩き、叫んだ。
傍から見たら変な奴だと思われるだろう。
壁も叩こうと思ったが、平屋の塀なので壁を叩いて怒鳴られるのは嫌で辞めた。
確か私は道場で倒れ、目が覚めるとここに寝転がっていた。
もう一度眠れば、現代に戻れるのだろうか。
通りに出て空を見上げると、少しずつ太陽が下がっているのが分かる。
太陽を直視してはいけないけど。
今は他人の目などどうでもいい。
現代に帰れるなら、土の上だろうが屋根の上だろうがどこでだって寝るだけだ。
昼間から外で寝るなんて現代で言うホームレス感覚だ。
次第に辺りは少しずつ暗くなっていき、私の叩く力も弱まっていった。
一気にいろいろなことが起きて、思考回路も停止寸前。
私は壁に凭れて座り込んだ。
足の裏を見ると、裸足では歩いたり走ったりしたおかげで、ところどころ傷ついて血が出ている。
今頃、朱莉たちはどうしているだろう……。
帰りたい、帰りたい、ただその思いだけが、停止寸前の思考回路を駆け巡っていた。
そして、気づけばそのまま、壁に凭れて眠りについていた。
