「改めて、私は壬生浪士組の沖田総司。そしてこっちの怖い顔が、土方歳三です」
「誰が怖い顔だ」
土方さんは自分が怖い顔をしているという自覚がないんだ、と心の中で突っ込む。
壬生浪士組は確か、後に新撰組となる隊の名前だったはず。
その土方歳三と、一番隊隊長となる沖田総司が目の前にいる現状がどうにも信じ難い。
でも、どちらも聞いたことある名前で、沖田さんに関してはもっと調べたいと思っていたところだ。
……何で私は、現状をすっかり受け入れているのだろう。
まだ何がどうなっているのか、一つも分かっていないというのに。
こういう非常事態の時でも時間の経過と共に落ち着いていく自分が、時々嫌になる。
冷静だから周りから頼られたり、男子からは女子扱いされなかったり。
そんな私の現状や思考を無視するかのように、お腹が空腹を知らせてくる。
生理現象には、いつどんな時でも抗えないものだ。
「お腹空いているんですね。なら、どこかお店に入りましょうか」
私のお腹の音が聞こえたらしく、沖田さんはくすくすと笑い、土方さんは鼻を鳴らしてそっぽ向いた。
