ここがどこだか分からない場所で、目の前には知らない男性が二人。
その二人ともが、腰に刀を据えている。
相手は真剣で、私は竹刀。しかも二対一という、誰がどう見ても不利な状況。
現状が理解できず、頭は混乱状態で心も焦っている。
おまけに、つけていたはずの防具がなく、竹刀一本のみ。
道着は着ているけど、足は裸足のままだ。
これでは、逃げてもすぐに追いつかれてしまう。
長い髪の男性は、見た目からして年齢は大して私と変わらなさそうだけれど、二人ともオーラがすごいというか……。
父親より遥かに強いのは間違いない。
暑さからくる汗ではなく、嫌な感じの汗が額から頬を伝う。
「………誰、ですか。あなたたちは」
口が震えて、上手く話せない。
私が問うと二人は顔を見合わせ、低い声の方の男性が刀に手を置いた。
低い声の人の顔、どこかで見たことがある顔だ。
でも、焦っていて混乱状態の頭じゃ当然思い出せるはずがない。
私は息を吞み、竹刀を握る手に力を籠める。
「安心しろ。民に刀を抜くほど愚かではない。だが、それはお前が本当に民だったらの話だがな」
低い声の人が私を鋭く睨み、その視線に背筋が凍る。
「やめましょう、土方さん。貴女も、竹刀を下ろしてくれますか?」
土方……って、もしかして土方歳三?
思い出した。このどこかで見たことがある顔は、スマホで調べた時に載っていた人だ。
画像では何とも思わなかったけど、いざ目の前で見ると、こんなにしかめっ面なんだ。長髪の人は俗に言う美形男子。
その長髪の人に言われ、私は鼓動の速さを体で感じながら竹刀を下した。
