「また、誰か亡くなったんですね」
いつもと変わらない声なのに、少しだけ弱さを感じた。
何も答えない私の反応を肯定と受け取ったのか、亡くなったのは誰かと聞かれた。
私は、新撰組に感謝してもしきれないほどの恩があるのに、それを一度も返せないまま近藤さんが亡くなった。
「近藤さんが、板橋で斬首により亡くなったと、土方さんが……」
意を決して出した声は、平助君を前にした時と同じぐらい震えていた。
それから再び沈黙が流れたのち、沖田さんは「そうですか」と呟きながら立ち上がり、部屋の方へ歩いて行った。
近藤さんの逝去はもちろんつらいのだけれど、私にはそれ以上に苦しくてつらいことが待っている。
それに、近藤さんの一番近くにいて第一線で戦い続けてきた土方さんや沖田さんの方がとてつもなくつらいに決まっている。
震える呼吸で大きな深呼吸を数回繰り返して、沖田さんの様子を見に行った。
部屋の前まで来ると、ちょうど沖田さんが木刀を持って部屋から出てきた。
私を見た沖田さんは困ったように笑い、
「こんな体で素振りなんかしたら、近藤さんが化けて出てきそうですね」
と言いながら、縁側を下りて庭へ歩いて行った。
ここに近藤さんや土方さんがいたら、怒ってでも沖田さんを止めただろうけど、私にはそれができなかった。
できなかったというよりも、なぜか止めてはいけないような気がしたのだ。
