初めての恋は、時代を越えたあなたと。


隊士達の健康診断で松本先生が帰られる際、薬の取り扱いについて説明を受けた私は、沖田さんの薬の管理をしていた。

沖田さんにも同じことを説明して、一日分の薬を渡すようにしている。

飲んだかの確認も怠らないようにと松本先生に言われたから、こうして寝る前にも部屋を訪れている。



「大変だったでしょう。宴の用意」

「まぁ、はい……」



毎日のように部屋に訪れてはいるが、こうしてゆっくり話すのは久々かもしれない。

沖田さん付き兼女中と使用人のまとめ役を任されたあの日、沖田さんからはまとめ役に集中していいと言われた。

最初は断ったのだが、大丈夫だからと押されてしまい、まとめ役は意外と忙しくて中々話せていなかった。

多分、最後にちゃんと話したのは沖田さんと土方さんが光縁寺に来たあの日だろう。

薬を飲んだかの確認をしに訪れたら、そのまま部屋に招かれてしまったのだ。



「考え事ですか?」

「えっ」



顔に出ていたのか、沖田さんの言葉に下を向いていた顔を上げる。



「土方さんに、後悔だけはするなと言われました」



その言葉が何を指しているかなんて、私にはもうわかっている。

止めないとは言っていたけれど、また怪我をして沖田さんに心配をかけたくない。

でも、芹沢さんや山南さんの時は何も言えずにお別れをしてしまった。

きっと土方さんも気づいていた。だからあんな言葉を掛けてくれたのだろう。

今回はそうならないように、悔いの無いようにしたいのに、藤堂さんの死を見るのが怖いと思ってしまっている自分がいる。

だからなのか、行きたいのに体と足が門の方へ向かないのは。

再び下を向いて、膝の上で拳を強く握る。



「行ってください」



視界に細くなった大きな手が入り込んでくる。

本当に、この手には安心感がありすぎて逆に困る。



「澪さんが少し来る前、近藤さんたちが出ていく音がしました。最近の貴女はわざと忙しくしているように見える。だから、ちゃんと体を休ませるためにも、心ゆくまで話した方がいい」

「……ありがとうございます」



部屋を出る時に沖田さんが「私も行けたら良かったんですけどね……」と悔しそうに小声で漏らすのを、私は聞き逃さなかった。