初めての恋は、時代を越えたあなたと。


味見をして問題がないことを確かめ、順番に同じ量を盛り付けていく。

盛り付けが終わったものから運んでいくのだが、私は八木邸の時から一気に運ぶのが癖になっていて、左右に二つずつ持ち、運んでいく。

初めてそれを見た女中や使用人達に驚かれたが、幹部の人達にとっては見慣れた光景で、たまに原田さんや藤堂さんから「落とすなよー」と茶化される時がある。

二ヶ月も経てば見慣れたらしく、次々とお膳を運んでいく。



「九ツ頃に医師の松本先生がいらっしゃるそうなので、いつでもお出しできるようにお茶の用意だけお願いします」

「分かりました」



九ツ頃──正午前後に医師である松本良順さんが来ると、調理場に行く途中に近藤さんとすれ違い、教えてくれた。

隊士達の健康診断に来てくれるらしい。

以前沖田さんが言っていた、新撰組と縁のある方というのはおそらく松本先生のことだろう。

私は沖田さんが労咳ということを知っているし、近藤さんたちも薄々は気づいているかもしれない。

今日、労咳の進行状況を聞ければいいのだけれど、沖田さんが素直に教えてくれるとは思わない。

新撰組に関することは基本何でも教えてくれるし、隊士達が話しているのを耳にすることもある。

けれど、自分のことになると何も教えてくれなくなるのが沖田さんだ。

私も隠し事だらけで、人の事は言えない。



「考え事?」



まとめ役として、隊士達と一緒に食事を取っていいという許可がおり、隅の方で静かに食べていると藤堂さんが横に座った。



「藤堂さんは、松本先生をご存知ですか?」

「知ってるも何も有名だよ。怖いよ?あの人」



何を思い出したのか、藤堂さんは嫌そうな顔をした。

医師というなら、ここの衛生管理そのものに目をつけられそうだ。

頭の中にある限りの現代の掃除を徹底的に教え、埃が残っていたら私がその都度掃除してきた。

食事にも気を使うようにしているし、十分な休憩も取らせながら、やることない時は掃除をさせているししている。



「まあ、澪は気に入られると思うぜ!十五人?の使用人や女中をまとめあげている上に、いつどこ見ても綺麗だしご飯も美味い!」

「ありがとうございます」



怒られたら怒られた時だと腹を括り、私たちは食べ終わった隊士達のお膳を下げ始める。