そんな出来事から二週間が過ぎた。
広くなった屯所の手入れは大変で、女中は私を含め七名、使用人八名の計十五名が日々屯所内を行ったり来たりしている。
「おはようございます。体調はどうですか?」
「おはようございます。咳は出ますが、それ以外は特に」
沖田さんの身の回りのお世話をしながら女中と使用人の十四名をまとめる私は、とにかく忙しい。
こんな時お雅さんがいてくれたらと、何度も思ったことがある。
沖田さんのそばにいられると喜んだ二ヶ月前を返して欲しいぐらいに、沖田さん付きではあるがほとんど傍には居れていない。
誰よりも早くに起きて仕事を始め、気づけばもう夜になっている。
そんな日々をずっと繰り返している。
「失礼します。澪さん、朝餉が仕上がります」
「あっ、すぐに戻ります!」
障子越しに使用人に呼ばれ、行きますねと一言沖田さんに伝えると、急に視界が暗くなった。
「お、沖田さん?大丈夫ですか?」
「それはこっちのセリフです。……澪さん、ずっと忙しそうにしている」
子どもが母親を心配するかのような声。
埋まった顔を少し上げる。
その優しさに救われているなんて言えば、余計に心配するのが沖田総司という人だ。
大丈夫と言うように沖田さんの背中を優しく叩き、私は調理場へ向かった。
