「やはりここだったか」
光縁寺で山南さんが眠る場所の前で手を合わせていると、声をかけられた。
見なくても土方さんだということが分かる。
出発時になっても私の姿が見えず、お雅さんから朝早くに出かけたことを聞いて探しに来たらしい。
「沖田さんは?」
「あいつはお前を探しに行くと言っていたが、体のことがあるからな。俺で不服だろうが我慢しろ」
土方さんを恨んではいないが、土方さん本人は私が自分を恨んでいると思っているようだ。
あれだけ泣きながら叩いていたのだから、そう思われても仕方がないのだけれど。
「総司から伝言だ。山南さんを捕まえた時、あの人はこう言っていたそうだ。『悔いがあるとすれば、お二人の幸せな姿をもう見られないということです』……とな」
本当に、山南さんは最後まで山南さんだ。
自分が大変な時に人の幸せを願うなど、私なら絶対にできないだろう。
山南さんの最後の言葉に、視界が滲む。
私は沖田さんへの恋心を自覚したが、沖田さんが私をどう思っているかは分からない。
それに、いつ現代へ戻ってしまうか分からない人間に好意を寄せられたところで迷惑かもしれない。
だから、この想いは胸の奥で静かにしまっておくつもりだ。
「……山南さんも一緒に行けたら良かったですね」
風にかき消されるほど小さく出た声は、山南さんに話しかけているのか、土方さんに話しかけているのかが自分でも分からなかった。
