長い冬を越えて、日向に芽吹く



「もう少し真剣にやったらどうなんだ!?」

「やだやだー、文化祭のために本気だしたくないー」

「今年は我ら3年の集大成なんだぞ!いくら最弱新聞部でも、何か画期的な出し物を――」 

「最後だからこそ、遊びまくりたいんじゃん!」


「……」 
「……」
「……」
「……」

言い争う部長と鈴花先輩を尻目に、私たち2年と1年は優雅にお茶を楽しんでいる。
さっきコンビニに行った鈴花先輩が、「新作らしい」と買ってきてくれたフルーツティーは、爽やかな甘みとほのかな苦みがブレンドされた、なかなかに良い品物だ。

「このじゃれ合いを見られるのも、あと少しだと思うと寂しいですねー」

恵くんは全くそう思ってなさそうなにこにこ顔だ。

「ちなみに、去年はなにをやったんですか?文化祭」

「壁新聞だけですよ。去年は3年の先輩もやる気なかったし」

日向くんの疑問にすかさず恵くんが答えてくれる。

『部長って、そういうのやる気になるタイプなんだよね』

「……ところで」

不意に息を潜めて、弥生ちゃんが呟いた。

「あの二人……結局、どうなったんですか?」

「どうって?」

「どうって?」

恵くんと日向くんの声が見事にハモった。

「その……お、お付き合い……とか……」

そう言った瞬間、私たち三人はそーっと振り返り、部長たちを見た。
相変わらず言い争っている。関係が変わったような素振りは……ない。

「違いそうですね」

『わからないよ。装ってるだけかも』

「確かに、研修のときいい感じでしたし、あの時に付き合いはじめててもおかしくない……」

「わ、私たちはどちらだとして接すればいいのですか…?」

「おーい、そこの後輩たちー」

ビクッ。全員が一瞬凍りつく。

「な、なんですか?」

鈴花先輩の呼びかけに応えたのは、真面目な恵くん。
部長が続ける。

「ふたりで言い争っていても埒が明かないし、ここは多数決で決めないか?」