明けない夜も、君のそばにいる。

 少し色あせた館。
 黒宮館。
 私は、今日からここで暮らすのだ……。
白神(しらかみ) 菜花(さな)さんですね?どうぞ」
 ドレス、と呼ばれる服を着る。
 白神では、着物だったから、新鮮だ。
「白……」
 黒宮家なのだから、黒色のドレスでも良かったのに。
「あら、見たことない顔ね……。どちらさま?」
白神(しらかみ) 菜花(さな)です」
「まあ!菜花(さな)さま⁉初めまして。杏野(あんの) 月璃(るり)です。海衣(かい)王子って知ってる?黒宮の第一王子。その人の、まあ一応、妃。よろしくね」
「よろしくお願いします」
 人当たりのよさそうな子だ。
 聞くと、彼女はこの国の上級貴族の娘らしい。
 家では、なんでもできる姉と比べられ続け、息が詰まりそうな生活だったそう。
「まあ、黒宮家でも、あんまり変わらなかったけどね……。私は、海衣(かい)さまにとって、邪魔者でしかないから」
「邪魔者……?」
海衣(かい)さまには、ずっと想っている方がいるんです。私ではない、誰かのことを、ずっと想っている。だから、私は邪魔者なんです」
 少しさみしそうな顔をしながら彼女はそう言った。
「まあ、あの家よりはマシなんですけどね……。あ、ここが会場ですよ。じゃあ、私は先に入っていますから。後は、廉恩(れお)さんについていってくださいね」
「ありがとう、ございました」
「……ねえ、敬語はやめない?私たちって、同い年でしょ?」
「そ、そうなの?」
「うん、海衣(かい)さまが言ってた。『遥流(はる)の妃はお前と同い年だ』、って」
 知らなかった……。
 あれ、そういえば、遥流(はる)さまって、何歳なんだろう……?
「じゃあね、菜花(さな)さん」
「あ、また……」