その日、地球に隕石が落ちた。
それと同時に時空の歪みが生じた。
「うるっさ」
目覚ましのけたたましい音が耳に届き顔を顰めながら起床しアラームを止める。何気ないいつもの日常。ただいつもより寒く感じその辺に投げた上着を手に取り羽織りながら階段を降りた。
既に母は家を出たあとで湯気もたたない食パンとコーヒー牛乳をダイニングテーブルに見ながらテレビをつけるためリモコンを探した。
つけてすぐに途中からのニュースを内容が入ってくるような入ってこないようなそんな頭で適当に見流す。冷えたパンを牛乳の多いコーヒー牛乳で流し込んで現場のアナウンサーが何やらでかいくぼみと崩壊した建物を紹介している中テレビをつまらないものと括って消した。
いつもの時間にいつもの電車でいつも通り耳にイヤホン適当に突っ込んだ小説と置き勉できない教科書の入ったカバンを持って学校へ行く。おはようと挨拶する相手も昨日のテレビがさと話しかけてくるやつもいるが俺にとっての日常にそれらがあろうがなかろうが何ら変化とは言えないそんな程度の人間関係を保ちつつ校門をくぐった。
変化とはすなわちこのことだろうと思う出来事に遭遇した。隣の席の前園は有名なあの社長如く家が金持ちで発言に力があるやつだった。隣の席ということもあり適度に会話もし授業でペアになることも少なくない。そんな前園の頭になんか生えていた。
誰も気にしていない誰も気にも留めていないそんな変化が目の前で起きている。チョウチンアンコウのような小さな提灯が付いたそれは2本前園の頭で揺れている。
隣で繰り広げられる会話はそんなこといつもの事とでも言うように今朝の面白いエピソードが語られそれについて語られることはない。気にはなるがそれでも前園の頭のそれが俺に害を及ぼさない限り変化ではないと自分を落ち着かせて先生が来るのを待った。
1時間目がスムーズに終わったが隣の提灯が光を出していた。これは害だ。
変化でしかない。誰も聞かない誰でも気づきそうな変化は声をかけ尋ねるのに多大な力を使う。それでもそれについて俺は聞かなければならなかった。徐々に光出したそれについて。
「前園」
「どうした?」
「その、頭のやつ。」
俺が提灯に目を向けながら話し出すと前園はそれに触れながら当たり前のように答える。
「これ?昨日より育ってるよな?ようやく成長期来たわ」
昨日、ようやく、それらの言葉が並べられ俺の頭は瞬時に理解した。昨日今日のことではないソレが俺以外の中でいつも通りになっていると。それ以上の質問はすることを躊躇したもし、俺が聞いた内容が何か禁忌に触れた時何が起こるか分からないからだ。異常だと思われた瞬間消される可能性だってある。俺は普通に生きていきたいのだ。これ以上その場に留まり続け授業を冷静に受けるなんてことできそうにもなかったため教室を抜け出し屋上へ向かった。
屋上には壊れた鍵がかかっており鍵で回してもドアノブを前に引いて回してもどちらでも開く。俺は前に引いて回してドアを開けた。
青空と雲穏やかな風。教室での出来事がなかったように流れる空気に肩の力が抜ける。そのままひとつ上へ上がり腰を下ろした。ここだと教室の窓からもグラウンドからも見つけることができない死角になっている。何も気にすることなく自由でいられる。耳にイヤホンをさしなんとなくで持ってきた小説を開いて周りとの感覚をシャットアウトし集中した。
小説も半ばまで読んだ頃、肩に違和感を感じ視界をあげると見覚えのない男子が俺の肩を使って寝ていた。俺が小説から顔を上げたことにも気づかないほどぐっすり眠っている様子に起こす気も削がれ音楽を変えるべく携帯をポケットから取り出す。その動作で目が覚めたのか肩の重みが無くなった。
「あれ、寝たのかな」
曲の切り替わりのタイミングで男子の声がクリアに聞こえた。その言葉につい鼻で笑ってしまい咄嗟に訂正する。
「笑った訳じゃない、寝てただろと思っただけだ」
隣の男子はくつくつと静かに笑い
「それは笑っているじゃないか」
しっかりと見れば線は細く、色白で小説で表現される今にも青空に溶けてしまいそうが良く似合う男子だった。
「こんな所で何してるんだ?」
自分のことを棚に上げながら質問すれば男子はグラウンドに目線を下げながら
「僕にはできないから」
グラウンドには数人の生徒が200mの円を走っているのが見える。まぁそんなところだろうなと男子の言った言葉に納得し名前を尋ねた。
「木野葉楓。君は?」
「鈴谷 卯助」
男子、木野葉は空中に漢字を書きながら答えそれを見まねながら自分も答えた。
「卯助は珍しい名だけど意味はあるのかい?」
意味なんてそんなだいそれたものは無く、ただ代々俺の家では干支になぞらえて名がつけられてきた。順番的に兎だった俺は卯と皆、助で締められるためそのまま取って卯助。捻りも何もない伝統の付け方だっただけだ。
「無いよ、意味なんて順番が来ただけだ。」
「なるほど、きちんと時が続いたということはいいことだね。」
「ロマンチストだな」
木野葉との会話はその日から体育の時間がある日に限定して続いていった。
変化は徐々に広がりつつあった。自分だけがもしかしたら認識できておらず段々と世界になれてきたのかと思うほどに日に日に自分以外が変化していく。
羽が生えたやつ、食べ方が犬のようなやつなど目に見えて変化のある者もいたが全クラスの人間を把握していないとはいえ自分のクラスの人間くらいは分かっていた。だから気づいたのだクラスメイトが違うことに。俺の席から遠い浅枝さんはいつも黒板を消してくれていて先生からのお願いごとも割と受けるタイプだったでもその浅枝さんはクラスにおらず見たことも聞いたこともない富田さんがその席に座っていた。そんな変化だが、そうゆう変化もあるということだ。人が変わる、じゃあいつか俺も?得体の知れないもの不安感を抱えながら屋上に向かうと既に木野葉が来ていた。
木野葉には自分が体験している変化について話したことはない、もし話すことで自分がそっち側に選ばれたらと思うと怖かったからだ。
「今日どっか遊びに行かないか?」
「良いですよ」
「行きたいとことかあったらそこでいんだけど」
「じゃあ、ゲームセンターとかどうかな?」
木野葉の口から出ると想像していなかった言葉に一瞬身体が反応するが何事も無かったようにわかったと返事して空を見やげた。
今日も変わらず青く雲がまばらに散っている。
飛行機の後ろに雲は出ておらず明日も晴れだなと心でつぶやく。
「こっちでは雲が出ないと晴れなんですね」
隣の木野葉のつぶやきに不安が顔を出したが何事も無かったように空を見上げ続けた。
ゲームセンターは意外にも盛り上がった。キノコおじさんからの派生で生まれた運転体験型ゲームも太鼓極め系ゲームも木野葉は初めてだと言いながら俺よりも上手かった。クレーンゲームは下手くそで全く取れず俺が取ってやったぜくらいだった。
手に猫のぬいぐるみを抱えた木野葉は夕暮れの道を俺の影を踏みながら歩く。木野葉は無邪気だった。体育に出られないと屋上に来ていた時とは想像もつかないほどにどっちかと言うと読書とかゲームはゲームでも家でするようなそうゆうのが似合うと思っていたでも、木野葉のゲームセンターでの様子を見ていると体育も活発にできそうな健康な男子に見えた。
「卯助は、今の日常気に入ってます?」
「ああ、気に入ってるよ」
「空飛びたいとかテストなくなれとか思ったりはしないんです?」
「なくはないけど、俺に変化は難しいから」
木野葉の質問に答えながら俺の中の変化への執着を考えていた。俺が変化を嫌うのは親が原因だと思う。
親はいわゆる転勤族と言われるもので俺は小さい時から環境が目まぐるしく変わっていた。小学生の時にそれが急に終わりを迎える。母が離婚したからだ、転勤族の父から海外赴任の父へと変わった。それから母は家を空けがちになった。その時はまだ変化にそんなに敏感ではなかったように思う。母はたまに帰ってきて家のことをしていた、そんな母の行動に違和感を覚え始めた母が帰ってくると片付けられた綺麗な部屋になるのだがその綺麗さに異常が混ざり始めた初めは気のせいで済んでいたその違和感は徐々に異常に変わり始めた。母のものがなくなり始めたからだ。海外の父の元から帰ってくる母の荷物が無くなる。どちらなんだろうかとすぐに思った。小学5年生になった俺はすっかりと母のものが無くなった部屋を見て一度もかけたことがなかった父の電話番号を押した。結果は母は海外へは行ってなかった。自分に一度も別れを告げず出ていったのだ。父は冷静だった、紙切れひとつで繋がっているんだ脆いに決まっている。そう言っていた。俺の親権は父に移っていた。父は海外から1度も帰ってくることなく俺は高校へ入学した。その1週間後母という人が家に来た。その時俺は自覚した。この人が自分の領域に入るのが嫌だと。小学6年生から高校生になるまでひとりで暮らしてきたこの家とルーティンがこの人の登場によって崩れることがどうしても怖かった。母が出ていったあの少しづつ変わるあの不気味な変化をもう感じたくなかったからだった。母と名乗る人は父からの手紙を渡してきた。父は母を雇ったという。決まった時間に衣食住を支えてくれると書かれていた。決まった時間にその文に心が軽くなる。ペースを崩されない。怖いことはないんだと。
俺が変化を嫌うのは臆病だからだ、変化に気づきたくないし変化を変化と捕らえないように考えるようにもしたそうやって自分は平穏に変わりなく過ごしてきたんだ。
「僕はこっちだから、またね」
「ああ、また」
木野葉は分かれ道を俺と反対に歩いていった。
ここに道があったかどうかは考えないことにした。
それと同時に時空の歪みが生じた。
「うるっさ」
目覚ましのけたたましい音が耳に届き顔を顰めながら起床しアラームを止める。何気ないいつもの日常。ただいつもより寒く感じその辺に投げた上着を手に取り羽織りながら階段を降りた。
既に母は家を出たあとで湯気もたたない食パンとコーヒー牛乳をダイニングテーブルに見ながらテレビをつけるためリモコンを探した。
つけてすぐに途中からのニュースを内容が入ってくるような入ってこないようなそんな頭で適当に見流す。冷えたパンを牛乳の多いコーヒー牛乳で流し込んで現場のアナウンサーが何やらでかいくぼみと崩壊した建物を紹介している中テレビをつまらないものと括って消した。
いつもの時間にいつもの電車でいつも通り耳にイヤホン適当に突っ込んだ小説と置き勉できない教科書の入ったカバンを持って学校へ行く。おはようと挨拶する相手も昨日のテレビがさと話しかけてくるやつもいるが俺にとっての日常にそれらがあろうがなかろうが何ら変化とは言えないそんな程度の人間関係を保ちつつ校門をくぐった。
変化とはすなわちこのことだろうと思う出来事に遭遇した。隣の席の前園は有名なあの社長如く家が金持ちで発言に力があるやつだった。隣の席ということもあり適度に会話もし授業でペアになることも少なくない。そんな前園の頭になんか生えていた。
誰も気にしていない誰も気にも留めていないそんな変化が目の前で起きている。チョウチンアンコウのような小さな提灯が付いたそれは2本前園の頭で揺れている。
隣で繰り広げられる会話はそんなこといつもの事とでも言うように今朝の面白いエピソードが語られそれについて語られることはない。気にはなるがそれでも前園の頭のそれが俺に害を及ぼさない限り変化ではないと自分を落ち着かせて先生が来るのを待った。
1時間目がスムーズに終わったが隣の提灯が光を出していた。これは害だ。
変化でしかない。誰も聞かない誰でも気づきそうな変化は声をかけ尋ねるのに多大な力を使う。それでもそれについて俺は聞かなければならなかった。徐々に光出したそれについて。
「前園」
「どうした?」
「その、頭のやつ。」
俺が提灯に目を向けながら話し出すと前園はそれに触れながら当たり前のように答える。
「これ?昨日より育ってるよな?ようやく成長期来たわ」
昨日、ようやく、それらの言葉が並べられ俺の頭は瞬時に理解した。昨日今日のことではないソレが俺以外の中でいつも通りになっていると。それ以上の質問はすることを躊躇したもし、俺が聞いた内容が何か禁忌に触れた時何が起こるか分からないからだ。異常だと思われた瞬間消される可能性だってある。俺は普通に生きていきたいのだ。これ以上その場に留まり続け授業を冷静に受けるなんてことできそうにもなかったため教室を抜け出し屋上へ向かった。
屋上には壊れた鍵がかかっており鍵で回してもドアノブを前に引いて回してもどちらでも開く。俺は前に引いて回してドアを開けた。
青空と雲穏やかな風。教室での出来事がなかったように流れる空気に肩の力が抜ける。そのままひとつ上へ上がり腰を下ろした。ここだと教室の窓からもグラウンドからも見つけることができない死角になっている。何も気にすることなく自由でいられる。耳にイヤホンをさしなんとなくで持ってきた小説を開いて周りとの感覚をシャットアウトし集中した。
小説も半ばまで読んだ頃、肩に違和感を感じ視界をあげると見覚えのない男子が俺の肩を使って寝ていた。俺が小説から顔を上げたことにも気づかないほどぐっすり眠っている様子に起こす気も削がれ音楽を変えるべく携帯をポケットから取り出す。その動作で目が覚めたのか肩の重みが無くなった。
「あれ、寝たのかな」
曲の切り替わりのタイミングで男子の声がクリアに聞こえた。その言葉につい鼻で笑ってしまい咄嗟に訂正する。
「笑った訳じゃない、寝てただろと思っただけだ」
隣の男子はくつくつと静かに笑い
「それは笑っているじゃないか」
しっかりと見れば線は細く、色白で小説で表現される今にも青空に溶けてしまいそうが良く似合う男子だった。
「こんな所で何してるんだ?」
自分のことを棚に上げながら質問すれば男子はグラウンドに目線を下げながら
「僕にはできないから」
グラウンドには数人の生徒が200mの円を走っているのが見える。まぁそんなところだろうなと男子の言った言葉に納得し名前を尋ねた。
「木野葉楓。君は?」
「鈴谷 卯助」
男子、木野葉は空中に漢字を書きながら答えそれを見まねながら自分も答えた。
「卯助は珍しい名だけど意味はあるのかい?」
意味なんてそんなだいそれたものは無く、ただ代々俺の家では干支になぞらえて名がつけられてきた。順番的に兎だった俺は卯と皆、助で締められるためそのまま取って卯助。捻りも何もない伝統の付け方だっただけだ。
「無いよ、意味なんて順番が来ただけだ。」
「なるほど、きちんと時が続いたということはいいことだね。」
「ロマンチストだな」
木野葉との会話はその日から体育の時間がある日に限定して続いていった。
変化は徐々に広がりつつあった。自分だけがもしかしたら認識できておらず段々と世界になれてきたのかと思うほどに日に日に自分以外が変化していく。
羽が生えたやつ、食べ方が犬のようなやつなど目に見えて変化のある者もいたが全クラスの人間を把握していないとはいえ自分のクラスの人間くらいは分かっていた。だから気づいたのだクラスメイトが違うことに。俺の席から遠い浅枝さんはいつも黒板を消してくれていて先生からのお願いごとも割と受けるタイプだったでもその浅枝さんはクラスにおらず見たことも聞いたこともない富田さんがその席に座っていた。そんな変化だが、そうゆう変化もあるということだ。人が変わる、じゃあいつか俺も?得体の知れないもの不安感を抱えながら屋上に向かうと既に木野葉が来ていた。
木野葉には自分が体験している変化について話したことはない、もし話すことで自分がそっち側に選ばれたらと思うと怖かったからだ。
「今日どっか遊びに行かないか?」
「良いですよ」
「行きたいとことかあったらそこでいんだけど」
「じゃあ、ゲームセンターとかどうかな?」
木野葉の口から出ると想像していなかった言葉に一瞬身体が反応するが何事も無かったようにわかったと返事して空を見やげた。
今日も変わらず青く雲がまばらに散っている。
飛行機の後ろに雲は出ておらず明日も晴れだなと心でつぶやく。
「こっちでは雲が出ないと晴れなんですね」
隣の木野葉のつぶやきに不安が顔を出したが何事も無かったように空を見上げ続けた。
ゲームセンターは意外にも盛り上がった。キノコおじさんからの派生で生まれた運転体験型ゲームも太鼓極め系ゲームも木野葉は初めてだと言いながら俺よりも上手かった。クレーンゲームは下手くそで全く取れず俺が取ってやったぜくらいだった。
手に猫のぬいぐるみを抱えた木野葉は夕暮れの道を俺の影を踏みながら歩く。木野葉は無邪気だった。体育に出られないと屋上に来ていた時とは想像もつかないほどにどっちかと言うと読書とかゲームはゲームでも家でするようなそうゆうのが似合うと思っていたでも、木野葉のゲームセンターでの様子を見ていると体育も活発にできそうな健康な男子に見えた。
「卯助は、今の日常気に入ってます?」
「ああ、気に入ってるよ」
「空飛びたいとかテストなくなれとか思ったりはしないんです?」
「なくはないけど、俺に変化は難しいから」
木野葉の質問に答えながら俺の中の変化への執着を考えていた。俺が変化を嫌うのは親が原因だと思う。
親はいわゆる転勤族と言われるもので俺は小さい時から環境が目まぐるしく変わっていた。小学生の時にそれが急に終わりを迎える。母が離婚したからだ、転勤族の父から海外赴任の父へと変わった。それから母は家を空けがちになった。その時はまだ変化にそんなに敏感ではなかったように思う。母はたまに帰ってきて家のことをしていた、そんな母の行動に違和感を覚え始めた母が帰ってくると片付けられた綺麗な部屋になるのだがその綺麗さに異常が混ざり始めた初めは気のせいで済んでいたその違和感は徐々に異常に変わり始めた。母のものがなくなり始めたからだ。海外の父の元から帰ってくる母の荷物が無くなる。どちらなんだろうかとすぐに思った。小学5年生になった俺はすっかりと母のものが無くなった部屋を見て一度もかけたことがなかった父の電話番号を押した。結果は母は海外へは行ってなかった。自分に一度も別れを告げず出ていったのだ。父は冷静だった、紙切れひとつで繋がっているんだ脆いに決まっている。そう言っていた。俺の親権は父に移っていた。父は海外から1度も帰ってくることなく俺は高校へ入学した。その1週間後母という人が家に来た。その時俺は自覚した。この人が自分の領域に入るのが嫌だと。小学6年生から高校生になるまでひとりで暮らしてきたこの家とルーティンがこの人の登場によって崩れることがどうしても怖かった。母が出ていったあの少しづつ変わるあの不気味な変化をもう感じたくなかったからだった。母と名乗る人は父からの手紙を渡してきた。父は母を雇ったという。決まった時間に衣食住を支えてくれると書かれていた。決まった時間にその文に心が軽くなる。ペースを崩されない。怖いことはないんだと。
俺が変化を嫌うのは臆病だからだ、変化に気づきたくないし変化を変化と捕らえないように考えるようにもしたそうやって自分は平穏に変わりなく過ごしてきたんだ。
「僕はこっちだから、またね」
「ああ、また」
木野葉は分かれ道を俺と反対に歩いていった。
ここに道があったかどうかは考えないことにした。
