比翼連理 冷宮皇后は皇帝陛下の最愛

 千年より昔、霊鳥の血を受け継ぐ民が国を興した。霊山に住まうという霊鳥は、ただの鳥の姿ではなかったと伝えられている。目も翼も一つしかなく雌雄が互いに協力しなければ羽ばたくこともできない比翼の鳥の形をしていたという。そして霊鳥の雌雄はことさらに仲睦まじかった。
 永国の太祖とその皇后たる祥嘉(しょうか)皇后は比翼の鳥のように仲が良い夫婦として今日(こんにち)まで伝わっている。

 霊鳥の血が強い子は霊鳥の紋章をその身に宿す。
 人々は、紋章を持つ子が女の子ならば翎娘(リンニャン)と呼んだ。
 また霊鳥の紋章を持つ男の子が、皇位に上がれば異能が発現した。

 異能の始まりは太祖が霊鳥に異能を願ったことだという。霊鳥はそれを聞き入れ太祖とその子孫たる皇帝たちは異能を手に入れた。そして霊鳥は太祖に異能に対する警告を伝えたという。
 だが今では内容は伝わっていない。
 ただ、皇帝と皇后は紋章を持つものが務めなければならない。そして離縁してはならぬ。という太祖の決まりだけが今でも伝わっている。
 そのため翎娘を一度、妻にすれば離縁は認められない。よって、ある時から皇帝は皇后に死を与えて、妻を新しい翎娘に入れ替えた。そうすれば、離縁せずとも新しく皇后を冊立出来るという理屈だった。
 不思議なことに、太祖と幾人かの皇帝は、皇后とともに人とは思えぬほどの長寿であったが、多くの皇帝は長くは生きられなかった。短命の皇帝は不思議と異能の力が弱かった。

 異能は、時の皇帝により様々であった。太祖は鬼神に姿を変え強大な武力を持ち、また文帝は人心を読めたという。
 そして、今上帝の異能はいまだ誰にも知られていない。