ぼくの神さま。


 ぼろぼろのまま、ぼくは気付けば教会へと向かっていた。耳を澄ませると、遠くの方で微かに昨日聞いた音がした。
 救いを求めるあまり聞こえる幻聴かと思い、ぼくは立ち入り禁止のテープを潜り抜け、慌てて建物の裏側まで駆け出す。
 するとそこに、『神さま』は居た。初めて会った時と同じように、リヒトさんはシャベルを片手に穴の前に立っていたのだ。
 その光景を見て、ぼくは歓喜に震えた。

「……リヒトさん……また会えた……!」

 やはり彼との出会いは運命だ。そう感動していると、彼もぼくに気付いたようで、一瞬驚いたように目を見開いた後、一旦作業の手を止め、優しく微笑みを浮かべてくれた。

「おや、ユウヒくん。また来たのかい?」
「お邪魔でしたか……?」
「ううん、もう終わるところだし。今日も暑いね……と、あれ? きみ、なんだか僕よりも土まみれだね」
「あはは……ちょっと、いろいろあって」

 ああ、彼もまた罪を埋めている。それもきっと、ぼくよりもずっとずっと重い罪だ。それを抱えながら尚、神さまは変わらず穏やかに笑っているのだ。
 そう思うとぼくは、やはり連続殺人鬼と再会した恐怖なんかより、嬉しさと安心から泣きそうになった。
 慌てて袖口で目元を拭うと、リヒトさんは不思議そうに首を傾げる。

「……? どうかしたのかい?」
「はい……光が、眩しくて」
「そっか……そこは暑いだろう、こっちにおいで」

 そう言って日陰から手招く彼に、ぼくは躊躇うことなく駆け寄った。