【続編♡完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい2


「ハッ!?は、裸ぁッ!?」


目覚めと同時に驚きの声を上げた俺は、喉の異常な疲れに気付く。
これはアレだ、カラオケでオールした翌日に似てる。


「おはよ、伊織先輩」
「…千冬…」


俺の耳元に響く気怠げな声と、柔らかなキスが落とされる。
布団の中で俺の身体を包む温もりは、背後から俺を抱きしめる千冬だった。
素肌同士がぴたりと密着して、少し動くだけで擦れ合う感触が恥ずかしい。


「喉、痛いですか?」
「…いや、大丈夫…」
「こっちは?」
「ぁっ…!?」


腰を撫でられ、身体がびくりと反応する。
反射的に背中を反ると、筋肉痛のような痛みが走った。
首元に「はぁ……」と千冬の重くて熱いため息が落とされる。


「……朝から誘ってるんですか?」
「は、はぁ!?」
「僕はいつでもしたいですけど…、伊織先輩の体が心配です。昨日だって、初めてなのに結構無理させて───」
「うわわ!言うなアホ!」


千冬が欲しいと言ったのは本心だったけど、昨晩は千冬に散々乱され、これでもかと愛を注ぎ込まれ、俺がもうキャパオーバーだからと言っても止めてはくれなかった。

千冬の体力って、どうなってんだよ……。


「伊織先輩、」
「あ?…ちょ、何してんだよ、」
「思い出したら、また欲しくなってきました」
「おい、んっ、ぁ…、」
「先輩…、だいすきです…、愛してます…」


昨日何度も聞いた愛の言葉。
千冬が俺の首の後ろや耳元に唇を寄せ、ねだるように何度も吸い付く。
俺を抱きしめていた手も、肌の感触を確かめるように身体中を這い始めた。

たった一晩で俺の身体は何を学習したのか、千冬から与えられる刺激に従順に、肌が熱を帯びていく。


「〜〜っ、やめろって!コラ!」
「痛ぁっ!」


思い切り身を捩り、後頭部で頭突きをかましてやると千冬はようやく動きを止めた。
顔だけで振り返り、わざと睨むように千冬を見ると、千冬は幸せそうに笑って、また俺の首元に顔を埋めた。

犬か?こいつは…。


「今日は買い物行く約束だろ?」
「買い物より大事です」
「……帰ってきてからなら、…してもいい」
「本当!?やった!」


若干呆れながらも、頬は緩む。
千冬は俺の両手の指を絡ませて、上機嫌に鼻歌を歌い始めた。


「その曲、なんか聴いたことあるな」
「はい。伊織先輩の『オリ曲』ですよ」
「あー…。お前、まだイジってんのか?しつけぇぞ」
「ふふっ、違いますよ」


千冬の言う「俺のオリ曲」は、スノボ旅行の帰りに、俺が披露した鼻歌だ。
千冬の「yours」という曲を歌ったつもりなのに、耳で聴くのと、自分で歌うのでは随分違う曲になっていたらしい。

千冬は明るく笑うと、自分のスマホを手繰り寄せ、俺越しに画面を操作し始めた。


「この曲、僕にくれませんか?」
「へ?」
「って、許可を取る前に、ちょっと使わせてもらっちゃったんですけど……」


そう言って、千冬が編集中の録音を入れているアプリを立ち上げた。
ずらっと並ぶデータの中から「mine」と名付けられた曲をタップする。
すると、緩やかな千冬のギターと優しいハミングが流れ始めた。
ハミングは、俺のあのメロディ。


「……これ…」
「伊織先輩の許可なく使ってごめんなさい。あまりにも好きすぎて、このメロディを軸に一曲作っちゃいました」
「……使うのは良いけどさ、」


俺だって、もう一度歌えって言われてもわかんねぇくらいだし。
何より、編集中のこの状態で、既にいい曲だって分かる。
ゆったりしたテンポに、ところどころに特徴的なリズムや音が入る。
まるで、散歩の途中に小さな喜びや驚きを発見して、ひとつひとつ拾い集める、そんな感じの曲だ。
優しいのに、聴いていて飽きない。
ずっと聴いていたくなる。


「すげぇな…。あのメロディが、こんなふうになるんだな」
「気に入ってもらえましたか?」
「おう。お前の作る曲は、どれもすげぇ好き」
「ふふ、嬉しいです。でも、伊織先輩に出会ってからの僕の音楽は、全部伊織先輩でできてます。だから、すごいのは伊織先輩です」


鼻先で俺のうなじを弄り、また首筋にキス。
くすぐったい。


「歌はまだ合わせてないので、また完成したら聴いてくれますか?」
「おう。なんか、優しい感じの曲だな?」
「はい。本当は、『yours』みたいなテイストにしようと思ったんですけど…、伊織先輩のメロディがあまりにも愛おしくて、気付いたらこうなってました」
「はぁ…?」


そういうもんなのか?
曲作りなんかしたことねぇから、よく分かんねぇけど…。


「伊織先輩の全部を僕のものにしたいのに、やっぱり、先輩には敵いませんね」
「おう…?う、」


後ろからぎゅっと抱きしめられ、ちょっとだけうめき声を上げた。
置きっぱなしの千冬のスマホからは、「mine」が流れ続け、千冬の優しいハミングと、柔らかなギターの音に満たされる。
なんだろ、なんか、すげぇ幸せだな…。


「なぁ、この『mine』って、この曲のタイトル?」
「はい。まだ仮ですけど」
「…ゴホン。じゃあ俺から、“原曲者様”から、一つ提案してもいいか?」
「はい!もちろん!」


興奮気味に身を乗り出し、キラキラした瞳で俺を見る。
かわいいやつ。
ちょっと笑ってから、「安直な思いつきだけど」と断って続ける。


「『mine』だと、『私の』って意味だろ?」
「はい」
「これは、二人で作った曲だから、『ours』の方が合ってね?」
「あ……、ふふっ、いいですね、それ!とってもいいです!」


千冬はスマホに手を伸ばし、長い指でmineをoursに書き換える。
え、即採用?
いいのか?

言い出しておきながら困惑気味の俺に構わず、千冬は保存をかけて再び俺を強く抱きしめた。


「はぁ…、幸せです」
「おう…」
「愛してます、伊織先輩。ずっと、ずっと離しません」
「俺も、千冬のこと、あ、愛してる…」
「伊織先輩…!」
「あ、ちょっ、お前…っ!そうやって触るなって言ってるだろっ」
「ふふっ、だーいすきです」
「ガキか!ったく…」


身体ごと千冬に向けると、額をくっつけて笑い合う。
触れ合った鼻先が少し冷たくて、だけど、心の中はぽかぽか温かだった。

俺たちの曲の完成が楽しみだな。
あの曲みたいに、俺も小さな喜びや幸せを拾いながら、ゆっくり歩んでいきたい。


この先もずっと、

千冬と、一緒に。










──────『かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい2』


おわり♡















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伊織と千冬を温かく見守ってくださった皆様にも、これからたくさんの素敵なことがありますように…⟡.·

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