おかえりなさい、俺の英雄



その小さな英雄は、ある日突然俺の城の前に現れ、扉を勢いよく開け放った。
『ドッヂの人数足りないからお前参加な!』
こちらに拒否権を最初から与えないという、少年特有の横暴さをもってして、俺を外に引きずり出した。英雄—梅原光留。招かれてもいない他人の心のうちに断りもなく土足でズカズカと入り込んで、剰え平然とした顔で居座ってくる男だった。
己の心を守るために作り上げた小さな城に籠る俺が顔をしかめているのにもかかわらず、この男は図々しく居座り続け、俺の心に勝手に椅子を作ってドカリと座り、そこを定位置とした。

感情も表情も乏しく、面白みのかけらもない、ただ時が過ぎるのに身を任せるだけの子供らしからぬ子供だった俺に、誰からも可愛がられそうな可愛げのある子供である光留が興味を持つ理由なんて好奇心以外の何物でもないだろうから、どうせすぐ飽きるだろうと思っていたが、その答えは存外早く知ることになった。