閉店後、制服の隣で。

午前中のシフトは無事に終わって、他のクラスを回りに行こうと、前々から約束をしていた種崎の元に行く。
こんな俺と一緒に文化祭を回ってくれるなんて、ほんとにいい人だと思う。
ちなみに一ノ瀬と俺を二人っきりにしたことはまだ恨んでいるが、俺に付き合ってくれているものだから何も言えなかった。
こないだバイトで、一ノ瀬からも一緒に回らないかと誘われたが、当然先約がいたし、一ノ瀬と回りたい人ならいくらでもいるだろうと思って断った。そして、なぜ俺を誘うのかもわからない。
もしかして……一ノ瀬は俺のこと犬だと思ってるのか!? いやいやいや。あいつにいたってそんなことは……。
「凪沙!待たせてごめん。行こっか」
「た、種崎……」
種崎の教室の扉の前で、ひとりで決めつけて、ひとりで首を振っているところを種崎に呆気なく見られてしまった。
小っ恥ずかしくて、歩く速度を早めると、種崎は可笑しそうに笑った。
笑われると余計に恥ずかしい。
「凪沙はほんとに面白いね」
「あれのどこに面白い要素が……」
色んなところをキョロキョロしながら種崎と笑いあった。
最高の親友を持って、俺は恵まれているなぁとしみじみと感じる。
「あ。あそこの店行こっか」
種崎はある教室のお店を指さして、俺はそれに頷き、ふたりで中に入った。
そういえば、どんな店なのか誰のクラスなのか何も確認していなかったなと思い、周囲を見渡していたが……。
「凪沙? どしたの?」
「え、い、いや? な、なんでもないよ!? うん。一ノ瀬のクラスだって知ったからってなんでもないよ!?」
「なんでもなくないじゃん」
種崎は呆れたように言いながらも、どこか楽しそうに俺の顔を覗き込んでくる。
「……いや、ほんとに大したことじゃない」
「一ノ瀬のクラスだからなんでもないって言ってる時点でアウトだよそれ」
小さく舌打ちして、視線を逸らす。でも、もう遅い。
さっきからやけに落ち着かないのは、そのせいだって自分でもわかってる。
なんでよりにもよって……。
わざわざ避けてたわけじゃないけど、わざわざ来たいとも思ってなかった場所。
ここの教室には、派手な装飾は少なくて代わりに整ったテーブルと椅子。静かめのBGM。
そして……。
「いらっしゃいませ、お客様」
低くて、少しだけ抑えた声。
聞き慣れてるはずの声なのに、空気が違う。
いつもよりなんというか、もっと女の子を魅了しそうな黒を基調にした執事服を着ていて、首元まできちんと整えられたシャツに、細く結ばれたネクタイ。
上に羽織ったジャケットは身体のラインにぴったり合っていて、無駄がない。
背筋がまっすぐ伸びていて、動きにも一切の迷いがない。
まるで、本物みたいな……。いや、何それ。
頭が一瞬、理解を拒否する。見慣れてるはずの顔なのに、全然違って見える。
視界の中の色が、そこだけ少しだけ濃く見えた気がした。周りのざわめきも、BGMも、一瞬だけ遠のいて、目の前の姿だけが妙に鮮明に浮かび上がる。呼吸のリズムが乱れていることに、自分で気づくのが遅れた。
「……凪沙?」
隣で、種崎が小さく声を漏らす。
「お前、固まってるけど大丈夫?」
「……え、あ、いや……」
言葉が出てこない。というか、視線が外せない。
一ノ瀬は一瞬だけこっちを見てほんのわずかに、目を細めた。でも次の瞬間には、もうその表情は消えている。
「こちらへどうぞ」
あくまで店員としての声。距離も、態度も、完璧に一定。
「……やば。何あれ。完成度高すぎだろ」
「……だよな」
ぽつりと、種崎が呟き、反射的に同意してしまう。
ぼそぼそ言い合ってる間にも、一ノ瀬は淡々と仕事をこなしていく。
注文を取りに行って、料理を運んで、軽く会釈して。無駄がない。隙がない。
やっぱりいつものバイトのせいか慣れてるのか。どこまで行っても、完璧。
視線がぶつかって、ふいと目を逸らす。
さすがに無理だった。空気も近いし、見られてるのが、はっきりわかった。
「ご注文、お決まりでしょうか」
逃げ場がない距離に、目の前に来た。
こんなに王子様の店に来るのが嫌だったのに、なんで今こうして言いなりになってるんだろ……。俺、おかしくなっちゃったのかな。
「俺これにしよっかな。凪沙は?」
種崎がメニューを開いて、一ノ瀬に注文をする。
俺は何も決めていなかったと思い、慌ててメニューを見る。
「……あ、同じで」
頭の中がそれどころじゃなくて、適当に答える。
「かしこまりました」
メモを取りながら、一ノ瀬は淡々と頷く。
ほんの一瞬だけ、ペンを止めて、こっちを見る。
他の客には絶対しないような、ほんの一瞬の間。いや、他の客への接客見てないからわからないんだけど。
「……またあとで」
彼は小さく、俺の耳元でそう言った。誰にも聞こえないくらいの声で。
「……は?」
思わず聞き返しそうになるが、もう一ノ瀬は離れていた。何事もなかったみたいに。
「……今の何」
種崎が小声で聞いてくるが、俺は何も知らないという顔で、唇を尖らせた。
「……知らねぇよ」
でも、心臓はわかりやすく跳ねてる。
またあとでって。その一言だけが妙に引っかかって期待みたいなものが、ほんの少しだけ混ざる。
なぜかは知らないけど
「凪沙さ」
「……何」
種崎は何かを知りたそうな顔で、俺に詰め寄ってくる。
もう何かっていうのは大体予想できてるんだけど……。
「絶対なんかあるよね、一ノ瀬と」
「……ねぇよ」
わかっていたことだが、少し遅れてしまってその声は少しだけ弱かった。
「いや、あるって。あれ普通じゃないでしょ」
「……気のせいだろ」
無理やり言い切るけど、さっきの視線も、あの一言も。全部普通じゃなくて、日々振り回されている。
何もわからないまま、俺はまた一ノ瀬に視線を動かした。


文化祭の終わりは、思っていたよりずっと静かだった。
昼間あれだけ騒がしかった校内が、夕方に近づくにつれて少しずつ音を失っていく。
廊下を埋めていた人の流れも途切れはじめて、教室の中のざわめきも、どこか遠慮がちに小さくなっていた。
「終わりかぁ……」
誰かがぽつりと呟く。
その声に、何人かが「だね」とか「早かったな」とか、同じような温度で返す。
達成感と、少しの寂しさ。それが混ざった、文化祭の終わり特有の空気。
俺はその中で、最後の片付けをしていた。濡れたグラスを一つ一つ拭いて、棚に戻す。
机の上に残った水滴を、布巾でゆっくりと拭き取る。
作業自体は単純で、何も考えなくていいはずなのに、終わるんだなとふと思った。文化祭が終わる。つまり、この数日間の非日常も終わる。
どうでもいいはずなのに、なぜか胸の奥に引っかかるものがある。
理由はわかっているのに、認めたくない。
「湊ー、これ運んでくれる?」
「あ、うん」
呼ばれて、反射的に返事を打ち箱を持って、教室の外に出る。
廊下はもう、人がまばらだった。
さっきまでの騒がしさが嘘みたいに、静かになっている。
そのまま歩いて、視線を上げる。
少し離れた場所に、一ノ瀬がいた。階段の近くで、誰かと話している。
「今日はありがとね、ほんと助かった」
「いやいや、全然。そっちも大変だったでしょ」
相手の話をちゃんと聞いて、相槌を打って、自然に笑う。
あの、完璧な笑顔。誰にでも向ける、あの顔。
……やっぱあれなんだよな。
これが普通の一ノ瀬で、周りが知ってる顔。
なのに、なんで俺の前だけ違う表情をするんだろう。その疑問が、また浮かぶ。
初めて会ったときは、少し違和感があったけどみんなに見せる笑顔を浮かべてくれたのに、なぜか最近は仏頂面で、俺に対してだけ冷たいし、表情もあまり変えない。
考えれば考えるほど、わからなくなる。
関係ないはずなのに、知る必要なんてないはずなのに。
やめたいのに、やめられない。いつからこんな、俺って……。
「……はぁ」
小さく息を吐く。
その音に気づいたのか、目の前の視線がこっちに向いて目が合う。
一ノ瀬は、一瞬だけ驚いたように目を細めてほんのわずかに、表情を緩めた。
久しぶりに見た、力が抜けた自然な表情。胸の奥がどくんと鳴って遅れてくる鼓動。
いつも不機嫌な顔しかしないくせに。急に笑いやがって。
「……なんだよ」
小さく呟いて、視線を逸らす。見てられなかった。意味がわからなくて。
だってあの笑顔向けられても、前はムカつくと思ってたのに嬉しいとか思い始めたり、ドキドキするとか思い始めたり。俺の頭は本当にバカになったのかとしか思えない。
片付けも一段落したして、文化祭が終わったと思って一度椅子に腰掛ける。
驚くくらいあっさりと学校は元の姿に戻り、廊下は静かで教室もいつも通り。あの騒がしさも、熱も、全部消えていた。
「なんか一気に普通だな」
「それな〜」
そんな会話が聞こえてくる。
俺はは、それを聞き流しながら窓の外を見ていた。
青い空。いつも通りの景色。変わったものなんて、何もないはずなのに、頭の中に残っている。消えないものがある。一ノ瀬からの視線、表情、言葉。全部が、中途半端に残っている。
「玲央くんさー、あのときマジでかっこよくなかった?」
「あれやばかったよね!」
後ろの席から女子たちの声につい耳を傾けてしまう。
廊下の向こうであいつはまた、人に囲まれてる。笑っている。
やっぱり別世界の人すぎるなぁと思ってしまうんだけど、どうしてもその視線がこっちに向いてほしかった。

数日後。放課後の空気が、少しずつ夜に近づいていく時間。
俺はいつも通り、バイト先のドアを押し、小さなベルの音が鳴る。
「お疲れ」
カウンターの向こうから聞こえた声に軽く頷く。案の定シフトは毎回の用に被り、それに慣れてしまっている俺もいるが、一ノ瀬とする仕事はどうも居心地がいいというか……安心するというか。自分でも何を思っているのかわからない。
「人数少ない中頑張ってもらってごめん」
「いいよ、別に。どうせ湊来るんだし」
一ノ瀬の不思議な発言に首を傾げるが、少し恐怖を覚えたので気にしないように一ノ瀬に目を向けた。
制服姿でも、文化祭の衣装でもない、見慣れたはずのバイト用の服。それなのに、やっぱりどこか違って見えた。
意識してしまっている自分に気づいて、少しだけ顔を俯かせる。
「今日、そこ頼んでいい?」
「ああ、うん」
短いやり取りを交わして、いつも通り仕事が始まり、忙しい時間帯は、あっという間に過ぎていった。
注文を受けて、料理を運んで、片付けをして。
何気ない時間なのに、どうしてか今日はぼーっと考えてしまう。
「平気? なんか今日ずっと上の空っぽいけど」
お皿を厨房に運んで接客に戻ろうとしたとき、一ノ瀬に肩を掴まれて、まじまじと俺を見つめてくる。
俺は今日ほんとに反応が鈍くて、意識がぼんやりしていた。だから一ノ瀬の言葉にもすぐに返せず数秒後はっと気づいて苦笑いをする。
「あ、うん。平気だから。ごめん」
「ぼんやりしすぎて接客に支障出ないようにね? 今日お客さんたくさんいるんだし」
「わかってるよ」
いや、何こいつ……?
心配してくれてるのか、とか俺のこと見ててくれて嬉しいとか、そういう思いは今の発言ですぐに吹っ飛んでしまい、ぼーっとしていた意識は完全に覚めきった。
ほんと、なんで俺だけそんなに冷たいんだか。いつもはあんなに笑ってるのに。
覚めきった身体で、考える余裕もなくあちらこちらに身体を動かしているうちに、気づけば閉店時間になっていた。
店内から客がいなくなり、照明が少し落とされる。
さっきまでの喧騒が嘘みたいに、静かな空間が広がった水の流れる音が、やけに大きく聞こえる。
今日の片付け当番は、最悪なことに俺と一ノ瀬だった。
最初の頃は沈黙が気まづくて、何か話さなきゃと思っていたのに、なぜか今は少しだけ居心地が良いと思うほど、俺は一ノ瀬に懐いてしまったみたいだ。
俺はシンクの前に立ち、グラスを洗いながら、無意識に口を開いた。
「……あのさ」
自分でも驚くくらい、自然に出た声だった。
一ノ瀬の動きが、わずかに止まる。
ずっと言いたかったことを、なぜか今聞きたいと思った。このタイミングはやはり俺でもおかしいと思って、まだ身体が覚めきっていないのかと確かめるように、自分の頭をぽかぽかと叩く。
「何?」
何も返事をされないかと思っていたから、俺は驚いてテーブルを拭いている一ノ瀬に身体を向ける。
彼は表情一つ変えずに、ずっと黙々と作業をしていた。
その背中に向かって、俺は言葉を続ける。
「な、なんかさ……学校で見るお前と、ここでの感じなんか全然違うよなって前から思ってて」
水を流す音が、一瞬だけ強くなる。言ってしまってから、少しだけ後悔した。
でも、止めることはできなかった。
「ていうか……俺に対してだけ、なんかおかしくない?……なんか、冷たいというか」
言葉を選んでいるつもりなのに、うまく整わない。
それでも、もう止まれない。一ノ瀬はゆっくりと手の動きを止めて、姿勢を正した。店内に、静けさが落ちる。
振り返ったその表情は、文化祭で見たものとも、学校で見たものとも違っていた。少しだけ、力が抜けている。
「……別に、違わないよ」
そう言いながら、一歩近づく。
「お前の前でだけ、無理してないだけ」
その言葉は、あまりにもあっさりとしていた。でも、その分だけすごく重く感じる。
「無理……?」
「周りに合わせて笑ったり、適当に話合わせたりするの別に嫌いじゃないけど」
少しだけ目を伏せて、それからまたまっすぐ見てくる。
「お前の前でそれやる意味、ないだろ」
彼との距離がまた近づいて、片付けなんてものをすっかり忘れてしまっていた。ただ、その後に続く彼の言葉が聞きたくて。でも、少し怖かった。
逃げる理由を探す前に言葉が重ねられて、少しだけ間があってから続けられる。
「制服取り違えたのも、シフトよく被るのも。全部、偶然だと思ってた?」
「えっ……」
その言葉に、俺の肩がわずかに揺れる。問いかける声は静かで、でも逃げ場を与えない。
一ノ瀬はそんなことは、俺なんかにそんなことは……とありもしない想像を繰り返す。
俺は何も言えないまま、ただ見返す。
一ノ瀬は、まっすぐ俺の瞳を見つめて小さく息を吐いた。
「……違うよ。最初からわざとお前に近づくために、やった」
「……」
その一言が、空気を変えるはっきりとした声だった。
誤魔化しも、迷いもない。理解が追いつかない。
頭の中で、今までの出来事が繋がりそうで繋がらない。
言葉にしようとしても、何も出てこない。
シンクの水の音だけが、やけに大きく響いている。一定のリズムで流れ続けるその音が、現実に引き戻そうとしてくるのに、体の感覚だけが少しずつ遠くなる。指先が冷たくなっているのに、心臓のあたりだけが妙に熱い。
そんな俺を見て、一ノ瀬は少しだけ困ったように笑った。
「そんな顔すると思った」
優しく言うわけでもなく、からかうわけでもない、ただ事実を受け入れているような声。
そして、視線を外さないまま、ゆっくりと言葉を続ける。
「湊」
名前を呼ばれる。それだけで、心臓が強く鳴る。
ただ名前を呼ばれただけなのに、その音が耳の奥に残って離れない。いつもと同じはずの呼び方なのに、今はまるで意味が違って聞こえる。逃げようとすればするほど、その一音に引き戻されるみたいだった。
その声が、なぜか今はすごく甘く感じて。
ま、まさか一ノ瀬はずっと? 何か違和感のある笑顔も、他人には見せない不機嫌さや仏頂面を俺に見せるのも、俺だったらどんな顔でも見せられるってことなのか……?
もしかして……と思う暇もなく、手を握られて頬を撫でられる。
「俺、お前のことが好きだよ」
「す……!?」
静かな店内に、その声が落ちる。大きな音じゃないのに、やけに響いた。逃げ場なんて、最初からなかったみたいに。
俺は何も言えないまま、その場に立ち尽くす。
ただの偶然だと思っていた出来事が、全部、目の前の人間の意思で繋がっていたと知る。
その事実が、ゆっくりと胸の奥に沈んでいく。
沈んでいくはずなのに、同時に浮かび上がってくるものもあった。文化祭で見た背中、バイトでの距離、視線がぶつかった瞬間。その全部が、ばらばらだったはずなのに、ひとつの線になって繋がっていく。
視線を逸らすこともできずにいると、一ノ瀬が一歩だけ距離を詰めた。
「ちゃんと考えていいから」
彼は俺の頭を撫でてまたテーブルを拭き直した。
触れられた場所が、じんわりと熱を持つ。ほんの一瞬のはずなのに、その余韻だけが残って消えない。離れていったはずの手を、無意識に目で追ってしまう自分に気づいて、余計に混乱する。
いつもならムカつく……と思うのに、俺は今胸の鼓動が鳴り止まない。
少しだけ甘くて柔らかくなる声、触れる大きな手、好きって言ってくれたときの少し辛そうな表情。全部が頭から離れなくて、唖然と立ち尽くしていた。
その言葉は、強引じゃないのに、逃がしてくれない。
俺はようやく息を吸い込んで、震えそうになる声を押さえながら口を開いた。
未だに理解が追いつかないっていうのにどうして、そんなに彼は冷静でいられるんだろ。
「……なんで、俺なんだよ」
それは疑問であり、戸惑いであり、少しだけ混ざった本音だった。
一ノ瀬は少しだけ目を細めて、迷うことなく答える。
「気づいたら、目で追ってた」
その言葉を聞いた瞬間、自分の中で何かが止まった。いや、止まったというより、隠していたものを急に見つけられたような感覚に近い。否定したかったはずなのに、なぜか一番最初に浮かんだのは、自分も同じことをしていた記憶だった。
……なんだよそれ。答えになってねぇだろ。
なんで俺なんだよ。どこまでも平凡凡だぞ俺。
少しだけ視線を逸らして、また戻す。
「理由なんて、後からいくらでもつけられるけど。最初から、そうだった」
「っ……」
その距離で見つめられて、俺はもう何も言えなかった。
心臓の音だけが、やけに大きく響いている。
否定しようとしても、言葉が出てこない。
ただ、自分も、同じように目で追っていたことだけは、誤魔化せなかった。