柚元景がグループのリーダーなのか、左右にいるメンバーに顔を向けた。
大きい声で腰に両手をつけて伝えていた。
「オッケー!」
手で丸を作って、笑っていた辻村仁海。
「了解!」
親指を立てて、少し口角を上げて言う固蔵好。
「イェス」
英語で発音よく歯を見せて言う柔宮蛍。
「うん」
横顔が映える英くんは柔らかく微笑んで返事をしていた。
「よろしくね、長谷川くん」
城内さんは手を重ねた。
僕は礼をしてから、その場を離れた。
英くんはすぐにレッスンが始まるので、ここで別れた。
帰り際、城内さんはわざわざ僕を一階のロビーまで送ってくれた。
「今日はありがとうね。STELLAのメンバーも喜んでたよ。コンサートの日程、分かったら、連絡するね」
城内さんとはLINEを交換した。
芸能関係者と繋がれるなんて、英くんと出会わなければなかった。
「はい」
僕は返事をして、城内さんと目が合う。
「長谷川くんには長谷川くんの良さがあるから。そこは自信持ってね」
目を細めて優しく、僕に城内さんは声をかけた。
「あ、ありがとうございます」
僕はその言葉に今までやってきたことが無駄ではなかったことに涙が出そうになった。
頭を下げて、僕はその場をあとにした。
ビルを出て、僕は思った。
僕が僕らしくいられる居場所があるのか。
リュックを背負い、僕は持ち手を握った。
外に歩く人がいないことを確認して、僕はスキップをして帰った。



