アイドルの君へ伝えたいことー配信アイドルの僕が、本物のアイドルに恋をした—

 *

「美月、なに?」

 僕は美月から連絡があったので、折り返し連絡した。

「なにって。全然、連絡ないしさ。どうしたのかなって思ったの」

 美月は不貞腐れているのか頬を膨らませて、ブツブツとなにかを言ってくる。

 僕の話を聞いてくれる人はあまりいないので、美月に心配してもらえるだけでありがたい。

 なんだかんだ、僕の話は最後まで聞いてくれる。

 たまに美月の話も聞くが、僕の話が八割だ。

 僕より二個上だからか、聞き上手で面倒見がいい。

「ゴメン。ちょっと色々あってさ」

「なになに? 気になる、早く教えてよ!」

 美月は興味津々に前のめりで聞いてくる。

「えーと…」

 僕は英くんから告白されたこと、英くんのことを好きになったことを素直に美月に伝えた。

「なっ、なっ、なにその急展開。えー、嫌だもう。こっちが照れるわ」

 なぜか美月は両手を頬につけて、身体を左右に揺らして、にやついていた。

「ちょっとさ、ちゃんと僕の話聞いてる?」

「聞いてる、聞いてる。よかったじゃん。いろいろモヤモヤしてたでしょ。それが、恋の好きって分かったから。スッキリしたんじゃない」

 僕は美月に言われた言葉を頭の中でリピートする。

 確かに。好きだと分かって、モヤモヤは消えていた。

 恋愛での意味の好きだって分かってよかったのに、なんだか胸が苦しい。

 複雑な心境に僕は顔をしかめた。

「なに、その顔」

 美月は口をポカンと開けたまま、声を発していた。

「だって、会えないし、返事してないんだもん」

 僕は顔を手で隠して、美月から目を逸らす。

「好きなこと伝えてないの!」

「…うん、コンサート近いから練習あるし、それまで会えないって言われたから。連絡も
しばらくしてない」

 僕はため息を吐いてから、手元にあるスマホ画面を開き、通知がきていないか確認する。

 通知はきていなかった。

「…っなんなの。初々しくて、こっちが恥ずかしくなるわ」

「…だってさ…」

 僕が話そうとしたら、美月の言葉と重なった。

「コンサートっていつなの?」

「七月一五日土曜日」

 初夏になり、やけに暑さが日に日に増してきた。

 多分、この日も暑くなること間違えはない。

「ふーん、そっか。英くんに連絡しな。じゃないとずっとこのままだよ。悠生。まだ一週
間あるんだし。じゃあ、私用事あるから、じゃあね」

「え? 美月?」 

 一方的に美月はビデオ通話を切り、会話は終わった。

 まだ一週間か。

 僕にとって、もう一週間だ。

 Lunaのライブから三週間は経っている。