アイドルの君へ伝えたいことー配信アイドルの僕が、本物のアイドルに恋をした—

                        *

 大学に行く途中、コンビニに寄った。

 昼休みに食べるものを買うために、おにぎりや弁当が売っているコーナーに足を運ぶ。  

 見ると、新作商品があり、食べたいけど美味しいのかと悩む。

 俺は柔宮の言葉がずっと頭に浮かび続けていた。

 “長谷川くんは、自分を押し殺すタイプでしょ”

 俺が気づかないことを柔宮はすぐ気づく。

「情けないな」

 スマホを片手に持ち、頭にトンと置き、悠
生のことを考える。

 あれから、悠生からは連絡はない。

 悠生に事務所に連れて行った時に、レッスンが終わった後、ラインをした。

 でも、既読にもならなくて、まだ未読のままだ。

 多分、見ていない。

 なにかあったのだろうかと心配になる。

 スマホのロックを外して、悠生のライン画面をタップする。

 見ても、既読はつかない。

 また連絡しても、見てくれるかな。

「はぁ…」

 おにぎり・弁当のコーナーで立ち止まっていたので、買いたい人が俺の肩にぶつかり、
小さい声で「邪魔」と舌打ちをして会計へ行っていた。

 俺は軽く頭を下げて、「すみません」と謝った。

 ここにいては、お客の邪魔だ。

 鮭と昆布のおにぎりふたつを手に取り、会計を済ませた。

 外に出て、俺はまだ悠生のことを考えていた。

 どうしたら、悠生に俺が思っていること伝わるのかな。

 コンビニ袋を持ち、俺は考え込む。

 悠生。

 配信アプリでの千世は至って、アイドルをしている。

 いつもの嬉しそうな笑顔で。

 でも、悠生としては気配すらない。

 本当にいるのかって、思ってしまう。

 俺は、悠生に言わないといけないのは確かだ。

 自称アイドルの千世としてではなく、悠生が必要だって言わなくちゃ。

 俺は駆け足で大学まで向かった。

「悠生」

 アイドルがアイドルを推すのは、あまりよくないのかもしれない。

 自分の個性があるのに、推しているアイドル色に染まるかもしれないから。

 俺は千世から教わり、直接悠生に会い、俺の足りないものがあることに気づいた。

 会って、まだ一カ月しか経っていないのに、俺は悠生の言葉で以前よりも自信を持っていた。 

 今日は月曜日の心理学の授業。

 悠生がいるはずだ。

 教室のドアを豪快に開けてから、周りを見渡す。

 俺はいつも帽子を被って、学校に来ている。

 校内では地元アイドルの英橙羽として、俺自身そのものは見ていない。

 地元アイドルは売れないに決まってる。

 なんで無駄なことしてるんだ。

 まぁ、顔はいいし、声だけはかけておくかということを話しているに違いない。

 直接聞いた訳ではないが、大体俺が感じていることは当たる。

 その予感は的中した。