「なんか…えっと、拒否られ…た」
「はぁ???」
リーダーに泣きつくように言った俺。
チケットを受け取って貰えなかったと告げると、イミワカランと何度も呟かれる。
それは、もう、俺こそが言いたい台詞!
「まぁ…もう、気にすんな。推しが変わったって事で諦めろ…な?」
ポンと慰めるように俺の肩を叩く。
よくある事だから…って、自分自身にも言い聞かせてるように言うリーダーに、俺は何も言えなかった。
アイドルとは、そういうもの。
それが俺たちの共通認識。
ため息をつくと、なかなか切り替わらない頭を空っぽにする為、その日は、死ぬほど体を動かした。
「今日は、気合い入ってんな!やるじゃーん!」
他のメンバーが声を掛けてくれ、ヘラりと笑った。
次の日…もはや習慣みたいになっていた、昼休みの中庭。
彼は変わらず、同じ場所でパンを食べている。
毎日パンで飽きないのか…
しかし、彼の食べているパンは、具が沢山入った美味しそうなパン。
家で作ったとは思えないソレは、売り物なのか?日替わりで中身が違うっぽいし…
購買には無いパンは一体何処で売ってる物なのか…
パンをじっと見ているとバチりと彼と目が合った。
ぺこりとお辞儀をされる。
特に嫌われてる訳では無いと認識したが、見ていた事がバレた事への居た堪れ無さに、俯き、弁当のウインナーに箸を刺した。
「パン…」
彼が何かを言った気がして、俺は顔を上げる。
すると、目の前に彼が居た。
「パン要りますか?」
俺は、物欲しそうに見えてたって事か…
彼はナイロン袋からゴソゴソとメロンパンを一つ取り出した。
「はい」
何も答えない俺の膝に、パンを置くと、元の位置に戻って行った。
それにしても、彼の考えてる事が全く読めない……
チケットは受け取らないけど、俺に自分の昼ご飯を分けてくれる。
腹を空かせた人を助けるアンパンマン的な、単純に人助け的な感じなのか?
「ありがとう…貰って良いの?好物じゃないのか?いつもパン食べてるから、パン好きなのかと」
これでは、毎日見てたと言わんばかりだったが、彼はそれには触れず、こちらへとやってきた。
「うち、パン屋なんで…」
ボソッと言うと、俺の隣に腰を下ろした。
驚いてじっと見てると
「あっ、隣…ダメでしたか?」
「いや…全然、ダメでないよ」
やっぱりよく分からない。
野良猫みたいだと思った。
こっちから餌を出したら警戒して拒否るのに、勝手な気分次第で向こうから寄ってくる。
そして、別に何かを話す訳でも無く、前を向いたまま無言でモグモグとパンを咀嚼する彼。
貰ったパンをかじるとバターの香りが広がり、ザラメのかかった外の生地がサクサクしていて、とても美味かった。
「え、美味しいな、コレ!」
隣の彼に向かって思わず呟いたら、こちらを向き、ふんわりと笑う彼。
「ばぁちゃんが喜びます、言っておきます」
塩から砂糖に変わった笑顔は、天地を貫く破壊力があった。
しかし、その笑顔は瞬き程度の一瞬で、すぐに元に戻ってしまった。
残念だ…
てか、家がパン屋なのか。
近所か?どこのパン屋なんだろ…
スマホで検索しかけた手を止める。
待て、俺よ…
そんな、すぐ調べるとか、ストーカーみたいじゃねぇかよ…
しかも、チケットも受け取ってくれない、推し変してしまった元ファンへの対応として、これは正しいのか?
おれのプライドって、どこいった?
モヤモヤしつつ悩んでいると…
ふと彼のカバンに目が留まる。
学校用サブバックには、俺の公式グッズのキーホルダーがつけられている。
他の飾りは一切無い。
「推し変したんじゃないのか…?」
心の中だけのつもりが声に出ていた。
「変わってませんよ、僕はイル推しですから」
淡々と話す彼。
「え?!ん?やっぱり、俺推し?」
「イル推しですけど、角南先輩推しではありません」
いやいや、どういう事だよ!
って思った俺の疑問には、答える事も無く、チャイムの音と同時に、彼はぺこりとお辞儀をして、去っていった。
「はぁ???」
リーダーに泣きつくように言った俺。
チケットを受け取って貰えなかったと告げると、イミワカランと何度も呟かれる。
それは、もう、俺こそが言いたい台詞!
「まぁ…もう、気にすんな。推しが変わったって事で諦めろ…な?」
ポンと慰めるように俺の肩を叩く。
よくある事だから…って、自分自身にも言い聞かせてるように言うリーダーに、俺は何も言えなかった。
アイドルとは、そういうもの。
それが俺たちの共通認識。
ため息をつくと、なかなか切り替わらない頭を空っぽにする為、その日は、死ぬほど体を動かした。
「今日は、気合い入ってんな!やるじゃーん!」
他のメンバーが声を掛けてくれ、ヘラりと笑った。
次の日…もはや習慣みたいになっていた、昼休みの中庭。
彼は変わらず、同じ場所でパンを食べている。
毎日パンで飽きないのか…
しかし、彼の食べているパンは、具が沢山入った美味しそうなパン。
家で作ったとは思えないソレは、売り物なのか?日替わりで中身が違うっぽいし…
購買には無いパンは一体何処で売ってる物なのか…
パンをじっと見ているとバチりと彼と目が合った。
ぺこりとお辞儀をされる。
特に嫌われてる訳では無いと認識したが、見ていた事がバレた事への居た堪れ無さに、俯き、弁当のウインナーに箸を刺した。
「パン…」
彼が何かを言った気がして、俺は顔を上げる。
すると、目の前に彼が居た。
「パン要りますか?」
俺は、物欲しそうに見えてたって事か…
彼はナイロン袋からゴソゴソとメロンパンを一つ取り出した。
「はい」
何も答えない俺の膝に、パンを置くと、元の位置に戻って行った。
それにしても、彼の考えてる事が全く読めない……
チケットは受け取らないけど、俺に自分の昼ご飯を分けてくれる。
腹を空かせた人を助けるアンパンマン的な、単純に人助け的な感じなのか?
「ありがとう…貰って良いの?好物じゃないのか?いつもパン食べてるから、パン好きなのかと」
これでは、毎日見てたと言わんばかりだったが、彼はそれには触れず、こちらへとやってきた。
「うち、パン屋なんで…」
ボソッと言うと、俺の隣に腰を下ろした。
驚いてじっと見てると
「あっ、隣…ダメでしたか?」
「いや…全然、ダメでないよ」
やっぱりよく分からない。
野良猫みたいだと思った。
こっちから餌を出したら警戒して拒否るのに、勝手な気分次第で向こうから寄ってくる。
そして、別に何かを話す訳でも無く、前を向いたまま無言でモグモグとパンを咀嚼する彼。
貰ったパンをかじるとバターの香りが広がり、ザラメのかかった外の生地がサクサクしていて、とても美味かった。
「え、美味しいな、コレ!」
隣の彼に向かって思わず呟いたら、こちらを向き、ふんわりと笑う彼。
「ばぁちゃんが喜びます、言っておきます」
塩から砂糖に変わった笑顔は、天地を貫く破壊力があった。
しかし、その笑顔は瞬き程度の一瞬で、すぐに元に戻ってしまった。
残念だ…
てか、家がパン屋なのか。
近所か?どこのパン屋なんだろ…
スマホで検索しかけた手を止める。
待て、俺よ…
そんな、すぐ調べるとか、ストーカーみたいじゃねぇかよ…
しかも、チケットも受け取ってくれない、推し変してしまった元ファンへの対応として、これは正しいのか?
おれのプライドって、どこいった?
モヤモヤしつつ悩んでいると…
ふと彼のカバンに目が留まる。
学校用サブバックには、俺の公式グッズのキーホルダーがつけられている。
他の飾りは一切無い。
「推し変したんじゃないのか…?」
心の中だけのつもりが声に出ていた。
「変わってませんよ、僕はイル推しですから」
淡々と話す彼。
「え?!ん?やっぱり、俺推し?」
「イル推しですけど、角南先輩推しではありません」
いやいや、どういう事だよ!
って思った俺の疑問には、答える事も無く、チャイムの音と同時に、彼はぺこりとお辞儀をして、去っていった。

