「目が欲しくない?」
暗闇。
匂いも、
感触も、
味もない。
―――虚無。
地面があるのかも分からない場所で、少年が座り込んでいた。
「……くれるの?」
縋るように上ずった声。
顔を上げた少年の頬を涙が伝い落ちる。
眼球がない。
真っ黒な空洞。
吸い込まれそうなほどの深淵。
―――覗いてみたくなった。
「あげる」
「……また、見えるようになる?」
「なるよ」
少年の口元が緩んだ。
「ありがとう」
差し出された両手。
その掌に、眼球を二つ置く。
「覚えておいて」
「……?」
「要らなくなったら、返してもいい」
二つの眼球から、眩い光が放たれる。
世界を覆い尽くした。
そして、願う。
「君の選択を、教えて」
