"もう結構です"
この言葉が、まだ部屋中に響いていた。翠蘭はもう一歩下がる。皇帝陛下がまた遠ざかる。その距離は皇帝陛下が踏み出すには、あまりにも遠かった。
「待て。」
皇帝陛下の声が部屋中に低く響く。だが、翠蘭の足は止まらない。一歩、また一歩と、どんどん距離を広げる。
「話は、まだ終わっていない。」
「…終わっております。」
翠蘭は真っ直ぐに目を見つめながら返す。
「私の中では、既に。」
その声に迷いの色はなかった。皇帝陛下の胸が軋んだ。
――遅すぎた。
その一言だけが、すべてを物語っていた。
「…誰が、ここまでの状況を作った?」
静かに問う。怒りではなく、もっと冷たい何かが、声に宿っていた。翠蘭は答えない。
「……ああ、俺だな。」
その一言に翠蘭はようやく顔を上げた。
「陛下、その…。」
翠蘭はそれ以上、何も言わなかった。皇帝陛下は、側近に視線を向けた。
「調べろ。」
そのまま、続ける。低く、冷たい声で。
「後宮に流れているすべての噂、当事者から関わった者まで、一人残らず、すべてだ。…虚偽であれば、」
一瞬の間。
「容赦はしない。」
空気が凍りついた。
その後の後宮は、まさに嵐のようだった。まず、最初に崩れたのは噂だった。
"皇帝陛下は麗妃の後宮に渡っていない"
その事実が明るみになった途端、今までの麗妃の話がすべて嘘であったと認識された。続いて。
「翠蘭様の宮への不法侵入、器物破損、…」
淡々と罪状が読み上げられていく。広間の中央には、跪き、それを聞きながら震えている、麗妃とその配下たちの姿があった。
「ち、違います!これは、その……!」
顔を真っ青に染めながら、言い訳の数々を並べる。
「言い訳は不要だ。」
玉座から冷たい視線を向けると共に、冷たい声が響き渡った。皇帝陛下のその一言のみで、すべてが封じられる。皇帝陛下の視線はただ一人、麗妃のみに向けられていた。
「お前は、自分の口で語ったな?…"三日続けて訪れた"と。」
「……っ」
再び、沈黙が降りる。麗妃はガタガタと震えていた。
「事実ではない。虚偽を流布し、後宮の秩序を乱した罪は重い。」
麗妃の顔から、血の気が引く。
「加えて、正妃への狼藉。」
その声はどこまでも、低く、冷たかった。
「もはや言い逃れはできぬ。」
「お、お許しを…!」
床に額を擦りつける。だか。
「許さぬ。」
皇帝陛下は即答で断言する。迷いも、情けも、一切ない。
「麗妃は、その位を剥奪し、後宮より直ちに退け。」
広間がどよめいた。
「関与した者も、同様に処罰する。」
完璧と言える程の決着だった。
後に、この後宮を揺るがした大騒動として、麗妃の末路は、誰もが語る"ざまぁ"として広まった。
さて、この一件はここでおしまい。だが、皇帝陛下と翠蘭にとっては、まだ何も終わってはいなかった。
この言葉が、まだ部屋中に響いていた。翠蘭はもう一歩下がる。皇帝陛下がまた遠ざかる。その距離は皇帝陛下が踏み出すには、あまりにも遠かった。
「待て。」
皇帝陛下の声が部屋中に低く響く。だが、翠蘭の足は止まらない。一歩、また一歩と、どんどん距離を広げる。
「話は、まだ終わっていない。」
「…終わっております。」
翠蘭は真っ直ぐに目を見つめながら返す。
「私の中では、既に。」
その声に迷いの色はなかった。皇帝陛下の胸が軋んだ。
――遅すぎた。
その一言だけが、すべてを物語っていた。
「…誰が、ここまでの状況を作った?」
静かに問う。怒りではなく、もっと冷たい何かが、声に宿っていた。翠蘭は答えない。
「……ああ、俺だな。」
その一言に翠蘭はようやく顔を上げた。
「陛下、その…。」
翠蘭はそれ以上、何も言わなかった。皇帝陛下は、側近に視線を向けた。
「調べろ。」
そのまま、続ける。低く、冷たい声で。
「後宮に流れているすべての噂、当事者から関わった者まで、一人残らず、すべてだ。…虚偽であれば、」
一瞬の間。
「容赦はしない。」
空気が凍りついた。
その後の後宮は、まさに嵐のようだった。まず、最初に崩れたのは噂だった。
"皇帝陛下は麗妃の後宮に渡っていない"
その事実が明るみになった途端、今までの麗妃の話がすべて嘘であったと認識された。続いて。
「翠蘭様の宮への不法侵入、器物破損、…」
淡々と罪状が読み上げられていく。広間の中央には、跪き、それを聞きながら震えている、麗妃とその配下たちの姿があった。
「ち、違います!これは、その……!」
顔を真っ青に染めながら、言い訳の数々を並べる。
「言い訳は不要だ。」
玉座から冷たい視線を向けると共に、冷たい声が響き渡った。皇帝陛下のその一言のみで、すべてが封じられる。皇帝陛下の視線はただ一人、麗妃のみに向けられていた。
「お前は、自分の口で語ったな?…"三日続けて訪れた"と。」
「……っ」
再び、沈黙が降りる。麗妃はガタガタと震えていた。
「事実ではない。虚偽を流布し、後宮の秩序を乱した罪は重い。」
麗妃の顔から、血の気が引く。
「加えて、正妃への狼藉。」
その声はどこまでも、低く、冷たかった。
「もはや言い逃れはできぬ。」
「お、お許しを…!」
床に額を擦りつける。だか。
「許さぬ。」
皇帝陛下は即答で断言する。迷いも、情けも、一切ない。
「麗妃は、その位を剥奪し、後宮より直ちに退け。」
広間がどよめいた。
「関与した者も、同様に処罰する。」
完璧と言える程の決着だった。
後に、この後宮を揺るがした大騒動として、麗妃の末路は、誰もが語る"ざまぁ"として広まった。
さて、この一件はここでおしまい。だが、皇帝陛下と翠蘭にとっては、まだ何も終わってはいなかった。



