私はエリザベス・スパイシュカ、12歳になりましたの。
最近は背も伸びましたし、立ち居振る舞いも大人っぽくなったと評判ですのよ!
「エリー、社交界デビューの日が決まったよ」
食事中に告げられたお父様の言葉に、私は驚いて顔をあげましたわ。
「社交界デビューですの!?」
「そうだよ。2週間後に遠方から、同盟国の王族の方々が我が国を訪問することになってね。エリーとスパリオ王太子殿下も、皆さんにご挨拶をして欲しいんだよ」
「成程、流石お父様ですわ!」
「おや、娘に最高の晴れ舞台を用意したパパを、褒めてくれるのかい?」
「スパリオが私にメロメロであることを他国の方にも見せつければ、国の乗っ取りが容易になりますわね!」
「うん。まだその設定続いていたんだね!」
「ふっふっふ、見ておいでなさいまし、他国の王族の方々! スパリオがどれだけ私にメロメロであるかを、見せつけて差し上げますわー!」
「普通で! 普通で良いんだよ、エリー!」
「もういいじゃない、貴方。張り切っているんだし」
何かを諦めたように話し込んでいるお父様とお母様のことは知る由もなく、私は燃えていましたわ!
◇ ◇ ◇
「社交界に一番大事なものが、分かるかしら? ランランちゃん」
私は自室の椅子にテディベアのランランちゃんを座らせて、得意げに先生役をしていますの。
『えー? わからないなぁ!』
「分かりませんのね。ならば、教えて差し上げましょう!」
裏声でランランちゃんの台詞を喋ってから、私は部屋のクローゼットに近づいて扉を指さしましたわ。
「それは――ドレスですわ!」
言うと同時にクローゼットを開けると、そこには素敵なドレスが沢山収まっていましたの。
「私に似合う、最高の一着を見つけてみせますわー! これでスパリオも、更にメロメロ間違いなしですの。おーっほっほっほ!」
高笑いする私の声を、ノック音が遮りましたわ。
「お嬢様、失礼いたします。スパリオ王太子殿下より、贈り物が届いています」
「ふぇっ!? どうしてですの?」
「急ぎでお届けしたいとのことで、受け取って参りました」
そうして部屋に運ばれてきたのは、綺麗な包装の施された大きな箱でしたわ。
私がドキドキしながら、その中を確認すると――薄い青色に、金色の刺繍があしらわれた美しいドレスが入っていましたわ。
「綺麗……まるで、お星さまみたい……!」
うっとりとその素敵さに見入っていると、ドレス以外にも箱に何かが入っていることに気づきましたの。
それは小さな箱と、一通のお手紙でしたわ。
私はまず、手紙を開封しましたの。
『突然の贈り物で、ごめんね。もし気に入ってくれたら、パーティーにはこのドレスを着てくれると嬉しい。きっとエリーに似合うと思うから。当日を楽しみにしているよ。――スパリオ』
「着るーっ! このドレス! このドレスが良い! これにするーっ!!」
私は反射的に手紙に返事をかえしてしまってから、我に返りましたの。
「はっ……! こ、こほん! まあ、なかなかの素敵で素晴らしく、最高のセンスでありますわね! 仕方がないから、パーティーで着るドレスに、選んで差し上げても宜しくってよ!」
誰も聞いていないけれど、とりあえず体裁を取り繕ってから、私は小箱の方を開いてみましたの。
その中には――私とお揃いの、ランランちゃんのドレスが入っていましたわ。
「好きいいっ! こういうとこ好きっ! 私のこと、誰より分かってるの、好きいっ!!」
私は反射的に気持ちを爆発させてから、また我に返りましたの。
「こほこほ、こほん! まあ、なかなかに良い気遣いですわね! 私がメロメロにする相手として、不足なしと言ったところでしてよ!」
それから私は上機嫌で、鏡の前で何度も何度もドレスを合わせてみましたわ!
◇ ◇ ◇
「おやまあ、スパリオ王太子殿下が、自分の髪と瞳の色のドレスを贈るなんて。愛されているんだね、エリー」
「あの子、意味は分かっていないみたいよ、貴方」
「伝えるかい? ママ」
「……やめておきましょう。きっと、混乱し過ぎてパーティーどころではなくなるわ」
「はっはっは、確かにそうだねぇ」
――こんな会話が密やかにお父様とお母様で行われていたことになんて、ドレスに夢中で全然気づいていませんでしたの。
◆ ◆ ◆
エリーですわ!
ここまでお読みくださり、ありがとうございますわー!
あれから、ランランちゃんとダンスの練習をしていますの。
きっと当日は、会場中が私に釘付けですわね!
次回、舞踏会編!
お楽しみになさって!
最近は背も伸びましたし、立ち居振る舞いも大人っぽくなったと評判ですのよ!
「エリー、社交界デビューの日が決まったよ」
食事中に告げられたお父様の言葉に、私は驚いて顔をあげましたわ。
「社交界デビューですの!?」
「そうだよ。2週間後に遠方から、同盟国の王族の方々が我が国を訪問することになってね。エリーとスパリオ王太子殿下も、皆さんにご挨拶をして欲しいんだよ」
「成程、流石お父様ですわ!」
「おや、娘に最高の晴れ舞台を用意したパパを、褒めてくれるのかい?」
「スパリオが私にメロメロであることを他国の方にも見せつければ、国の乗っ取りが容易になりますわね!」
「うん。まだその設定続いていたんだね!」
「ふっふっふ、見ておいでなさいまし、他国の王族の方々! スパリオがどれだけ私にメロメロであるかを、見せつけて差し上げますわー!」
「普通で! 普通で良いんだよ、エリー!」
「もういいじゃない、貴方。張り切っているんだし」
何かを諦めたように話し込んでいるお父様とお母様のことは知る由もなく、私は燃えていましたわ!
◇ ◇ ◇
「社交界に一番大事なものが、分かるかしら? ランランちゃん」
私は自室の椅子にテディベアのランランちゃんを座らせて、得意げに先生役をしていますの。
『えー? わからないなぁ!』
「分かりませんのね。ならば、教えて差し上げましょう!」
裏声でランランちゃんの台詞を喋ってから、私は部屋のクローゼットに近づいて扉を指さしましたわ。
「それは――ドレスですわ!」
言うと同時にクローゼットを開けると、そこには素敵なドレスが沢山収まっていましたの。
「私に似合う、最高の一着を見つけてみせますわー! これでスパリオも、更にメロメロ間違いなしですの。おーっほっほっほ!」
高笑いする私の声を、ノック音が遮りましたわ。
「お嬢様、失礼いたします。スパリオ王太子殿下より、贈り物が届いています」
「ふぇっ!? どうしてですの?」
「急ぎでお届けしたいとのことで、受け取って参りました」
そうして部屋に運ばれてきたのは、綺麗な包装の施された大きな箱でしたわ。
私がドキドキしながら、その中を確認すると――薄い青色に、金色の刺繍があしらわれた美しいドレスが入っていましたわ。
「綺麗……まるで、お星さまみたい……!」
うっとりとその素敵さに見入っていると、ドレス以外にも箱に何かが入っていることに気づきましたの。
それは小さな箱と、一通のお手紙でしたわ。
私はまず、手紙を開封しましたの。
『突然の贈り物で、ごめんね。もし気に入ってくれたら、パーティーにはこのドレスを着てくれると嬉しい。きっとエリーに似合うと思うから。当日を楽しみにしているよ。――スパリオ』
「着るーっ! このドレス! このドレスが良い! これにするーっ!!」
私は反射的に手紙に返事をかえしてしまってから、我に返りましたの。
「はっ……! こ、こほん! まあ、なかなかの素敵で素晴らしく、最高のセンスでありますわね! 仕方がないから、パーティーで着るドレスに、選んで差し上げても宜しくってよ!」
誰も聞いていないけれど、とりあえず体裁を取り繕ってから、私は小箱の方を開いてみましたの。
その中には――私とお揃いの、ランランちゃんのドレスが入っていましたわ。
「好きいいっ! こういうとこ好きっ! 私のこと、誰より分かってるの、好きいっ!!」
私は反射的に気持ちを爆発させてから、また我に返りましたの。
「こほこほ、こほん! まあ、なかなかに良い気遣いですわね! 私がメロメロにする相手として、不足なしと言ったところでしてよ!」
それから私は上機嫌で、鏡の前で何度も何度もドレスを合わせてみましたわ!
◇ ◇ ◇
「おやまあ、スパリオ王太子殿下が、自分の髪と瞳の色のドレスを贈るなんて。愛されているんだね、エリー」
「あの子、意味は分かっていないみたいよ、貴方」
「伝えるかい? ママ」
「……やめておきましょう。きっと、混乱し過ぎてパーティーどころではなくなるわ」
「はっはっは、確かにそうだねぇ」
――こんな会話が密やかにお父様とお母様で行われていたことになんて、ドレスに夢中で全然気づいていませんでしたの。
◆ ◆ ◆
エリーですわ!
ここまでお読みくださり、ありがとうございますわー!
あれから、ランランちゃんとダンスの練習をしていますの。
きっと当日は、会場中が私に釘付けですわね!
次回、舞踏会編!
お楽しみになさって!
