「うわああんっ、ひっく、うぇ、……婚約破棄なんて、嫌ですわー!!」
大泣きし始めた私に、スパリオは大慌ての様子でしたわ。
でも、私の涙は全然止まりませんでしたの。
「びええん、うっく、嫌ですの! 私はスパリオが好きですの!!」
「えっ、え、ちょっと待って、エリー?」
「嫌です、待ちませんわっ!! 婚約破棄なんて、お待ちになって?」
「婚約破棄ってなんのこと!?」
「私は、ちゃんとスパリオをもう一度メロメロにするんですから! もう国を乗っ取るとかどうでも良いんですの! スパリオが好きなの! びええええんっ!!」
「く、国を乗っ取るって!? え、と、というか、エリー……」
ずびずびと、淑女あるまじき勢いで泣きわめいてから、私はようやく我に返りましたの。
――あれ、今、スパリオは、婚約破棄ってなんのことだと言ったかしら?
「……」
「……」
私が泣きはらしたぼろぼろの顔でスパリオを見つめると、彼は見たことも無い位に真っ赤になっていましたの。
……どうしてですの? い、意味が分かりませんわ?
「ひっく、ぐすっ、あの、私、これから大ホールで、皆さんの前で婚約破棄宣言をされるのでは……?」
「何がどうしたら、そんな発想になるんだい!?」
大真面目に問いかけた私を、スパリオは驚愕の顔で見つめていましたの。
そして、私は気づきましたわ。
大ホールの扉が、すでに半分開いていたことに。
中には沢山の人が集まっていて――後ろの方に横断幕が見えましたの。
『エリザベス嬢、15歳のお誕生日おめでとう』
そこには、そう記されていましたわ。
「??????」
私は自分の勘違いに気づいて、一気に頭が冷えていき――同時に頬が燃えるように熱くなるという特異体験をいたしましたの。
「あっ、あのあの、これは……」
そして冷静に思い返してみれば、とんでもないことをスパリオに伝えてしまった気がしますわ?
――ああ、もう駄目、耐えられませんの。
お誕生日会を開いてくださっているのに申し訳ないですが、先程までとは別の意味で、ここにはいられませんわ!
「き、今日のところは、これくらいにして差し上げますわー!!」
そう言うと私は全力で身をひるがえし、逃走を試みましたわ。
でも、それはあっけなく阻止されましたの。
「ふふっ、駄目だよ。エリー!」
嬉しそうに声を弾ませるスパリオが、私にぎゅっと抱き着いてきて、私を動けなくしたんですわ。
「ひみゃるん!?」
私が硬直してしまっても、彼は私を離そうとはしませんでしたの。
「ありがとう。僕のことを、好きでいてくれて。そして、ごめんね。こんなに君を不安にさせていたなんて、思わなかった」
真摯な声色でそう告げてから、彼は私を抱きしめる腕に少しだけ力を込めましたの。
「……許してくれる? エリー?」
スパリオは、狡いくらいに甘く囁いてきましたの。
答えなんて聞かなくっても、分かっているくせに。
だから私はせめてもの強がりで、答えましたわ。
「もう私を不安にしないなら、特別に、許して差し上げてもよくってよ?」
スパリオはくすりと笑うと、私の前に跪きましたの。
そして私の手をすくいあげるようにとって、澄んだ青い瞳を向けてきましたわ。
「分かったよ、エリー。本当は君の気持ちを確かめてからにするつもりだったけれど、知ってしまったから」
彼の言葉に私はドキドキしながら、息を飲みましたの。
「君の言う通り、婚約は終わりにしよう。僕と結婚してくれるかい?」
「――っ!」
「今日はその心算じゃなくて、指輪はないんだけれど。ごめんね、格好がつかなくて」
「そ、そんな……」
「代わりに誕生日に贈るつもりだった、これを」
スパリオが私の掌に、銀縁の細工の施された美しいピンク色の小箱を置く。
中を開けば、小さなマカロンと熊のモチーフのついた、銀の鎖のネックレスが入っていた。
「可愛い!!」
私は目を輝かせると、そのままスパリオに飛びついた。
「良いですわ! ……結婚して差し上げますわー!」
そう叫んだ瞬間、わっと歓声と割れんばかりの拍手の音が響いた。
「あっ」
すっかり忘れていましたが、私の誕生日会で集まってくださった皆さんがいたんでしたわ!
しかも、扉だって半分は開きっぱなしで!
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
「ううっ、エリー、良かったねぇ、良かったねぇ!」
「もう、貴方ったら……、ぐすっ」
歓声を送ってくださる中には、学園の生徒の皆さんだけではなく、お父様やお母様の姿までありましたの!
私が少し照れながらも彼らに笑顔を送っていると、真っ青な顔をしている長い銀髪の少女と目が合いましたわ。
「貴女は……、聖女さん……」
私が声をかけると、彼女はびくりと肩を震わせましたわ。
◆ ◆ ◆
エリーですわ!
ここまでお読みくださり、ありがとうございますわー!
婚約破棄にならなくて、本当に良かったんですの!
……ところで聖女さん、大丈夫かしら?
次回、最終回ですわ!お楽しみになさって!
大泣きし始めた私に、スパリオは大慌ての様子でしたわ。
でも、私の涙は全然止まりませんでしたの。
「びええん、うっく、嫌ですの! 私はスパリオが好きですの!!」
「えっ、え、ちょっと待って、エリー?」
「嫌です、待ちませんわっ!! 婚約破棄なんて、お待ちになって?」
「婚約破棄ってなんのこと!?」
「私は、ちゃんとスパリオをもう一度メロメロにするんですから! もう国を乗っ取るとかどうでも良いんですの! スパリオが好きなの! びええええんっ!!」
「く、国を乗っ取るって!? え、と、というか、エリー……」
ずびずびと、淑女あるまじき勢いで泣きわめいてから、私はようやく我に返りましたの。
――あれ、今、スパリオは、婚約破棄ってなんのことだと言ったかしら?
「……」
「……」
私が泣きはらしたぼろぼろの顔でスパリオを見つめると、彼は見たことも無い位に真っ赤になっていましたの。
……どうしてですの? い、意味が分かりませんわ?
「ひっく、ぐすっ、あの、私、これから大ホールで、皆さんの前で婚約破棄宣言をされるのでは……?」
「何がどうしたら、そんな発想になるんだい!?」
大真面目に問いかけた私を、スパリオは驚愕の顔で見つめていましたの。
そして、私は気づきましたわ。
大ホールの扉が、すでに半分開いていたことに。
中には沢山の人が集まっていて――後ろの方に横断幕が見えましたの。
『エリザベス嬢、15歳のお誕生日おめでとう』
そこには、そう記されていましたわ。
「??????」
私は自分の勘違いに気づいて、一気に頭が冷えていき――同時に頬が燃えるように熱くなるという特異体験をいたしましたの。
「あっ、あのあの、これは……」
そして冷静に思い返してみれば、とんでもないことをスパリオに伝えてしまった気がしますわ?
――ああ、もう駄目、耐えられませんの。
お誕生日会を開いてくださっているのに申し訳ないですが、先程までとは別の意味で、ここにはいられませんわ!
「き、今日のところは、これくらいにして差し上げますわー!!」
そう言うと私は全力で身をひるがえし、逃走を試みましたわ。
でも、それはあっけなく阻止されましたの。
「ふふっ、駄目だよ。エリー!」
嬉しそうに声を弾ませるスパリオが、私にぎゅっと抱き着いてきて、私を動けなくしたんですわ。
「ひみゃるん!?」
私が硬直してしまっても、彼は私を離そうとはしませんでしたの。
「ありがとう。僕のことを、好きでいてくれて。そして、ごめんね。こんなに君を不安にさせていたなんて、思わなかった」
真摯な声色でそう告げてから、彼は私を抱きしめる腕に少しだけ力を込めましたの。
「……許してくれる? エリー?」
スパリオは、狡いくらいに甘く囁いてきましたの。
答えなんて聞かなくっても、分かっているくせに。
だから私はせめてもの強がりで、答えましたわ。
「もう私を不安にしないなら、特別に、許して差し上げてもよくってよ?」
スパリオはくすりと笑うと、私の前に跪きましたの。
そして私の手をすくいあげるようにとって、澄んだ青い瞳を向けてきましたわ。
「分かったよ、エリー。本当は君の気持ちを確かめてからにするつもりだったけれど、知ってしまったから」
彼の言葉に私はドキドキしながら、息を飲みましたの。
「君の言う通り、婚約は終わりにしよう。僕と結婚してくれるかい?」
「――っ!」
「今日はその心算じゃなくて、指輪はないんだけれど。ごめんね、格好がつかなくて」
「そ、そんな……」
「代わりに誕生日に贈るつもりだった、これを」
スパリオが私の掌に、銀縁の細工の施された美しいピンク色の小箱を置く。
中を開けば、小さなマカロンと熊のモチーフのついた、銀の鎖のネックレスが入っていた。
「可愛い!!」
私は目を輝かせると、そのままスパリオに飛びついた。
「良いですわ! ……結婚して差し上げますわー!」
そう叫んだ瞬間、わっと歓声と割れんばかりの拍手の音が響いた。
「あっ」
すっかり忘れていましたが、私の誕生日会で集まってくださった皆さんがいたんでしたわ!
しかも、扉だって半分は開きっぱなしで!
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
「ううっ、エリー、良かったねぇ、良かったねぇ!」
「もう、貴方ったら……、ぐすっ」
歓声を送ってくださる中には、学園の生徒の皆さんだけではなく、お父様やお母様の姿までありましたの!
私が少し照れながらも彼らに笑顔を送っていると、真っ青な顔をしている長い銀髪の少女と目が合いましたわ。
「貴女は……、聖女さん……」
私が声をかけると、彼女はびくりと肩を震わせましたわ。
◆ ◆ ◆
エリーですわ!
ここまでお読みくださり、ありがとうございますわー!
婚約破棄にならなくて、本当に良かったんですの!
……ところで聖女さん、大丈夫かしら?
次回、最終回ですわ!お楽しみになさって!
