夏色のキャンバス

 二年生になってからの日々は、あっという間にだった。楽しい時間は光の速さで過ぎていき、気がつけば秋になっていた。今年の文化祭は、生徒会の役員として校内を巡回の仕事があるため、クラスの文化祭に参加することが出来なかった。

「暇だな」

「暇だね」

「暇です」

 文化祭の一週間前。僕と山田先輩以外の三人の声が揃ったところで、森崎先輩が言った。

「ハロウィンに行かないか?」

「森崎先輩、ハロウィンって……渋谷の繁華街でやるハロウィンですか?」

「そうだ。興味ないか?」

「少し行ってみた行きもしますが、仮装はちょっと遠慮したいっていうか……」

「葵が行かないなら、俺も行かない」

 海斗がそう言うと、優も頷いていた。

「俺も、やめとく」

「廉、駅前の商店街でハロウィンやるって、書いてあったでしょ? あれに参加するのはどう?」

「駅前のハロウィンって、確かスタンプラリーだったよな? 商店街で買い物したらスタンプがもらえて福引き出来るっていう……」

「うん。商店街で買い物して、プレゼント交換しない?」

「俺は構わないが……」

 森崎先輩は、なんとも言えない顔をしていた。先輩がやりたがっているのに対して、僕達が乗り気じゃなかったからだろう。

「プレゼント交換? 何それ、面白そう」

「葵も参加する? 自分が買ったプレゼントは、誰がもらうか分からない。くじ引きで決める」

 僕が興味津々で森崎先輩の話を聞いていたら、山田先輩が商店街のお店を一つ一つ丁寧に教えてくれた。

「葵、近いから」

 山田先輩の話を近くで聞いていたら、海斗に引っ張られて先輩と引き離された。

「海斗、後で一緒に商店街へ行こう」

「……いいよ」

「決まりだな。10月31日は、生徒会に集まってプレゼント交換だ」

 森崎先輩はそう言うと、張りきっていた。

「先輩、嬉しそうですね」

「生徒会長をずっとやっていたから、高校生活もイベントがあってないようなものだったからな。最後に思い出づくりをしておきたかったんだ」

「思い出づくり……先輩、いいハロウィンにしましょう」

「ああ」

 僕の言葉に、森崎先輩は思わずといった様子で笑っていた。