森崎先輩の話に何も言えずに美術室を出た僕達は、森崎先輩の話を確認するために白石先生がいる職員室へ向かった。
「白石先生、いらっしゃいますか?」
「ああ、美術部はどうだった?」
「先生、生徒会役員なんて聞いてないんですけど……」
「すまん。俺もさっき、教頭先生から話を聞いてな。ウチの学校は部活が活発だから、活動の少ない部活の所属部員から、生徒会役員を募っているらしいんだ」
「先生、そう言うことはもっと早く言ってくれないと……」
「それで、どうなんだ? 引き受けてくれるのか?」
ふてくされている僕達をよそに、先生は笑っていた。先生は椅子に座ったままこちらへ振り返ると、顎に手を当ながら僕達に聞いた。
「やらないと、幽霊部員だってことバラすって脅されました」
「なんだ。それでやることになったのか? そんなこと、先生達はみんな知ってるぞ?」
「え?」
僕が呆けていると、優が前のめりになって先生に聞いた。
「もしかして教頭先生や校長先生もですか?」
「あたり前だろう?」
「……騙された」
「さっき森崎が教頭先生に用紙を提出していたみたいだったが、それは大丈夫なのか?」
「よく分かりませんが、大丈夫ではありません」
僕がそう答えると、海斗君が隣で神妙な顔をしながら先生に聞いていた。
「先生、用紙とは何ですか?」
「何って、生徒会役員の報告書だよ……メンバーが決まったっていう」
「はあ?」
僕達三人は顔を見合わせると、首を横に振った。
「なんで? 俺達、美術室を出てから普通に歩いてここまで来たよな?」
「先輩は、どうやって俺達よりも先に、名前を書いた用紙を提出したんだ?」
問題はそこではなかったが、優と海斗君の言葉に僕は青くなった。
「昨年は、生徒会長以外の生徒会役員がなかなか決まらなくてな。教頭先生が成績優秀だった森崎に直接、生徒会の副会長を頼んだんだ。それでも他の役員が決まらなくて、文化祭の少し前に決まったと聞いている」
「それで、仕方がないと言いたいんですか?」
「いや、森崎はお前たちが思ってるほど悪い奴じゃないって言いたかっただけさ。それに、お前たちは学校へ来るのが楽しいだろ? それでいて他の生徒の模範になれて、成績が悪くない奴じゃないと生徒会は任せられないんだよ」
「先生、投票とかで決めないんですか?」
「少し前まではそうやって決めていたらしいんだが、四年前の生徒総会で生徒会の廃止が決まったらしくてな。でも、あちこちで問題が起きて、先生達が必要だって言って、結局は三年前に急ごしらえの生徒会が発足して……」
「……」
「ごめん。実は三年前に移動してきたばかりだから、詳しいことは知らないんだ。でも、森崎は悪い奴じゃないから、出来れば生徒会をやってほしい」
「……善処します」
海斗君がそう言うと、僕達三人は職員室を出て校舎へ戻った。
「断れる雰囲気じゃなかったね」
「葵はどうするの? バイトしてるのバレたらまずいんじゃない?」
海斗君の言う通り、生徒会に入れば嫌でも目立ってしまうだろう。バイトをしているのを見つかるのは不味いし、生徒会役員が学校の規則違反をしているのはもっと不味い。
「オーナーに相談してみるよ」
「小林さん?」
「うん……」
「続けられるといいね」
「うん」
僕の力のない返事に、海斗君は心配したのか慰めるように僕の手をそっと握った。
「白石先生、いらっしゃいますか?」
「ああ、美術部はどうだった?」
「先生、生徒会役員なんて聞いてないんですけど……」
「すまん。俺もさっき、教頭先生から話を聞いてな。ウチの学校は部活が活発だから、活動の少ない部活の所属部員から、生徒会役員を募っているらしいんだ」
「先生、そう言うことはもっと早く言ってくれないと……」
「それで、どうなんだ? 引き受けてくれるのか?」
ふてくされている僕達をよそに、先生は笑っていた。先生は椅子に座ったままこちらへ振り返ると、顎に手を当ながら僕達に聞いた。
「やらないと、幽霊部員だってことバラすって脅されました」
「なんだ。それでやることになったのか? そんなこと、先生達はみんな知ってるぞ?」
「え?」
僕が呆けていると、優が前のめりになって先生に聞いた。
「もしかして教頭先生や校長先生もですか?」
「あたり前だろう?」
「……騙された」
「さっき森崎が教頭先生に用紙を提出していたみたいだったが、それは大丈夫なのか?」
「よく分かりませんが、大丈夫ではありません」
僕がそう答えると、海斗君が隣で神妙な顔をしながら先生に聞いていた。
「先生、用紙とは何ですか?」
「何って、生徒会役員の報告書だよ……メンバーが決まったっていう」
「はあ?」
僕達三人は顔を見合わせると、首を横に振った。
「なんで? 俺達、美術室を出てから普通に歩いてここまで来たよな?」
「先輩は、どうやって俺達よりも先に、名前を書いた用紙を提出したんだ?」
問題はそこではなかったが、優と海斗君の言葉に僕は青くなった。
「昨年は、生徒会長以外の生徒会役員がなかなか決まらなくてな。教頭先生が成績優秀だった森崎に直接、生徒会の副会長を頼んだんだ。それでも他の役員が決まらなくて、文化祭の少し前に決まったと聞いている」
「それで、仕方がないと言いたいんですか?」
「いや、森崎はお前たちが思ってるほど悪い奴じゃないって言いたかっただけさ。それに、お前たちは学校へ来るのが楽しいだろ? それでいて他の生徒の模範になれて、成績が悪くない奴じゃないと生徒会は任せられないんだよ」
「先生、投票とかで決めないんですか?」
「少し前まではそうやって決めていたらしいんだが、四年前の生徒総会で生徒会の廃止が決まったらしくてな。でも、あちこちで問題が起きて、先生達が必要だって言って、結局は三年前に急ごしらえの生徒会が発足して……」
「……」
「ごめん。実は三年前に移動してきたばかりだから、詳しいことは知らないんだ。でも、森崎は悪い奴じゃないから、出来れば生徒会をやってほしい」
「……善処します」
海斗君がそう言うと、僕達三人は職員室を出て校舎へ戻った。
「断れる雰囲気じゃなかったね」
「葵はどうするの? バイトしてるのバレたらまずいんじゃない?」
海斗君の言う通り、生徒会に入れば嫌でも目立ってしまうだろう。バイトをしているのを見つかるのは不味いし、生徒会役員が学校の規則違反をしているのはもっと不味い。
「オーナーに相談してみるよ」
「小林さん?」
「うん……」
「続けられるといいね」
「うん」
僕の力のない返事に、海斗君は心配したのか慰めるように僕の手をそっと握った。


