夏色のキャンバス

 大晦日の日に、僕達四人は駅で待ち合わせをして、例の雑居ビルへ向かった。途中のコンビニで夜ご飯とお菓子、それから飲み物を買うと、ビルのエレベーターで5階へ上がった。ビルの中は一昨日より片付いており、荷物を置くスペースが端っこに作られていた。

「うわっ、すごいルームシアター?」

「そんなに凄いもんじゃないよ。家にあったから持ってきただけ。映画も何だかよく分かんないの持ってきちゃったし」

 神田君は、机の上に取り付けられたビデオカメラを見つけると興奮していた。

「早く見ようよ」

「先にご飯食べよう。暗くなってからだと、食べにくそうだし」

「オッケー。水道は出るの?」

「うん。寒いけど、急に出なくなるってことはないと思う」

 海斗君はエアコンのスイッチを押すと、カーテンを取り付けていた。

「カーテン?」

「あった方が、見やすいかなって思って。部屋も温まりやすくなると思うし」

「先にカーテン取り付けよう」

 神田君はご飯を袋から取り出していた優に声を掛けると、二人で別の窓枠にカーテンを取り付けていた。

「海斗君、手伝うよ」

「ありがとう。じゃあ、そっちの端を持ってて」

 海斗君は、カーテンの端を僕に手渡すと、椅子の上に乗ってカーテンレールについているリングランナーにフックを掛けていた。

「これでよし」

「こっちも大丈夫そう」

「じゃあ食べようか」

「葵は、何を買ったの?」

「僕はたこ焼き味のスナック」

「あっ、なにそれ。懐かしい」

「それ食べてると、たこ焼き食べてるような気分になるよね」

 僕が昔懐かしのお菓子を披露していると、海斗君はおせんべいを取り出していた。

「海斗は、ソースせんべい買ったんだ?」

「うん。昔、好きだったんだ。映画観る時に食べようかと思って」

 海斗君が神田君の言葉に答えると、神田君は溜め息をついていた。

「俺も、お菓子買ってくるんだったなー。失敗した」

「後で、俺のお菓子を少し分けてあげるよ」

 優はコンビニで塩味のボップコーンを買ってきていた。

「ありがとう、優。マジ天使」

 神田君がそう言うと、優は顔を赤くしていた。

「冗談だって、分かってても恥ずかしいからやめて」

「えー、いいじゃんか。これからはエンジェル優って呼ぶよ」

「呼び方!」

 優は神田君に縦チョップを繰り出していたが、運動神経のいい神田君は優のチョップを全て躱していた。

「コンビニで温めてもらったご飯、冷めちゃうよー」

 海斗君の言葉に我に返った二人は、恥ずかしそうにお弁当を食べ始めたのだった。