期末テストが終わると、冬休みになった。クリスマスはバイトがあって、海斗君に会うことは出来なかったものの、大晦日に会う約束をしていた。
「初詣にでも行く?」
「あれ? 31日って、夜から雪予報じゃなかったっけ?」
「雪は、やばい。風が強かったら、マジで風邪ひく」
「じゃあ、初詣は来年にして、今年は家でカウントダウンにしよ」
「さんせー」
海斗君と僕だけではなく、四人で集まることになったものの、集まれるような場所がなかった。
「俺、両親に空き部屋が使えないか聞いてみるよ」
海斗君の話に喜んでいると、個別メッセージで連絡があった。
『両親に許可取ったから、部屋の片づけ手伝ってくれる?』
『いいけど、年末までバイトが入ってるよ』
年末は取引が多いのか、冬休みに入ってから毎日バイトをしていた。今日も忙しかったらしく、店へ行くと店頭に立っていた小林さんはが「よろしく」と言って、ふらつきながら店の奥へ下がっていった。
『いつまで?』
『たぶん、29日まで』
『じゃあ、バイト終わりに手伝って欲しいんだけど……葵のバイト先の上の階にある部屋なんだ』
『分かった』
『また連絡するね』
『OK』
僕は猫が大きな丸を作っているスタンプを送ると、大晦日に思いを馳せながら眠りについたのだった。
※※※※※
29日の午後にバイト先へ行くと、そこには死んだ魚の目をした小林さんが立ってた。
「小林さん! 何があったんですか?」
「染谷君、来てくれて助かったよ。昨日は忙しくてさ……ほとんど寝てないんだ」
「お店はいいんで、横になっててください」
「すまない。ありがとう」
そう言ったものの、僕はレジの前に立つと、今日もやることがなくて、窓の外を眺めていた。
「寒そうだな」
雨は降っていなかったが、日が出ていない上に風が強かった。街にある色々なものが風によって舞い上がり、吹き飛ばされるのを眺めていると、お店のドアベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
海斗君が見に来たのかと思ったら、そこにはスーツを着たビジネスマン風の男性が立っていた。
「店主はいるかね?」
「あの、ご用件は?」
「いいから店主を呼んで来い」
「……」
「客の言うことに逆らうのかね?」
「いえ……」
ビジネスマン風の男は苛立っているのか、カウンターに鞄を叩きつけるように置くと僕を睨んでいた。
「すみません、お待たせいたしました」
店の奥から小林さんが出てきたことに安心して、僕は胸をなでおろした。小林さんと男性が話すのを聞いていて、さすがだなと思った。お客さんは、インターネットで買ったものと届いた商品が違うものだと思っていたらしく、自分の勘違いで画面のクリックする場所を間違えていたのだと気がついて謝っていた。
「いえ、私もよくやってしまうんですよ。拡大表示すると、ボタンの位置が下がってしまうみたいで、業者にお願いして直してもらおうとは思っているんですが……こちらの品は、お預かりしますので」
「すまない。それでこっちの品は、まだあるんだろうか」
「確かめてみます……そうですね、まだ売れてません。今日、ご購入されますか? ここで買うのであれば差額分の五千円を、いただく形になりますが……」
「今日、いただこう」
「かしこまりました。領収書はご利用ですか?」
「けっこうだ」
男性はお金を払うと、店を出て行った。
「ありがとうございます、小林さん」
「ううん。ああいうのは呼んでくれて構わないから」
「はい、すみません」
その後も小林さんはずっと店頭に立っていた。僕を気遣ったのか、たまに話をしては店内にある在庫の数を数えていた。お店が閉店する時間になって、再びドアベルが鳴った。
「いらっしゃいま……」
「葵、終わった?」
「まだ、もうちょっと」
閉店時間は過ぎていたが、店の片づけは残っていた。
「染谷君、上がっていいよ」
「はい」
小林さんにそう言われた僕は着替えると、裏の通用口から出て海斗君のいるビルの前に向かった。
「ごめん、まだ仕事中だったね」
「ううん、大丈夫。行こうか」
僕達はビルに備え付けられているエレベータで、最上階へ向かった。
「初詣にでも行く?」
「あれ? 31日って、夜から雪予報じゃなかったっけ?」
「雪は、やばい。風が強かったら、マジで風邪ひく」
「じゃあ、初詣は来年にして、今年は家でカウントダウンにしよ」
「さんせー」
海斗君と僕だけではなく、四人で集まることになったものの、集まれるような場所がなかった。
「俺、両親に空き部屋が使えないか聞いてみるよ」
海斗君の話に喜んでいると、個別メッセージで連絡があった。
『両親に許可取ったから、部屋の片づけ手伝ってくれる?』
『いいけど、年末までバイトが入ってるよ』
年末は取引が多いのか、冬休みに入ってから毎日バイトをしていた。今日も忙しかったらしく、店へ行くと店頭に立っていた小林さんはが「よろしく」と言って、ふらつきながら店の奥へ下がっていった。
『いつまで?』
『たぶん、29日まで』
『じゃあ、バイト終わりに手伝って欲しいんだけど……葵のバイト先の上の階にある部屋なんだ』
『分かった』
『また連絡するね』
『OK』
僕は猫が大きな丸を作っているスタンプを送ると、大晦日に思いを馳せながら眠りについたのだった。
※※※※※
29日の午後にバイト先へ行くと、そこには死んだ魚の目をした小林さんが立ってた。
「小林さん! 何があったんですか?」
「染谷君、来てくれて助かったよ。昨日は忙しくてさ……ほとんど寝てないんだ」
「お店はいいんで、横になっててください」
「すまない。ありがとう」
そう言ったものの、僕はレジの前に立つと、今日もやることがなくて、窓の外を眺めていた。
「寒そうだな」
雨は降っていなかったが、日が出ていない上に風が強かった。街にある色々なものが風によって舞い上がり、吹き飛ばされるのを眺めていると、お店のドアベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
海斗君が見に来たのかと思ったら、そこにはスーツを着たビジネスマン風の男性が立っていた。
「店主はいるかね?」
「あの、ご用件は?」
「いいから店主を呼んで来い」
「……」
「客の言うことに逆らうのかね?」
「いえ……」
ビジネスマン風の男は苛立っているのか、カウンターに鞄を叩きつけるように置くと僕を睨んでいた。
「すみません、お待たせいたしました」
店の奥から小林さんが出てきたことに安心して、僕は胸をなでおろした。小林さんと男性が話すのを聞いていて、さすがだなと思った。お客さんは、インターネットで買ったものと届いた商品が違うものだと思っていたらしく、自分の勘違いで画面のクリックする場所を間違えていたのだと気がついて謝っていた。
「いえ、私もよくやってしまうんですよ。拡大表示すると、ボタンの位置が下がってしまうみたいで、業者にお願いして直してもらおうとは思っているんですが……こちらの品は、お預かりしますので」
「すまない。それでこっちの品は、まだあるんだろうか」
「確かめてみます……そうですね、まだ売れてません。今日、ご購入されますか? ここで買うのであれば差額分の五千円を、いただく形になりますが……」
「今日、いただこう」
「かしこまりました。領収書はご利用ですか?」
「けっこうだ」
男性はお金を払うと、店を出て行った。
「ありがとうございます、小林さん」
「ううん。ああいうのは呼んでくれて構わないから」
「はい、すみません」
その後も小林さんはずっと店頭に立っていた。僕を気遣ったのか、たまに話をしては店内にある在庫の数を数えていた。お店が閉店する時間になって、再びドアベルが鳴った。
「いらっしゃいま……」
「葵、終わった?」
「まだ、もうちょっと」
閉店時間は過ぎていたが、店の片づけは残っていた。
「染谷君、上がっていいよ」
「はい」
小林さんにそう言われた僕は着替えると、裏の通用口から出て海斗君のいるビルの前に向かった。
「ごめん、まだ仕事中だったね」
「ううん、大丈夫。行こうか」
僕達はビルに備え付けられているエレベータで、最上階へ向かった。


