二学期が始まると、女子だけではなく男子も何となく仲良く話すグループが決まっていた。まだ夏休み気分が抜けないのはみんなも同じなのか、教室内は騒がしかった。
「まだ夏休みが足りない」
「優の場合は、夏休みが足りないんじゃなくて遊び足りないんでしょ」
「そうかも」
「席に着くように」
白石先生が教室へ入ってきて資料を教卓の上へ置くと、僕達を見て言った。
「夏休み気分が抜けない人が多いみたいだが、二学期は文化祭がある。文化祭が終わったら期末テストだ。今のうちから進路も見据えておくように」
「葵は文化祭、やりたいものとかあるの?」
「僕はお化け屋敷がやりたいな」
「ホラー映画、あんなに怖がってたのに?」
「驚かされる方じゃなくて、驚かす方だったらいいの」
「ふうん。よく分かんない」
「優には、僕の気持ちなんて分かんないよ」
「後で旦那にでも、聞いてもらいなよ」
「そうする」
席替えで窓際の席になった海斗君を盗み見ると、神田君と話していた。僕の視線に気がついたのか、手を振っていたので何かあったのかと思い、休み時間に海斗君の傍へ行くと、海斗君は笑っていた。
「ごめんね。こっち見てたから、手を振っただけ」
「ううん。なに話してたの?」
「文化祭の話。葵は、何かやりたいものある?」
「お化け屋敷」
「ホラー映画、苦手なのに?」
僕がお化け屋敷と言うと、海斗君だけでなく神田君も驚いていた。
「海斗君は? 何かやりたいものないの?」
「俺は、特にないかな」
「神田君は?」
「展示会がいい」
「透は自分がやらなくて済むもの言ってるだけでしょ」
「だって俺、部活でも文化祭の仕事やらなくちゃならないんだよ? クラスでなんかやるってなったら、見て回れないじゃん」
「それは同情する」
そんな話をしていたが、午後に行われたホームルームで、出し物は喫茶店にあっさり決まってしまった。がっかりしたのは神田君だけではなく、僕も同じだった。
「メイド喫茶って、何をやるんだろう?」
「葵、ご主人様って言える?」
「ご主人様?」
放課後の帰り道。海斗君に聞かれて答えると、海斗君は口元を押さえて顔をそらしていた。
「……俺以外に、その顔しないで」
「どんな顔?」
「小悪魔って呼ぶよ?」
「小悪魔はやめて。海斗君は執事をやるんでしょ? 海斗君の執事服姿、楽しみだなあ」
僕は海斗君の執事が純粋に楽しみだった。それは、クラスの女子も同じだろう。
「葵は裏方で、キッチン担当だっけ?」
「うん。文化祭当日は、一緒に写真撮ろう」
「もちろん」
もう少しで家に着くというところで、海斗君は僕の腕を掴むと引き寄せて僕のおでこにキスをしていた。一瞬の出来事だったが、触れられた部分が熱かった。海斗君の唇の位置が僕のおでこの位置と近くてキスをしやすいのか、海斗君はいつも僕のおでこにキスをしていた。
「隙あり」
「こんなところで、恥ずかしいからっ……」
他の建物で周りからは死角になっていたが、それでも路上でキスをするのは恥ずかしかった。
「学校で見られる方が、まずいでしょ? それとも嫌だった?」
「嫌なんてことはないけど……えっと、恥ずかしいけど嬉しい」
そう言った僕のおでこに、海斗君はもう一度キスをした。
「ねぇ、僕の話聞いてた?」
「もちろん」
僕が怒ると、海斗君は笑いながら駆けて行った。
「まだ夏休みが足りない」
「優の場合は、夏休みが足りないんじゃなくて遊び足りないんでしょ」
「そうかも」
「席に着くように」
白石先生が教室へ入ってきて資料を教卓の上へ置くと、僕達を見て言った。
「夏休み気分が抜けない人が多いみたいだが、二学期は文化祭がある。文化祭が終わったら期末テストだ。今のうちから進路も見据えておくように」
「葵は文化祭、やりたいものとかあるの?」
「僕はお化け屋敷がやりたいな」
「ホラー映画、あんなに怖がってたのに?」
「驚かされる方じゃなくて、驚かす方だったらいいの」
「ふうん。よく分かんない」
「優には、僕の気持ちなんて分かんないよ」
「後で旦那にでも、聞いてもらいなよ」
「そうする」
席替えで窓際の席になった海斗君を盗み見ると、神田君と話していた。僕の視線に気がついたのか、手を振っていたので何かあったのかと思い、休み時間に海斗君の傍へ行くと、海斗君は笑っていた。
「ごめんね。こっち見てたから、手を振っただけ」
「ううん。なに話してたの?」
「文化祭の話。葵は、何かやりたいものある?」
「お化け屋敷」
「ホラー映画、苦手なのに?」
僕がお化け屋敷と言うと、海斗君だけでなく神田君も驚いていた。
「海斗君は? 何かやりたいものないの?」
「俺は、特にないかな」
「神田君は?」
「展示会がいい」
「透は自分がやらなくて済むもの言ってるだけでしょ」
「だって俺、部活でも文化祭の仕事やらなくちゃならないんだよ? クラスでなんかやるってなったら、見て回れないじゃん」
「それは同情する」
そんな話をしていたが、午後に行われたホームルームで、出し物は喫茶店にあっさり決まってしまった。がっかりしたのは神田君だけではなく、僕も同じだった。
「メイド喫茶って、何をやるんだろう?」
「葵、ご主人様って言える?」
「ご主人様?」
放課後の帰り道。海斗君に聞かれて答えると、海斗君は口元を押さえて顔をそらしていた。
「……俺以外に、その顔しないで」
「どんな顔?」
「小悪魔って呼ぶよ?」
「小悪魔はやめて。海斗君は執事をやるんでしょ? 海斗君の執事服姿、楽しみだなあ」
僕は海斗君の執事が純粋に楽しみだった。それは、クラスの女子も同じだろう。
「葵は裏方で、キッチン担当だっけ?」
「うん。文化祭当日は、一緒に写真撮ろう」
「もちろん」
もう少しで家に着くというところで、海斗君は僕の腕を掴むと引き寄せて僕のおでこにキスをしていた。一瞬の出来事だったが、触れられた部分が熱かった。海斗君の唇の位置が僕のおでこの位置と近くてキスをしやすいのか、海斗君はいつも僕のおでこにキスをしていた。
「隙あり」
「こんなところで、恥ずかしいからっ……」
他の建物で周りからは死角になっていたが、それでも路上でキスをするのは恥ずかしかった。
「学校で見られる方が、まずいでしょ? それとも嫌だった?」
「嫌なんてことはないけど……えっと、恥ずかしいけど嬉しい」
そう言った僕のおでこに、海斗君はもう一度キスをした。
「ねぇ、僕の話聞いてた?」
「もちろん」
僕が怒ると、海斗君は笑いながら駆けて行った。


